新NISAを始める前に絶対知っておくべき投資の基本の"き" 第七回
全8回のシリーズでお届けします。
今回は第七回
NISAの出口戦略
恒久化に伴い自由度が上がりました。
目次
・何で今、投資が必要?
・NISAってそもそも何?
・投資のゴール設定
・資産形成で大切なこと
・NISAのデメリット
・投資のリスクとリターン
・NISAの出口戦略
・新NISAの つみたて枠と成長枠 とは?
出口戦略って何?
言い換えると投資した資産を「どのタイミング」で「いくら」売却するかを考える戦略になります。答えは人の数ほどあるので正解はないのですが、その際に考えるポイントだけ今回はお伝えしたいと思います。
それから、NISA制度の目指す「長期・積立・分散投資」を前提に今回はお話しします。
私も出口戦略は悩みました。正確には今も悩んでいます。新NISAは売却すると非課税枠が復活します。この事から短期で株の売買を行って頻繁に資産を出し入れするような使い方も可能です。投資のスタイルによって出口戦略も大きく変わってきます。私も成長投資枠は日本の個別銘柄を購入する枠として活用しようかとも思ったのですが、損切りする際に損益通算が出来ないことがネックとなり活用を見送りました。また、高配当の株を購入して、その配当金を貰う枠として活用することも可能です。色々な活用が考えられますが、長期の複利効果に勝るものは無いと考え、新NISA枠は無理のない範囲の最短で1800万円を埋めたいと思っています。その中身は長期投資を前提とした、インデックスファンドを購入しようと思っています。
長期・積立・分散投資 を前提とした
出口戦略のポイント
何に使う資産なのかで売却の仕方が異なる
2つのケースで具体的に考えていきましょう。
ケース1:学費を貯める
例えば、30歳で結婚した夫婦が、子供のための学費を貯めるたに活用するとします。学費が大幅にかかる高校生までとすると、15年以上積み立てが可能です。下記のような運用をしてみました。
最終的に積み立てられた1454万円を必要な分だけ取り崩すことが可能です。
この場合、元本は900万円でリターン(運用収益)は554万円です。
塾の費用が必要な場合は、月々支払えばよいので定額(毎月決まった金額)で売却することができます。その方が一括で100万円引き出すより、毎月複利効果を得ながら引き出すことができるのです。とにかく、引き出すときは必要なタイミングギリギリを狙うのがセオリーです。ただし、証券口座で定額設定をしていない場合売却に1週間程度必要になりますのでご注意ください。また、新NISAは空いた枠を翌年に投資することが可能です。
その先、大学に入学に必要な資金は、必要な分だけ売却する事が可能です。ただし、その時の商品の価格は確認が必要です。例えば株のインデックスファンドに投資している場合は、一時的に値を下げていることもあります。リーマンショックレベルの暴落だと、15年かけた恩恵が吹っ飛んでいる事もあり、少し待てる資金なら1年くらい様子を見ることをお勧めします。そういう事態に備えて少し、預貯金をお持ちいただくか、株以外の資産に分散投資をしておくことをお勧めします。
ケース2:老後の暮らしを支える
老後のために運用した資産の使い方を今度は考えてみましょう。
例:45歳から65歳までにNISA枠を埋めて、65歳から取り崩して老後の資金に充てる場合、下記のように運用したとします。
取り崩しを計算する際はこちらのシュミレーターがお勧めです。
毎月7.5万円を20年間 利回り6.3%で運用できれば、投資額1800万円で65歳の時に3500万円になってます。20年という年月で複利効果が大きくなっていますね。
では、この資産を90歳まで取り崩して行きましょう。取り崩し方は定率(%を決める方法)と定額がありますが、額が決まっている方が生活設計がしやすいので、今回は定額にします。MINKABUのシュミレーターは今回出した試算結果を取り崩す場合をシュミレーションできます。
この時大切なのが運用しながら、取り崩す事です。
90歳までの25年を同じくらいの6.4%で運用しながら取り崩します。非課税枠のNISAなら税金も取られないので、このシュミレーション結果の金額を受け取ることができます。
計算結果から、毎月23万円を取り崩して行くことが可能です。もちろん毎月額を減らしつつ、どこかのタイミングで100万円などまとめて売却する事も可能です。こちらも長く運用すればするほど、複利効果が続くので必要なギリギリまで運用していく事が大切です。また、毎月の取り崩しの場合はあまり資産の暴落を気にしなくても良いと思います。15年の中で平均化され想定していた運用利回りに近くなると考えられます。
リスクを減らす出口戦略は長期で運用しながら取り崩す
上記の2つのケースからもわかる様に、賢く複利効果を得ながらリスクを抑えるためには、一括よりも少しずつ取り崩す方が良いと考えられます。もちろんタイミングによっては、一括で投資しているインデックスの上昇タイミングで売却することも可能ですが、それが解ったら苦労しませんよね。また、複利効果は長く運用すればするほど、資産が増えるので売却すべき資産を何種類か選ぶ場合は、運用利回りと運用した期間を比べながら売却する商品を選ぶことをお勧めします。シュミレーターなどを使って比較すると具体的な数値が比較できると思います。
NISAで絶対やってはいけない売却
最後に、繰り返しになる項目もありますが私が考える、絶対やめてほしい売却方法をお伝えします。
暴落時に怖くなって売却する
これは、本当に絶対だめです!リーマンショックもコロナショックも株価は数年で戻りました。最近時はネット証券で毎日気軽に資産の±が確認できる反面、○○ショックが起きるとみんな慌てますよね。SNSも騒ぐし、煽るし。でも歴史は繰り返します。必ず戻るので落ち着いて待ちましょう。
ちょっと利益が出たら売る
日本人の投資信託の保有期間って3.8年らしいです。この記事を読んで本当にびっくりしました。この期間だと複利効果も全然無いですよね。投資でいうと短期~中期くらいの期間で全然長期投資の恩恵が受けれません。
私も、過去何回か手を出してしまったアクティブファンドをあまりに利益が出ないので損が出ないタイミングで売ったことはあります。その時は2~3年で売りました。ただ、インデックスファンドは、資金が必要なギリギリまで運用して、住宅購入などに充てています。複利効果がもったいない。でも、初めて投資すると、300万円位ファンドを買って、3年くらいで100万円位利益が出る事って結構あると思うんですよね。2020年あたりでS&P500のインデックス買っていたりすると、もっと利益出てますよね。思わず利益確定、通称 利確 したくなるのは解りますが、もったいないです。もし、うずうずしたら、シュミレーションしてください。
例えば300万円を一括でインデックスに投資してとします。
※S&P500を想定した運用利回り
300万円を3年で運用利回り11%なら410万円になります。+110万円
300万円を15年で運用利回り11%なら1470万円になります。+1170万円
多少運用利回りが落ちて8%でも951万円です。
全然違うんですよ!複利は後からついてくる。資産は気長に育てるがセオリーです。
資金が必要な場合、NISA枠は最後の砦
自分の資産は色々な形でお持ちだと思います。
・普通預金
・定期預金
・会社の財形
・NISA以外の投資
・NISAの積み立て投資
何か資金が必要になった際に優先順位が必要になります。その時に確認頂きたいのが運用利回りと節税効果です。普通預金はインフレで目減りもするものなので、必要なサービスや商品に変える優先度では1番だと思います。次が定期預金や会社の財形です。ぜひ利回りを比較して解約すべき金融商品を確認ください。さらに、投資している資産の中で比較します。NISA枠の資産が節税含めて利益が多いのであれば、それ以外を売却することをお勧めします。投資ってリスクがあるからと、真っ先に売却をせずに比較検討を必ずして下さい。10年後の資産が大きく変わります。
NISAは入り口の紹介が多いのですが、出口が語られることが少ないです。投資は売却時の善し悪しが、今までの運用以上に大切だったりするので、買う時以上にしっかり考えてみて下さいね。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?