異世界探報期：ルプなな

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

あらすじ

公爵令嬢リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーには秘密があった。
それは『20歳で命を落としては５年前の婚約破棄の瞬間に戻る』こと。
商人、薬師、侍女、騎士など様々な生き方を存分に満喫してきたが、
７回目を迎えた今回の人生こそ長生きしてごろごろすると決心する。

しかし、決意を胸に城を飛び出そうとしたところ、
残虐と名高いガルクハイン国の皇太子アルノルト・ハインと邂逅。
彼こそ騎士人生でリーシェを殺した張本人だが、妙に気に入られ——

「願わくはどうか——どうか、俺の妻になってほしい」

生き残るため、戦争を起こさせないため、過去に得た経験を駆使し、
敵国の花嫁となったリーシェの７回目の人生が始まる。

公式サイトより

女性向けナーロッパ

令嬢ものの火付け役となった作品は転生要素による知識チートを元になったゲームを知っているから…という由来で行っていた。それを用いて先だった悲劇の発生を回避する…というのが大筋だった。その中で主人公が道中の経緯を変えたことによる変化が新しい変化を呼ぶという流れ。この悲劇回避の要素を利用して現代で一ジャンルを築いたのがループものであり(シュタゲとまどマギが普及に一役買った感じがある選択肢を選ぶノベルゲーとの相性の良さなどもあるだろう)、悪役令嬢ものも性質上ループを組み込んでも問題なく動作するというわけだ。

この作品は筆者が産地偽装なろうと呼んでいる類の作品で、なろうで市場価値があると判明したジャンルに商業レーベルが取り組んでいる類のものである。正直この段階でもう大きくは失敗しない公算が高いのだが、マヨ太郎のような怪作もたまに出てくるので結局見てしまった。ガチャはやめられない。

特徴としてはやはり次々と出てくる個性豊かな美男子全員に一目置かれていくおもしれー女主人公がおりなす圧倒的乙女ゲー感だろう。ご先祖様は主人公の自我が強く主張されてエンタメに振っていたところをガッツリ乙女ゲーに振り直している。プレーンでちゃんと可愛いキャラデザの主人公が攻略対象に焦点を合わせて話を進めていく。余談だが女性も好きで感情移入する媒体としての役割がああいうプレーンで少し主張の弱いキャラデザを生む…らしい。

ドライブスルー

なろうと言えばやはりこれ、基本的にあっさりと話が進む点が見逃せない。ループものとはいえ主人公は毎回違う人生を歩んでおりそこで各種のスキルセットを取り揃えている。そのため、大体の事態はあっさり突破する。ストレスフリーという観点では悪くないが、いささかあっさり過ぎるのと、事態解決後に「ワクワクスキルセットで全方位対応余裕でした！」とくるのでいささかワンパターンである。

ループものは知識チートがあるけどイレギュラーに都度対処しなければならないので話にメリハリがついて面白いので、そういう部分がループものと少し相性が悪いと感じた。乙女ゲーに出てくる男たちに魅力を感じれる人はそこを中心に話を進めて欲しいはずなのでここは需要に合わせて取捨選択していると言えそう。

小目標の不在

ルート自体がイレギュラーなものに入った…という展開で、主人公の死因になっている戦争を引き起こす元凶と直に接する隠しルートに突入したという運びになっている。

大目標が存在し、それを理由に婚約者とイチャイチャイチャイチャするわけだ。ちょっとした不満はそこに至るまでの組み立てが不足しており、序盤がただのイケメン品評会になっていた点。少しずつ相手の素性や考え方が明かされ小出しにされていったり、善悪で揺らぐイケメンなどはエンターテイメントしているのだが、それは小目標を解決するついでにすることができるので、いまいち話が進んでいるのかしないのか分からなかった。

終盤

終盤は火薬と戦争がキーワードになる。金属加工技術がある国に対して同盟などせずとも武力で奪ってもいいと主張する主人公と、それに対して火薬を売り込もうとするイケメン5人目が話の中心になっている。

これは銃が開発されて大戦争まで起こるのか？と視聴者に予想させつつ、主人公はこれらの諸問題を上手く解決しつつ、イケメン1人目と5人目にある種の救いを与える展開になっている。ここは素直に上手だった、問題を提示してその解決に意外性を含ませる。ただイケメン1人目と5人目を説得する方法が丸かぶりだったのでここは一捻り欲しかった。

総評

ふつうに見れる。乙女ゲーのアニメ化が好きなら是非？