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よろず鍵屋の事件帖 ユメヨリ強奪事件→了!

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先月8/23更新の72話にて、2020年10/15よりスタートした「よろず鍵屋の事件帖」の連載が終了いたしました。

軽めのあとがきと、↑の集合絵のパーツ毎の絵を載せたいと思います。記事の最後には、100円課金でほんのちょっとだけ高解像度なものも載せておきますね。

マンガ5のお話を頂いたのは2020年の4月末、1週間で企画を練り、完結まであっという間の約2年でした。妖怪や怪獣好きの僕は、鬼太郎やヘルボーイのような現代舞台の人でない存在の活躍するモノが自分の形で描けたらいいなとずっと夢想していたので感慨深いです。

本音を言えば3年くらいかけて、企画時の内容を余さず描きたかった…!というのはあります。それでも出来る限りのベストを尽くし着地点を見失わずに完走できた、僕にとってお気に入りの作品になりました。(編集部の皆様、本当に色々ご迷惑をおかけしました。そしてありがとうございました。)

ツイッターでも書きましたが、よろず鍵屋の事件帖へのコメント、感想、ファンアートにはいつも元気をいただきました。ありがとうございます。

それでは以下、エピローグ集合絵に物語ネタバレあり前提の駄文を添えて…

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コカちゃんと鍵屋アカネ

どうやら威借の装「火車」は補修改良されてアカネの標準装備になったようですね。金剛秘鍵の柄の七宝模様と、コカちゃんの帽子の意匠が新たな皮衣に取り入れられています。一緒にお悩み解決をしたいコカちゃんの願いを汲んでのことでしょうか。きっと新たな機能も搭載されていることでしょう。アカネは描くたびにキャラの持つカッコ良さに引っ張られて大人っぽくなりました。これからも現場で活躍することと思います。アカネのナレーションにあるように、霊層の再活性化は今後世界をどのような方向へ向かわせるかわかりません。少なくとも、良いことばかりではないのは確実でしょう。でも大事なのはアカネをはじめとしたヘンゲや人々に、困難に対処していこうとする「輝き」が宿っているということでしょうか。

コカちゃんはどんなユメヨリに成るのでしょう。僕が何となく想像するのは、コカちゃんの人格と意識を持ったしゃべるユメヨリになるのでは?ということです。もともと画皮粧や夜弥之夜摩人形も意識の存在を感じさせ、摩多羅九識面も天眼の中でしゃべりました。AIがどんどん身近になる昨今、複雑化した人工意識の誕生はますますリアリティを増している人の夢の一つですので。

(作者の僕が書いたことでも商業マンガに書かない限りは、全て二次創作的妄想と思ってください。)

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シュラクとオコチヨ、ひまわり

オコチヨは髪も伸び、体格もよりマッチョになりました。どうやら群妖の術も練習し始めたようです。シュラクやその先生であるダンザブロウとオサンに習っているのでしょう。実を言うと、オコチヨは物語の中でもっともっと成長させたかったキャラでした。見た目的にも能力的にも精神的にも。「まき」の展開を余儀なくされてしまった雷公篇でも、犬部との対決はもっとじっくり描きたかったです。犬神モードももっと描きたかったです。オコチヨのこれからの成長がまたいつか描けたらいいなァ!

シュラクはエピローグ後、狸囃子連やウバともコラボしたりして逢魔京6区「面霊座」で演奏を披露している様です。最終話ネームを描いている時、アカネ達の出動シーンに彼もいるべきか、考える瞬間はありました。でもこれがベストだろうとすぐに思いました。シュラクのハッピーエンドは間違いなくこれです。それに彼のことですから、よろず鍵屋の仕事も手伝い続けるでしょう。シュラクはキャラのコア部分が描き切ることができたと思います。「コカちゃんとシュラクが組む回」というのが企画時にあったので、それが描けなかったのは悔いが残りました。

あまり掘り下げることはできなかったひまわりちゃん、アカネとの出会いの回を作りたかったですが、あくまでちょこちょこ物語で活躍するのが彼女らしかったかもしれません。何気にスマホ経由で「情報招き」をしており、「電子の世界にも霊子は遍在している」ことを示唆しております。戦闘タイプではないですが、霊力は高いのかもしれませんね。

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道通様

恐らくヒシハに次いで古参のよろず鍵屋メンバーでした。霊力を逢魔京で回復するのに時間を要したため、最初は間接的なお手伝いだったでしょうけれど。これも以前ツイートした気がしますが、蛇キャラは首が増えることが多い中、尻尾を増やす方向でデザインできたのは自分でも気に入っています。戦闘は苦手ですが潜入の能力は便利でしたね。ちょっと便利すぎるくらい?よろずメンバー中で一番妖怪みが強いかもしれません。巫蠱を行うものへの露骨な怒り、独特のマイペースさ、にょろろんとした喋りなどなど。今後もよろず鍵屋のサポートで活躍することでしょう。

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とおるとヘンゲフレンズ

連載の時期的にも、実は一番じっくりと話数をかけて描けたキャラはとおるくんかもしれません。彼の物語の入り口は色々と思い返すことがあり、僕自身描いていて1番しんどかったです。ここで読者さんが減るかもしれないとも思いましたが、どうしても描きたかったお話でもありました。逢魔京やそこで暮らすヘンゲ達を描くのは無条件に楽しかったです。もっともっと描き続けたいくらいに。ウバやチトセマルに見守られ、姉御肌のオトラ、人懐こいヒフミン兄弟、優しく穏やかなカヤツリとアミキリたち。よろず鍵屋の別動隊としての活躍は想像が膨らみますね。エピローグ版のヒフミン、オトラ、カヤツリは少し夏っぽい装いになりました。どのキャラも愛着があります。

ちなみにチトセマルには物語の本筋にはさほど絡まないバックグラウンドストーリーがありました。描く時間があれば良かったのですが…これもいつか機会があればと願います。

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オタケとキヌ

なんとなく仲が良さそうな絵になりました。本編では数コマ?並んでたり会話してるっぽいシーンを描いた記憶があります。それぞれともに6区でお店を営んでいますし、ヒシハという共通のお友達もいるので親しいのではないかと。

マンガあるある、糸目キャラの開眼シーンを描けてよかったです 笑。もしかしたら僕が商業マンガで描くのはこれが初めてかも。忍ペンまん丸の開眼ネンガ様を思い起こしながら描きました。幽霊のお客さんが増えたことで、人一行一のメニューも増えることでしょう。

キヌも描いてて楽しいサブキャラでした。ぐるぐるメガネが似合ってます。自身が着ている水着は彼女がデザインしたものでしょうね。ヒシハとともに人間界のファッション研究も今後進みそうです。

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総大将と守鶴

総大将は“強い指導者“タイプにしませんでした。たぶん、ヘンゲたちはそういうの苦手だと思ったのです。素敵なおじいちゃんに描けて良かったです。かなりレアな「ぬらりひょん」像になったのではないでしょうか。大きな頭で、気づくと家に侵入し(勝手にお茶を飲んだりし)ている…これグレイ型宇宙人に似てる!と、数年前にXファイルを見ながら思ったことがあり、以降誰かが同じこと思う前に描きたいと思っていたものです。ヤッタネ。「総大将」の肩書き含め、元々後年の拡大解釈ですが、関連不明の岡山県の海坊主系のぬらりひょんから、イカタコ的イメージも追加してみました。今後は逢魔京の生態系研究をメインにしつつ、霊層再活性化の影響を調べにフィールドワークへ出ることも増えそうですね。長寿と繁栄を。

守鶴はあまり活躍させてあげられませんでしたね。今回の絵には他の都守も描きたかったのですが、あまりにごちゃごちゃしそうだったので無しに、代表として守鶴を描きました。都守の任務に頑張りすぎるシュラクのことはずっと気にかけていた様です。いきいきとしたシュラクを見ることができて安心したことでしょう。実はシュラクの両親、つまり守鶴の子ですが、彼らはすでにほどけ逝っています。本編で一切触れられなかったのは、守鶴にもシュラクにも彼らの記憶が消えているからです。

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ジム・サントス・大海と山彦くろ、神無下鬼童丸

ジムは現在大学生。民俗学研究に興味があるようです。写真の趣味を続けており、山岳部に所属中です。霊力はそこまで高くないですが、視差霊子術の応用、霊継ぎの術をアカネと編み出しました。霊子生命体専門の治療師でもありますね。

マンガ5のコメントにもツイッターにも「アカネとのその後」が気になる!と戴きました。すみません、実はわざとぼかしています!可能性としては、①そもそも一度身をひいたアカネと、高校・大学のタイミングで再接近していた。②今回の件をキッカケに今後関係を再開する。③今は良き親友同士。があると思います。正直、どれもありそうだなと。それなら各読者さんに自由に想像いただくのが1番楽しいと思いました。

山彦くろは大して活躍しないのに集合絵にいるのは何故…?と思われた方も多いのではないでしょうか。実はそもそも、彼女は現代のユメヨリ事件関連で登場するキャラとして用意していたからなのです。とおる以上に霊力が強く、エンパス能力(感情の波を読み取り感応する霊力繰り)が生まれながらにして使える女の子で、後のコカちゃんの広大な範囲の波を読む力のリスクや、あきお以上の霊能者がユメヨリで霊力を増大させ、ストレスに晒されるとどうなるか…霊能者の鬼化の伏線となるエピソードを担う筈でした。(雷公を抜きにしても、霊能者キャラが男性陣多めになってしまったのも、このエピソードが描けなくなってしまったためです。)とおるの顔のキズ「霊傷痕」も、高い霊力を持つ生き物は自分の体表に霊子体を形成することがある→くろのツノという流れがあったのです。動物の場合は尻尾のような霊子体が形成されたり、その最終形として第1種ヘンゲが誕生するパターンがあるという。なので、くろが1番悔いの残るキャラでして、でも存在しないことにしたくない悪あがきからアカネの過去にチラと出し、エピローグ絵にまで描いたのです。3年、そう、あと1年、時間がもらえれば…!未練たらたら!!

鬼童丸も存在が丸々カットの危機にあったキャラでした。正直、彼の状況や行動は、矢継ぎ早の展開であった雷公篇でも特に混乱したキャラだったと思います。それでも、雷公篇を描くにあたり不可欠のキャラで、この様な形でも登場させて良かったと感じています。せっかくなので本音を書くと 笑、雷公の末端構成員、葦矢たちの状況も描きたかったです。多碓兄弟は葦矢としても上位の役職についていましたが、本当に末端の葦矢は組織の全貌も知らず、雷公に搾取利用されている霊能者なのでした。雷公篇を描きたい一つの理由として、カルト化した集団が利用する呪術の危険さというのがあったので、これまた少し悔いがあります。鬼童丸は良くも悪くも純粋で「家族」に弱いです。かなり特殊な環境で育てられたので今後苦労も多いと思いますが、周りの皆がいればいつか自立できると思えますね。

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ヤタロウとヒシハ

雷公と鏡花という災難に巻き込まれたヒシハ。よろずのキャラには幸せになってほしいと思えるキャラがとても多かった中、ヒシハもその1人でした。ヘンゲの皆の助けがあるとはいえ、アカネを育てるのはたいへんだったと思います。ただ同時に、彼女の表情を描いていると「幸せに生きる達人だったのでは?」という想いもしてきました。鏡花に対しても稀名の人格が全くみられなかったことからサッパリと割り切っているようです。ヘンゲたちは長生きですから、人間は皆多少なり変じていくもので、それによって過去の幸せがなかったことにはならないと理解してもいるのだと思います。左足の絆創帯ですが、雷公の壊滅とともに呪いは急速に消えつつあります。今ではほとんどオシャレとして付けているようですよ。

どうやら、ヤタロウはオタケと夫婦または恋人なのでは?と思われてた方が多かった様ですね。2人は仕事仲間、息の合ったバディだと思います。彼はエピローグ後もちゃんと人一行一で食材精製の仕事を続けていますよ!元々ちょこちょこ登場するたび、器用なその能力で陰ながら活躍することも多かった好青年なヤタロウ。ごく自然とヒシハと一緒に描くようになりました。お幸せにね。

あとがきの結びとして、僕の母と祖母に感謝を。

連載開始まで時間がなく、週刊も初めてだった僕はアシスタントチームを作ることができませんでした。絵の描ける友達も皆多忙で、特殊な情勢のなかで人を探すこともできず…

母にはお古のiPadとでプロクリエイトの使い方を覚えていただき、コマの枠線・フキダシのペン入れ、キャラと背景を分けるマスク処理など、原稿仕上げの下拵えを手伝って頂きました。(ひよこ産業は僕以外にはホワイトなのでお給料もちゃんと払ったよ!笑) 生活面のサポートもなければ、もっと深刻な体調不良に陥っていた可能性が高いです。ありがとうございます。

最終話のネーム作業に入る時、僕はかなりネガティブな気持ちに支配されそうになっていました。アクセルふかしてここまできてしまった雷公篇、そしてまとめであるコカちゃんとの対峙。僕はなんだかんだ親バカなので、自分のマンガは面白いし楽しい、けれど、やっぱり全部を描き切るには「読まれる」実力が無ければ。僕は、よろず鍵屋は、先の未来は、大丈夫なんだろうか。

そんなある晩、祖母を夢にみました。お昼ご飯は何を食べたい?と祖母に聞く、いつかの日常の夢だったんですが、起きた時に思い出したのです。晩年の祖母が「がんばって(マンガを描くことを)続けないとね」と言ってくれたことを。

去年末からの原稿作業は特に予断を許さず、心身共に調子を誤魔化しながら走っている状態で、最終話近くの頃には頭痛が常態化し、突然吐いてしまったり、ツイッターの通知音に驚くだけで気が遠くなったりと、やばばな状況だったのですが、自分でも驚くくらい、祖母との夢をきっかけにラストスパートの力を得れたのです。本当にありがとうばあば。

現在、体調はかなり良くなってきています。今は2年間適当だった掃除を片付けたら、いよいよ花の騎士ダキニ執筆再開、というところです。体調を崩さないための執筆方法も模索していきたいですね。

よろず鍵屋の事件帖は、

マンガ5( manga-5.com/series/16 )、

ピッコマ(  https://piccoma.com/web/product/82736?etype=episode )、

ニコニコ静画( https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/56842 )、

bookwalker( bookwalker.jp/series/338917/ )

などで引き続き読むことができます。今後も楽しんでいただけたら嬉しいです。

そうだ、ファンレターの受付もしているとのことだったので、下記送付先住所へ宜しければぜひ!!!!

〒108-0075

東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス6F

株式会社レベルファイブ

マンガ5編集部 柴本翔宛


以上、軽めといいつつ長いあとがきになりました。

以下、100円課金でエピローグ絵と、そのキャラ別絵の「ちょっとだけ高解像度版」が見れちゃいます。よろしければどうぞ。

さらだばー!!

※無断転載等は禁止です!

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