見出し画像

母子同室の洗礼

出産前日に転院したり、出血多量で貧血になり寝たまま研修中の助産師さん(同郷の大学生)にご飯を食べさせてもらったり。バタバタしつつもネタに溢れていた出産を終え(また機会があれば記事にしたい)、いよいよ迎えた母子同室。批判される覚悟でいうけれど、私はこの母子同室がとても辛かった。おそらく私はほぼ産後鬱状態だったんだが、それに拍車がかかったと思っている。ただ決して産院や携わっているスタッフの方々を非難しているわけではない。
検診や沐浴以外はほぼ子どもと一緒。もちろんとってもかわいかったが、いきなりふにゃふにゃの新生児を渡されてどうしていいか分からず、戸惑いの感情のほうが大きかった。某たまご雑誌で予習はしていたものの、実際に目の前にすると全然違う。緑の青海苔みたいな便が出るなんて知らないし、こんなに泣き続けるなんて聞いてない。背中スイッチの対応方法も、濡れたら服を着替えさせることも、産院のちょっとクセのある哺乳瓶の付け方も、全部わからなかった。
小さな部屋のなかで泣き続ける赤子とふたり、面会は1日2人まで15分。テレビをつけることもせず、シェフが作る産院自慢のご飯もろくに食べられず、抱っこで寝てくれている間にスマホで「新生児 寝ない」と検索する日々。私の貧血治療のため入院が少し延びたぶん、孤独を人よりも少し感じてしまったのかもしれない。
ナースコールを押して助産師さんを頼るのがなんだか悪いことのように思えて、泣き喚く子どもを抱えたまま項垂れていると助産師さんが様子を見に現れた。「あらー泣いてるね」「そうなんです。何してもだめで…」「代わろう。一生懸命がんばったね、お母さん」この一言に涙腺崩壊。それまでも涙が突然あふれてきて産院のティッシュを2箱空けていたが、人前で泣くのは初めてだった。助産師さんがどこから取り出したのか、少しシワシワになったティッシュで私の顔面を拭いてくれて、たくさんの労いの言葉を送ってくれた。「一人でがんばらなくていい。すぐにナースコールを押して!ご飯が食べたい、少し寝たい、シャワーを浴びたい。いつでも預かるからね」。この助産師さんのおかげで私は救われたし、ナースコールもバンバン押すようになった(笑)
母子同室が幸せでたまらない人もいると思うし、私のように辛いと感じる人もいると思う。人によってキャパシティはそれぞれなので、どちらの感じ方も間違っていない。私のようにキャパが狭い人はどんどん産院に頼ってほしい。

私的母子同室のポイント
・自分の体を休めることを第一に考える
・ナースコールはいつでも何度でも押していい
・子どもを預けることに罪悪感を覚えなくていい
・ご飯を食べるときは預けていい
・眠りたいときも預けていい
・シャワーを浴びるときも預けていい
・日の光をたまには浴びる
・夫と電話するなど誰かと話す機会を持つ

「出産がゴールではない」「孤育て」という言葉を聞いたことがあったが、その通りだと思う。ここでがんばりすぎて辛い想いをする人が少しでも減ればいい。どうか満たされた心で子どもを抱きしめてほしいし、前向きな気持ちで新生活を迎えてほしい。母子同室で打ちひしがれていた当時の私に言いたい。大切なのは母親が笑顔でいることだよと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?