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「食旅脳内メモリーズ」インド編


人生二度目のインド旅は南インド、ケララ州。南国の雰囲気漂うコーチンは気候も暖かく、人々も南国的で緩やか。

道に迷い尋ねれば、見つかるまで案内してくれる親切な人が多く、着いてすぐ緊張は解けた。

かつてスパイス貿易で栄えた港町フォート・コーチンは古くからあるスパイス倉庫などが立ち並び、カフェやアートギャラリーとしてリユースされていた。

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ポルトガル・オランダ・イギリス領だった時代の建物も多くインドでありながらインドらしからぬ雰囲気も持つ。

海沿いにはチャイニーズ・フィッシングネットという名の大きな網が付いた船が並び、バイクに乗った人々が連絡船に乗るのに立ち並ぶ。

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時間ある限り食べ歩きもした。

南国らしくココナッツを多用した料理が多く、フィッシュカレーやバナナの葉で包み蒸し焼きした魚、香り米バスマティライスとカレーを炊き込んだビリヤニなどは毎日食べても食べ飽きなかった。

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南インド料理の研修のため数日間ホテルのレストランの厨房に入らせてもらった。

大きなホテルの厨房なのでスタッフも多いが、フレンドリーな人たちが多く、特にネパールからの面々は親切で優しくしてくれた。


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フレッシュな肉や魚貝や豆がスパイスと共に次々と美味しいスパイス料理に化けていく。

コンロ前に並び、カレーを次々仕上げていくコック達の隙間から、何か学べることないか覗き込んだり、下準備を手伝ったり。

朝早くから夜まで厨房にいるので、楽しみは賄いだった。

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大きなホテルなので賄い担当がいるのだが、僕がいた時に担当していた彼はいつもの賄い作りの人のお休み期間にスポットで入ったお調子者男。

彼は朝から大遅刻、さらに調理について長々と大演説。

待ちわびたスタッフの視線も諸共せず、時間ギリギリまで巨大な鍋でビリヤニを作り続けた。

お喋りの口を止めることもなく。

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みんなからのブーイングが頂点を超える一歩手前でビリヤニは完成!

ホカホカをみんなでお皿にたっぷり乗せていく。

ギュウギュウに席を詰めながら、熱々のビリヤニを手で解して冷ましながら、手をスプーン代わりに口へ運んでいく。


あの一体感・満足度はたまらないインドの芳しい香りの思い出。

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(季刊誌@h 2019年冬号掲載)

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