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KCDCのNIKE SB DUNK HIGHとアポロチョコレートと人類の進歩の話

ニューヨーク ブルックリンのスケートボードショップKCDCの20周年を記念してNIKE SBから特別なDUNK HIGHがリリースされる。

スイートなピンク、ドクターマーチンを思い出させるソールやヒールリボン、いつもより太くなったスウッシュ。女性らしさ、強さ、反逆性、そして自由も感じるDUNK HIGHだなと思った。同時に、アポロチョコレートみたいだなと思ったから、久しぶりにアポロチョコレートを買って食べながら、このテキストを書いている。

アポロチョコレートのアポロの形は、人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の司令船がモチーフになっているらしい。

1969年に人類は、初めて月を歩いたのだけど、その後、二度目の成功がない。子供の頃は、「そんなわけあるか」と疑い、きっと月の裏側には、誰かがすでに自分たちの国を作っているに違いないと妄想しながら、退屈な授業をやり過ごしたりしていた。

どうして10代の自分がそんな風に思ったかというと、人間は、進歩を続けると信じていたからだ。人間はすごいから、きっと何回だって月に行けるし、いずれ宇宙に住むことになるはずだと。

進歩は、月面着陸のような技術だけの話じゃない。差別や虐待や戦争もなくなって、個人は、どんどん自由になっていくはずだと思っていた。でも、それは、勘違いだった。自分は二つの意味で勘違いをしていた。

一つ目の勘違いは、確かに、世界は、良くなっているのだけど、思っていたより遅いスピードだということだった。三歩進んで二歩下がるような感じ。世界は、急激に変わることはなく、少しずつ調整しながら変わっていくし、力で一気に変えようとする人は、あまり信用できないことも知った。

二つ目の勘違いは、進歩や変化は、起きるものではなくて、誰かが起こしているということだ。自分が当たり前のように振りかざしている自由は、誰かが行動を起こして勝ち取ったものだったのだ。

最近は、女性のスケーターが増えてきた。これまでのスケートボードシーンでは、女性は、男性の場所を借りているという雰囲気だったけど、今は違う。シーンも市場も、女性なしでは考えられない状況になってきた。これは、スケートボードの進歩であることは間違いない。そして、忘れてはいけないのは、勝手に起きたことではなく、KCDCのようなショップが行動を起こしたからこその進歩ということだ。KCDCは、アメリカで最も歴史が長い女性主導のスケートショップなのだ。

スケートボードなんて楽しけりゃそれでいいと思ったりするけど、好き勝手やっていることが誰かを傷つけることだってあるから、少しだけ周りを見てみても良いのかもなと思いながら、アポロを食べていたら、完食してしまった。娘も食べたいと言っていたのに。

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