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オリビアを聴きながら考えた (にぎやかな静寂)

一定の年齢以上の方なら誰もが知る杏里の名バラード「オリビアを聴きながら」(この曲の作詞作曲は尾崎亜美)一時代を彩ったアーティストや名曲は、聴く者を一気にその頃に引き戻してくれる。ああ楽しかったなぁ、あの頃は。若かったし、と。そして大げさではなく目の奥がじんと熱くなる。
いい曲、いいアーティストは何年経っても、いつ聴いてもしみじみといい。

それにしても、とふと考えた。以前からなんとなく思っていたことなのだが。

なぜオリビア?

いまから40年程前、ぼくと同世代の男子中高生にとってオリビア・ニュートンジョンは、初めて胸をときめかす外国の女性といった存在だった。ラジオから流れる「そよ風の誘惑」や「ジョリーン」の伸びやかな歌声と、雑誌に見るその愛らしい姿に心を鷲づかみにされた。
なかでも「ジョリーン」は日本だけで大ヒットしたナンバーだが、ぼくたち中高生はラジオから流れるその歌声を聴いて「ああ、俺もジョリーンみたいに、オリビアからジョリン、ジョリン、ジョリ、ジョリ、ジョリーン大好きよ、と言われてみたい」と思ったものである。
本当はジョリーンは男性ではなく女性で「ジョリーン、ジョリーンお願いだから私の彼を盗らないで」という歌詞だったのだが。おそらく、40年近く経った今でも勘違いしている御同輩は少なくないと思う。

要するに、オリビア・ニュートンジョンは、オーストラリア出身のダンガリーシャツがよく似あう、洋楽界の女性アイドルだったのである。

そこでもう一度考える。

恋人と別れた傷心の女性が、夜ひとりでジャスミン茶を飲みながら聴くのがなぜよりによって(別にオリビアが悪いという意味ではなく)男子中高生のアイドル、オリビアなのだろう、と。

が、よく歌詞を見ながら考えると、
「オリビアを聴きながら」の歌詞にある
「Making good things better」
という、この曲を知っている人なら関西電気保安協会並みに自然と節つきで口ずさめるフレーズが、実はオリビア・ニュートンジョンのヒット曲邦題「きらめく光のように」(収録されたアルバムのタイトルでもある)の原題であることに気づく。

なんてお洒落な構成。

「もっとよくなるよ。よくしようよ」(つまり、やりなおそうよ)
とは別れた彼氏の言葉と重なるのだろう。
それに対する、もう無理、というのが、歌のテーマでもある主人公の想い。

なるほど。

わかりました。
やっぱりオリビアを聴いてください。

でも、たとえば キャロル・キングだったらどうなのだろう。
あるいは ジョニ・ミッチェルだったら、と考えてみる。
どちらも素晴らしい女性ミュージシャンである。

お気に入りの唄 一人聴いてみるの
キャロルは淋しい心 なぐさめてくれるから
(中略)
君はファンキー・モンキー・ベイビー
いいえすんだこと 時を重ねただけ

お気に入りの唄 一人聴いてみるの
ジョニ(ィー)は淋しい心 なぐさめてくれるから
(中略)
君はファンキー・モンキー・ベイビー………

―――オリビアを聴きながらは、やっぱりオリビアを聴きながら。
そして久しぶりにジャスミンティーでも。


















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