【Vol.S04】フリー演劇台本【夏祭り-小動物系女の子(読手:女性向け)】


はじめに

本作は朗読・演劇用の台本として作成したものです。
思いつきの習作ですのでクオリティは保証しておりません。

ライバーさんの朗読枠などの使用をオススメしております。

※注意事項※
・著作権譲渡は行っておりません。
・無断転載や自作発言、再配布は禁止しております。
・改変依頼は受け付けておりません。ご自身で改変の上ご使用下さい。
・本作品使用時のトラブルつきましては一切の責任を負いません。
・全力全開趣味で書いておりますので合わない方は閉じて下さい。

本編

「今週の土曜日!!神社の夏祭りまでくること!!いいね!!」

ボクはキミに対してそう高らかに宣言した。
むふん。ボクの完璧な作戦。恥ずかしいのなら、勢いで押し切ってしまえばいいのだ!!

背を向けて去ろうとしたボクにキミは聞き直したよね?
『…何時にどこで待ち合わせすればいいのかなぁ?(苦笑い)』

アッ…

「………祭りが始まるちょっと前に…鳥居の下で待ち合わせでオネガイシマス…」
ボクは恥ずかしさのあまり逃げ出した。

でも、思い返して笑みが溢れる。
「えへへ…えへへへへへへ!」

1人でも、家でも学校でも。ちょっとだけ、ジタバタする。ちょっとだけだから!!
そんなジタバタしてないもん!!

そして約束の日!!浴衣姿で家から飛び出す!!
今日という日のために、めっちゃ!用意してきたんだぞ!!

走って息を切らして待ち合わせ場所につく。

「むぅ…ボクが先に待ってようと思ったのに!!なんでキミが先にいるのさ!?」

このとき、キミが『楽しみだったから』って言ってくれたら良かったのに…
そしたら…「手を繋いでくれないの?」って言ったのになぁ!!

キミと一緒に会場に入る。心臓は爆発寸前だよー!!
でも、キミには緊張してること教えてあげなーい!!

さて、何食べようかなぁ?…ってあれ?
…なんで?

財布がない…置いてきちゃった…

「ごめん!財布忘れちゃった!取りに戻るから!ちょっとだけ待ってて!?…って痛っ」

靴擦れ…???
下駄なんて普段履かないから……あ…あぁ……やだぁ…
なんで…今日なの?

あれ…なんで…?…なんでよぉ…

『手、貸して?そこのベンチで休も?…バンソウコウも持ってきてるからさ』

え?なんで?
…後で聞いたら、ボクなら絶対どこかなにかやらかすと思ってたって…ひどいよー!!
そんなに信用ない!?……ないっ!?えー!?

キミに手を引かれて、ベンチに腰掛けて…
キミがバンソウコウを手にとって…ってちょっとまってよ!!

バンソウコウぐらい自分で貼れるから!!足だから!!…あわわ…やめっ…やめろー!!
ジタバタするなって!?するに決まってるー!!

抵抗虚しく。貼られてしまった。キミに。
…これでも年頃の女の子…だっけ…?…なんですけどー!!

『ちょっと出店行ってくる。』
キミはそう言ってボクをベンチに置いていった。
手のぬくもりを思い出しつつ…足をジタバタさせて待つ。

んむぅ…この時間はつまらない。つらい。嫌になる。
可愛い浴衣でキミをドキドキさせたかった…のに…どうして、失敗しちゃうの?

すっとりんご飴が目の前に出てくる。

あのねぇ!女の子が甘いモノ好きって思ってるのはどうかと思うよ!?
…りんご飴嫌いだったらどうしたの!?って…りんご飴楽しみにしてた…ってなんで覚えてるのー!?

…それと今お財布が……え!?
『どうせ、財布忘れてくるか…中身あんまりなさそうだし』って!?

むー!!そーいうとこキライッ!!……嘘。嫌いじゃない。

奪うようにキミの手からりんご飴を取って、ガジガジする。
キミがベンチの横にすわる。

ハッ……落ち着いてた鼓動が…アワアワしだす…顔が熱い…

ちょっと!!くすっと笑うな!!むー!!キミのりんご飴もよこせー!!

『それ、間接キスじゃないの?』ってもっと意識させてくるなぁ!!
ばかばかばか!ってボクはキミをぽかぽかと叩くよ!!叩いたよ!!

そこからさ、痛みが引くまで。何気ない会話しちゃったァ…なんであんなに楽しいんだろうね?
ほんと、なんでもない。いつもと変わらない…会話で。
いつもと違う場所。いつもと違う…キミとボク。

キミもおしゃれしてくればよかったじゃん!!
……え?『見たかったの?』って…そりゃ、見たいって言ったら。見せてくれるの?

…なぁに笑ってるのさ!!

痛みひいたから…一緒にほら!回るよ!!
ボクは意地でもキミの手を取って。はぐれないように。キミを引っ張る。
キミがボクの手をぎゅっと握る。ボクはもっと強く握り返す。

それだけで。楽しくて。
身体が熱くて。ほっぺたも…もっと熱くて。
…次があるか、わからない事実に足元が凍りつく。

夢じゃない…でもちょっとだけ夢であって欲しいって思うのは贅沢なのかなぁ?
…今だけは考えたくない。でも…考えちゃう

……でも!でもね!!
キミの顔を見てるだけで幸せだし!!…その次が。その先が……ちょっと。ちょっとだけ欲しくなる。

金魚すくいに夢中になって…夢中になりたくて、袖を濡らしながら。目をそらす。
キミのその顔。表情は反則だよ!!
……欲しくてほしくてたまらなくなるから…!!こっちの気も知らないのにっ!!むぅぅぅぅぅぅ!!

かき氷。ブルーハワイを買って青くなった舌をキミにみせる。
うーん?目をそらしてどうしたの?ボクのセクシーさにドキドキしちゃった?

え?『おまえはセクシーじゃない』!?…えー!?なんでー!?

時間が迫る。足がまた凍りつく。…嫌だ。怖い。

「なんでもないよー」って…強がる。
顔に出てたのかな?

キミはボクの手をいきなり取ってさ。
強く引っ張った。

「どこに連れて行く気!?靴擦れしてるから走れないよ!!」

たぶん、この時出た言葉は言い訳だったと思う。
凍った足。動かせない、動かしたくない。…違う…動きたくない。

それを知ってか知らぬか。キミはボクを背中に呼んだ。

ねぇ…これでも乙女なんですけど!!
キミの背に乗れって!?

…誘惑に抗えず、ボクはキミにおぶさった。
にぇへへ。キミの背中。体格。香りも全部伝わってくる。

心臓の鼓動の音も。…へぇーキミも緊張してたんだ!!笑ってごまかすなー!!
ボクも緊張してたんだよ!!

熱が…氷を溶かしてくれる…

キミはボクをおぶって絶景まで案内してくれた。
祭りの最後を示す。それは花火。

ちょうどよく打ち上がった。

「綺麗…」
…勝手に口からでちゃった。

『オレも綺麗だと思うよ。花火も。絶景も。それと…』ってそれとの続き。今も聞けてないんだけど?
ねぇ?なんでごまかすの!?言ってよー!!

キミはボクをそっとおろして。無言で顔を近づけて…小声で呟くだけ。
期待してたのになぁ!!…あの時は!!

えー!?まだしてくれてないじゃん!!恥ずかしいって!!

ボクも恥ずかしいけどさぁ!!…ダメ?
『おねだりしてもダメ』…ふぅん…ケチ!!

えへへへへへへ…楽しみだね!!

だって今日だもんね!!お祭り。去年キミと行けてよかった!!
キミに声かけるときだって心臓飛び出そうだったんだよ!!

…でも。だから…えへへへへへへ。

キミの浴衣。似合ってる。
『おまえの浴衣、素敵だ』

…へ?なんて言ったの!?もう一回いって!!
え?続きは花火の時に!?

…わかった!今日は靴擦れおきないようにしたし!
財布ももった!!お金もぉ…うん、ちょっとはキミを頼りにしてる!!
だからさ!今日もさ。忘れられない。思い出にしよ?

えーへへっ!!

花火の時に…続き。期待してるから!!

ボクもキミのコトだーいすき!!
初めては…レモンの味で、お願いね!!なんてね!!

…喧嘩しても。ずっと一緒にいようね!!
約束。してくれたからね!…あの…お祭りの。花火の時に…

だから。キミのコト。ずっと。ずっと好きだよ。だぁいすき!!

-fin-


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