
【蓮ノ空ラブライブ!大会】夢見るスリーズブーケ
蓮ノ空のユニットにはそれぞれ”らしさ”があります。
ライブを通して固められた”らしさ”は103期の「Link to the FUTURE」で明確に現れたと思っています。歌詞にメロディー、ダンスに演出とそれぞれのユニットが持つ特徴が一つの曲に”分かる”形で組み込まれ感激してしまいました。
歌は出力されたもの。言い換えるなら彼女たちの考えそのものでしょう。
では、それを描き出した彼女たちの魂とは何か。今回は「ハナムスビ」を通して見えたスリーズブーケの”らしさ”を綴った文章です。
ずっとここにいられない――
軽快なメロディーとは対照的に別れを暗示する寂しいフレーズから始まる「ハナムスビ」という曲。
私は寂しさや悲しさを明るく歌った曲が好きです。無理をした姿に表れる正直な気持ちはより真実味があって、メッセージが強く刺さる気がします。それに好んで聴く歌ですから明るい方がいいです。
必ずやってくる別れに後ろ髪を引かれながら、やっぱり行かなくちゃと前を向くのは頼りないと思います。未練が背中から漏れ出しているようです。叶うなら「ずっと一緒がいい」に決まっています。
それでも行くことを選ぶのは、今が止まってくれないから。進む時間に合わせてグズグズしている私があなたに紡がれてしまう。それよりは笑顔でこれからを撚り合いたいというメッセージだと受け取りました。
では、一緒にいることは諦めるのでしょうか。スリーズブーケは違います。
”私たちはいつも一緒”――
別れても一緒だと夢のようなこと言って、諦める気は微塵もありません。
小指に赤い糸ではなく、小さな花を結んで「また会いましょう」と約束する。別れても小指を見れば、他の人には見えなくても確かに約束の花が咲いていて思い出せる、笑顔で誓い合ったことを。一人になっても一人ぼっちではなくなるそんな魔法をかけてくれるのが「ハナムスビ」なのです。
ロマンチストの夢見がちな少女たちの発想には驚かされます…
特に、赤い糸ではなく花を咲かせることにした花帆は天才です。花は大切にしないと枯れちゃいますから、一人の時でも約束を忘れず大事にしなくてはいけませんね。
私の小指にも――
という歌詞は私にもちゃんと花咲いているよと見せてくれているようでありながら、自分の最後の未練を振り払うようで感傷的で好きです。
スリーズブーケの歌には夢がある。そして、”夢は叶うと信じている”ことが彼女たちの”らしさ”です。
なぜ夢を歌うのか。彼女たちが夢見る少女だからです。
スリーズブーケの3人は他のユニットと比べて明確な夢を持っています。
おばあちゃんの愛した芸楽部、花咲く高校生活、ラブライブ!優勝。始めから憧れと目標を手にして蓮ノ空へ入学した3人。
自分の内側にあるものを問い続けるDOLLCHESTRA、自分と相手の作る空間を大切にするみらくらぱーく!に対してスリーズブーケは自分から遠く離れたものを目指してきたように思います。
吟子はおばあちゃんの話してくれた伝統ある蓮ノ空に憧れ入学し、そこでおばあちゃんの愛した芸楽部を求めていました。芸楽部から名前を変えたスクールアイドルクラブに入部して練習を頑張る彼女にとって夢は原動力になっていました。

しかし、夢は突如として力を奪ってしまいます。おばあちゃんの大好きだった「逆さまの歌」がない…
夢が叶わないというのはやっかいです。やっても無駄で本気になれない、向かう先も分からなくなります。
それでも今、吟子が夢を歌えているのは仲間の助けがあったからです。スクールアイドルクラブのみんなで「逆さまの歌」を見つけ出してくれた。そして、おばあちゃんの思いが今までちゃんと伝わっていると教えてくれた花帆のおかげでした。
そんな花帆も1年前には転校を試みるほどに夢を諦めたところで梢とスクールアイドルに出会って夢を持ち続けられています。
破れた夢はいつも仲間が繋ぎ直してくれた。だからだと思うんです。スリーズブーケの曲に「一緒に」という言葉がよく表れるのは。

私がスリーズブーケを好きになったのも一緒にいてくれるからでした。
怖く…ないよ…暗闇だって 君とならこんなに眩しい――
どんなに不安で目標を見失いそうになっても、一緒に頑張ろうと手を差し伸べてくれた眩耀夜行です。絶対大丈夫だとか易い言葉ではなくて、明るい未来を共に見てくれる優しさに惚れました。
今、蓮ノ空のこと好き好きクラブのみなさんが夢を見ているのは蓮ノ空がラブライブ!で優勝することです。
メンバーが大会に対してどれだけ懸けてきたのか、活動記録や配信で語られる言葉からたくさん伝わっています。北陸大会までの曲を聴いていても、まだ決勝じゃないのにこんな本気のもの出して大丈夫なのかというぐらいに熱意が届きました。
「私たちの夢」ははじめ「私の夢」でした。ラブライブ!優勝は乙宗梢が持っていた夢です。幼い頃から持ち続けた憧れは彼女を努力家にし、親の説得を乗り越えて蓮ノ空へたどり着きました。
才能ある同期にも努力では負けず、ラブライブ!のことを知らなかった綴理が本気の曲を用意するほどに夢は膨らんでいました。しかし、夢の舞台で行ったのは友への裏切り。部を守る使命と友を失いたくない本心、一人で抱え込みすぎてしまった故の過ちでした。彼女は最善を尽くそうとしただけなのに…
夢は凍り、花帆とスリーズブーケを結成してからもしばらく語られることはありませんでした。不干渉条約が設けられた部室はどれだけ寒かっただろうか、耐えられません。でも、未来から見れば不干渉を誓ったことは間違いではなかったと思います。私だったら、きっと自分のしたことに耐えられなくなる。それで部を去ってしまう。だから一人で”スクールアイドルとして”冬を耐えたことが今につながっている。無駄じゃなかったって思うんです。
雪解けは花帆とさやかのひたむきさ、そして夢を覚えていてくれた綴理のおかげ。背負い込んでいたものもしまっていた夢も素直に口にすることができるようになりました。
梢も仲間に夢を繋ぎ直してもらった一人なんです。

仲間と作り直した夢はもう一人のものではありません。4人から6人さらに9人と一緒に夢見てくれる仲間が増えました。それだけじゃなくてもっとたくさんいます。もちろん私たちも。
叶えたいのはラブライブ!優勝です。
先頭を走り続けてくれた梢。背負い込みすぎるけれど、その分たくさんの喜びを背負って卒業してほしいです。
夢を信じ、一緒に叶えようと歌い続けた集大成となりますように応援しています。

最後となりますが、花帆がしきりに言う「花咲く」という言葉。これって「夢が育つ」という意味だと思っています。
ただ夢見るだけではなく、自分の力で咲かせるのが大事だということ。そして、咲いた花からは新しい夢の種が生まれるのです。
蓮ノ空に種は撒かれています。あとは笑顔の花を咲かせるだけです。
