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2023/10/20 ひとりお出かけ記録



ヨコハマのB面、黄金町


横浜という街は、A面とB面がある。
キラキラとしたみなとみらいをA面とするなら、
B面はドロドロした街だろうか。
だとすれば、B面は、黄金町だ。

私は横浜市在住といえど、「横浜に住んでいます!」
と言って許されるような地域かどうかギリギリなところだが、
それでも黄金町の噂はよく聞く。
というか、「黄金町」という街を知ったときから、
私は黄金町がヤバそうな街だという認識がなぜかあった気がする。

黄金町とよく並べてヤバいと言われる街に、日の出町・寿町などがある。
ここら辺もヤバいと言われる理由はもちろんある
(火のないところに煙は立たず…どころか火が立ちまくっている)のだが、
今回は黄金町を取り上げるため、ここでは割愛する。

黄金町は、少し前までたくさんの問題を抱えた街だった。
原データまでは見れていないためWikipwdiaの情報にはなってしまうが、
以前は薬や銃の売買、売春(遊郭街もあった)、その他いろんなヤバいこと…
が行われていたらしい。

2000年代に一斉摘発され、ここら辺はおさまったとか。
また、アートとのコラボレーションにより、
黄金町をより安全な街にしようという試みのプロジェクトも行われたらしい。

その一方で、やはり一度ついた悪評はそう簡単には消えないのも事実だ。
私が今こうして横浜のB面に黄金町を挙げているように、
やはり今でも黄金町を「そういう街」と思っている人は多いだろう。

治安が悪いとは言えど、真昼間にヤバいことに巻き込まれることはないはず。
そう思い、私のイメージの黄金町と
本当の黄金町の姿のギャップを測りに行くべく、黄金町へと向かった。



漂うヤバさと謎の恐怖感


実際に黄金町を歩いてみて初めに感じたのは、
「まだ全然残り香がある」という感想。
実際に黄金町に行く前は、悪評が残っているとは言えど、
かなり綺麗で安心感のある街になったのだろうと予測していた。

しかし、実際に出歩くと、(以前よりもマシになったのだろうとは思うが)
たまに「ちゃんと時間通り・指定通りにゴミ出ししているのかな…」
と思うような臭いがしたり、
「18歳未満入店不可」のお店しかないような通りがあったりと、
なかなかカオスであった。
かなりの異質感に、謎の恐怖感さえ覚えてしまった。

そんな道を理由なく歩き続けるのは憚られるのだが、
私が黄金町に来た目的は、
ただ現在の黄金町の姿が見たかったというだけではない。
美味しくてコスパ最強の韓国料理店がこの街にあるらしいのだ。

というわけでズンズンとR18通りを進んでいく。
別に満20歳なので堂々としていいのだが、
流石にそんな店ばかりの道は人生で初めてなので少し動揺してしまう。
道を抜けた先、少し歩くとその店は見えた。



「1人前からOK」という贅沢


やって来たのは、「純's コッチン 7号店」。
お惣菜パックを販売するこのお店では、
店内で料理をいただくこともできる。
この料理が安い上になかなか美味しいと聞き、駆けつけたのだ。
食べログでメニューの写真を確認したところ、
お酒も安かったので昼から飲んでしまおうと思っていた。

入店し、カウンターに着席。
店員さんから頂いたメニューを見ると、
お酒が全体的に数十円値上がりしている。
食べログで見たメニューの写真はおそらく数ヶ月前のバージョンだったので、
その間に値上がりしたのだろう。

なんとも悔しい。
食べログのメニュー情報を見なければ、
来店しても「ここのお酒、安い!!」と純粋に喜べただろう。
事前にメニューを見てしまったので、ほんの少しの値上がりで
この嬉しさが半減してしまった。(ドケチ)

気を取り直し、ホッピーセットと激辛サムギョプサルを注文。

誰とも会わないので、ニンニクもへっちゃら


誇張抜きで、ここ数ヶ月食べたものの中で一番美味しかった。
私は特別辛いものが得意なわけではないが、
この辛さはギリギリ美味しく食べられるレベルだった。
そして辛さを乗り越えてやって来る複雑な旨味成分が多幸感をそそり、
思わず笑顔になってしまう。
肉の旨味もすごいのだが、ただ辛く味付けされているのではなく、
圧倒的に辛ウマ。

コンロで焼きながら食べるので、だんだんと焦げ目がつき
味も濃く・辛くなっていくので、
始めから終わりまで病みつきになる一品だった。

ぼっちには、このサムギョプサルとかいう
「二人前から承ります〜」系料理を、一人前の小さな鉄板で
提供してくれるお店が本当にありがたいのだ。



ドロドロのあとはキラキラ


黄金町の雰囲気を味わい、お腹も満たされたところで次の目的地へ。
黄金町の重たい雰囲気から一転、到着したのは「港の見える丘公園」。
ここはみなとみらいの一部と言えるだろう。

遠くにガンダムが見えたんだけどあれは何だろう…


みなとみらいには他にも公園があるが、
ここのウリはなんと言ってもバラが鑑賞できることであろう。
バラのある庭の作りもよくできていて、
私が歩き回っている最中にもたくさんの庭師が作業をしており、
とても大切にされているのがわかる。
バラの周りにはさまざまな人がいて、見て鑑賞する人もいれば、
カメラを持っている人も、そしてその風景を水彩画として描いている人もいた。

近くで見ると、花としての脆さを感じてより一層愛おしい


もうすぐハロウィン


実はこの公園に来た目的は、この公園の中にある
神奈川近代文学館に行くことである。
前日に、ここで行われている井伏鱒二展のポスターをたまたま見かけた瞬間
この場所を訪れることを決めた。

とは言っても、本当に恥ずかしながら、私は井伏鱒二の本を読んだことはない。
『山椒魚』『黒い雨』など作品名は知っていたものの、
今まで読む機会はなかった。

こう見えて(こう見えて?)私は中学高校時代は読書家で、
父の本棚にある本を勝手に取って読んだり、図書室でよく本を借りていた。
中でも『文豪ストレイドックス』にハマっていた時期は、
メインキャラクターである太宰治や中島敦など何人かの作家は
「作品集」なるものを学校で借りて読んでいた。

そこそこ読むスピードは速いと自負しているのだが、
読んだり見たりしたものをすぐ忘れてしまうのが玉に瑕で、
今でも映画を観ても1ヶ月後には「あらすじ」しか語れず
結末を忘れていることもしばしば。
本に至っては、最初から最後まで記憶が抜けてしまい
「その本知ってるよ」と言うだけしかできないこともある。

少し話が脱線してしまったが、私は本を読むことは好きで、
こういった文学館や美術館など、何かを鑑賞する行為も大好きである。
(悲しい哉、ほぼ例外なく内容を忘れてしまうのだけれど)

なぜ私が著作を読んだことのない人の展示に行きたいと思ったかというと、
ポスターを見た時、展示の企画側の人のことを一瞬考えたからだ。

なにか展示を行うとなったとき、
いきなり取り扱うものが決まるということはまずないだろう。
おそらく何人かが集まって会議をし、案を出す。
どういう理由で、その展示をやりたいか。
そしてその想いが伝われば、展示を決行することとなるだろう。
ということは、この井伏鱒二展も、人の思いが詰まった展示ということだ。
その思いを、感じてみたくなったのである。



ぼっちのインスピレーション


神奈川近代文学館は、特別展である井伏鱒二展と、通常展に分かれている。
通常展は、横浜や神奈川にゆかりのある作家の作品などを紹介している。
通常展も特別展も、基本的には撮影不可なので、
ここに写真を載せることはできない。
唯一、井伏鱒二展を開くにあたって編集委員の方が書かれた、
井伏氏へのお手紙のような文章のみ、撮影可能であった。

ストンと落ちてくる言葉

私が見たかった「人の思い」はまさにこれであった。
この方の中にまだ井伏氏のかけらが残っていること、
そして思慕の念がとても伝わる文章であった。

展示を見て思うことはいろいろあったのだが、
意外なこととしては、彼は小説だけでなく絵も描いていたということ。
やはりクリエイティブな行為というのは
何かセンスが繋がる部分があるのかもしれないと思った。

よく○○展を見て思うのは、「こいつ、友達多いな…」である。
友人・戦友・頼りにしていた先輩後輩など、
師や家族以外にもたくさんの人と親しくしていた記録が残っており、
その人からの影響を受けることもしばしばある。
今回の井伏鱒二展も例に漏れず、知人が何人も大々的に紹介されていた。
インスピレーションというのは、やはり人との関わりによって
高まるものなのだろうか。
たくさんの人と意見を交わし、たくさんの人と繋がりを持つことは、
もしかしたら本人のセンスの有無と同じくらいに大切なことなのかもしれない。

もし私が死んだ後、誰かが私の展示をするとしたら…
おそらくこのままだと「親交のある人物」みたいな紹介が全然埋まらない。
ぼっちである。
このままではまずい。
もっとたくさんの人と積極的に関わろうと心に誓った。



心地いいシチュエーションを知る


つい先ほどぼっち自虐をしたが、
ぼっちは悪いことではないと、心から言いたい。

人間というのは本当に個体差が大きい生き物で、
何を心地よく感じるかというのは人によってバラバラである。

3日間休日があったとして、友達と何日会いたいか。
基本的に一人でいる時と誰かと一緒にいる時、どっちの方が安心するか。
休日は外に出かけたいか。
何をする時が一番心地いいか。
ストレスがあるときは、どうやって解消するか。

自分が心地いい状態でいるための説明書を持っておくと、
きっと私たちの人生はもっと簡単になる。

もしぼっちでいることが心地いいなら、積極的に孤独を選べばいい。
誰かといる方が安心なら、友達を誘おう。
大切なのは、自分が心地いいシチュエーションを知って、
そのシチュエーションを再現するための環境を準備することだ。

例えば、一人で自然を見にいくのが好きなら、公園や植物園など、
自然を感じれるスポットを調べておく。
友達と出かけるのが好きなら、仲のいい友達をたくさん作る。
なにか切羽詰まって、「心地いいシチュエーション」が必要になったとき、
それを再現するための下準備ができていないと焦ってしまう。
その時のために、まずは自分を知って、自分に合った努力(=下準備)をしよう。

この日の締め・私の心地いいシチュエーション


私は最近一人で飲んでボーッとするのが好きだ。
このシチュエーションの下準備のために買ったワインや日本酒を
中途半端な量でつい冷蔵庫に何本も溜めてしまうのが、最近の悩みである。

お酒の話はまた次回にするとして、今日はここまで。


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