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僕は土地を7枚引いた。

2回戦目のトレンチ戦、不利マッチとは言えサイド後
は自信のあるキープから連続で7ターンに渡り土地を引いていた。その時、遠くで遮断機の鳴る音を開けた窓から感じながら、気付くと俺の意識は何時か観光写真で観たジンバブエにあるソマリサ・キャンプ(ワンゲ国立公園)まで飛んだ。
いつの間にか5月らしく暑くなっていた。こんな日には屋外シャワーを浴びてからMTGをしたら涼しいだろう。
そんな事を思いながら俺は淡々と土地を並べるbotと化していた。何をしに、此処に来たのか。

ソマリサ・キャンプ【ジンバブエ/ワンゲ国立公園】


第1回限築杯が終わってからと言うもの。

あの9月以降、俺は祭りから帰る家が解らなくなってしまっていた。
数日は限築杯サーバーを監視して対戦募集がされていないか覗いてみたり、気持ちが落ち着いてからもモダンやレガシーのデッキにインベのカードを入れ、付き合わされている周りが思う「他にもっとまともな選択肢あるだろ」的な言葉を「それお洒落ですね」みたいな大人のニュアンスで濁してくれる事に甘えてみたりと、さながら俺はインベイジョンブロック構築の亡霊か。
普段ろくに勝つ努力をしていない俺が8位まで残れてしまった事がより頭を狂わせている。
やがて3月某日。
添削さんから第2回限築杯の正式なアナウンスがされた。
俺は火葬され灰になるまで燃え尽きる必要がある。

デッキ選択

さよならクローシス、ミドルスクールEDHでまた会おう。

前回より圧倒的に環境解明が進み、プレイングと採用するカードの選択にアップデートを重ねていかなければ本番で勝つ事は難しいと連日の練習卓で感じた。
メインから十二足獣を見る事が当たり前になり、反論が対策になり辛いデッキが環境に増えた結果サイドから反論が減る傾向を感じ、撹乱が流行っては廃れ、また流行る。
私事ではあるがプライベートの調整が一時期上手くいかなくなり、2週間練習から離れたがその間にメタゲームが二転、三転と変わっている話を聞かされるからこの環境は上辺だけの知識では語れず、面白い。
環境が遅い途中まではクローシスコントロールでドロマーをメタっていたが、練習で見た相手に耐性が無い事を理由に最後は泣く泣く選択肢から除外し、BBBの調整に着手。
完成したリストは以下の通りになる。


メインボード
3 《カヴーのタイタン/Kavu Titan》
4 《疾風のマングース/Blurred Mongoose》
4 《ガイアの空の民/Gaea's Skyfolk》
4 《暗影のボブキャット/Penumbra Bobcat》
3 《十二足獣/Dodecapod》
4 《神秘の蛇/Mystic Snake》
4 《排撃/Repulse》
3 《ウルザの激怒/Urza's Rage》
3 《予言の稲妻/Prophetic Bolt》
4 《火/Fire》+《氷/Ice》
4 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
4 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
3 《シヴのオアシス/Shivan Oasis》
1 《山/Mountain》
6 《島/Island》
6 《森/Forest》

サイドボード
2 《翡翠のヒル/Jade Leech》
2 《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》
3 《次元の被覆/Planar Overlay》
2 《平穏/Tranquility》
2 《急流/Rushing River》
2 《除外/Exclude》
2 《反論/Gainsay》

採用カードと枚数について。
メインから熊対策が常識になり、オオヤマネコが蔓延る中でプロテクション緑を無視出来るタフネス3が重宝されるこの環境では、相手のジェラードの評決を待たずとも十二足獣に頼らざるを得ない時があると感じた。
前回はサイドからの登場だったが本当に欲しい相手は十二足獣を見たくないから相手に選択権のあるハンデスはサイドアウトする為すれ違いになる。その為メインから採用。
シヴのオアシスは1ターン目に起きたいが2ターン目以降絶対に起きたくないので1枚を山に(破壊的な流動に対する最低限のケアでもある)。
カヴーのタイタンはイラストアドバンテージが最高に強いが殆どの場合灰色熊なので3枚。
撹乱については当てる先が無い時にハンドに抱えたこのカードがどうしてもストレスになり好きになれず、最終的に抜けていってしまった。

調整中意識したのはデッキから感じるストレスを少しでも減らしたいと言う事。
具体的には、火力やアンタップ土地を引いたら勝てるような大事な場面や、盤面有利(先手後手をひっくり返せる)1枚を引きたい時、Topから現れたカードを見て「要らね~~」となるのは本当にストレスなので出来れば避けて通りたい。
結果俺のリストは3積み(サイドからは2積み)が多くなり美しさを損なったが、美しさだけで戦える程限築杯は甘くない。
どの試合を通しても同じような動きが取れ、絶対的にどうにもならない場合は有るとしても、基本的にはプレイング次第でどの相手とも戦えるデッキになる事が理想だった。
理想に近付いたのかは残りの練習期間内では測りきれなかったが、この75枚と心中を試みる事にした。


5月7日、第2回限築杯当日。

家族から「仕事休んで出なよ」と言って貰えたお陰で色々な決心が付き、当日参加する事が叶った事を心から感謝してる。
添削さんも言ってくれたが先ずは参加出来て本当に良かった。
今回の俺の最終目的は「勝ちたい」「楽しみたい」を上回る「駄目でも良いから全部出して燃え尽きたい」だった。
そして結果。

R1 ドロマーコントロール 2-0
R2 トレンチ  0-2(冒頭に書いた通り土地を7枚引く!)
R3 ドロマー(クロックパーミッション) 1-2
R4 マシーンヘッド(デアリガズ) 2-0
R5 ドロマーコントロール(ながよさん) 1-2
R6 ステロイド(ぜふぁ郎さん) 2-0

3-3 の19位で終わった。

一戦一戦真剣になり過ぎてしまい細かい事は実はあまり覚えてなくて、細かいミスは有ったと思うが負けに繋がる程(相手のFoFで総くずれと荒廃の天使渡してるの忘れるとか)酷いミスは無かったと思う。一部ぜふぁ郎さんには「受け身過ぎる」と突っ込まれたレイジの使い方はあったものの。
運の要素はもうどうしようも無いので土地を連続7枚引いた事も新しい体験として割り切れた。ストレスを減らしたい構成のリバウンドで多大なストレスをデッキから与えられるのも因果応報っぽくて面白い。二度と勘弁願いたいが。
負けた対ドロマーの試合2つは両方アジェンダの着地を巡るカウンター合戦の果てのバウンスすらもすり抜けて置かれ、墓地の潤沢なカウンターと除去に負けているので出来る事は全部したように思う。
ながよさんにはレイジをキッカー込みで2回撃ったが墓地からドロマーチャーム5点ゲイン2回には流石に負けた。
完全に燃え尽きたと思う。
勿論悔しい気持ちはあるし結果は出なかったが、自分の限界には挑戦できた。

何よりこの環境で、このレベルの高いプレイヤーが集まった参加者達の中で練習から本番まで参加出来た事は自分の中で第1回を越える経験になった。
佐竹…じゃなくて解説の卑猥さんにお会いすることは叶わずだがまた修行して出直すとして。
無事に燃え尽きる事も出来てこのnoteを書いている今では今回得た物を糧に次の新しい経験に向かい始めたい新鮮な気持ちで満たされている。
とは言え、とりあえずはBBBをアップグレードしてミドルスクールに持ち込みたいような、巷でブームになりつつあるブロックパーティ用にチューンしたいような…燃え尽きてもまだインベイジョンで遊びたい気持ちは変わらないのだが。

最後になりました。
限築杯運営スタッフの皆さん、添削さん、参加者の皆さん、一緒に参加してくれたyaruさん、参加を後押ししてくれた家族。
本当にありがとうございました。MTG続けてきて本当に良かった。
優勝のマサさん二冠おめでとうございます。
いずれまた来ると信じてる第3回こそ「予選だけは強いプロフェシー」の底意地を見せられるとお約束をして。

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