10粒のいちご

1人読み台本です


10粒のいちご

私:小さい時、
私:お母さんがお皿に分けてくれた
私:1パックに10粒のいちご。
私:姉弟がいたのでいつも2パック。

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私:姉弟は必ず同じ数になるように、お皿に分けられた。次に多いのはお父さんのいちご。
私:いつも、お母さんのいちごだけ、少なかった。
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私:ご飯は必ず一人一人のお皿に分けてくれる。争奪戦で 食卓が血の海にならないように…ならないけど(笑)
私:ある時、最後に食べようと大事にとってあったバースデーケーキの板チョコプレートを…父が食べた。
私:泣き叫ぶ私に父は『いらないのかと思って』と言う…聞けよ!!
私:それ以来、好きな物は1番に食べる癖がついた。
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私:バレンタインには、お母さんと一緒に必ずお菓子を作る。
私:クッキーを焼いて、溶かしたチョコにくぐらせて、固める前にキラキラのデコレーション。
私:固めて出来上がったら、味見をしながらラッピング。
私:毎年、斜め向かいの家にいる、幼なじみの男の子に送っていた。
私:ホワイトデーにもらった、飴の入ったうさぎの形をした入れ物。食べたあともずっと捨てれずに飾ってあった。
私:捨てれたのはつい最近(笑)
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私:お母さんの作るハスカップゼリーが大好きで、チーズタルトも大好きで…
私:でもなぜだか、あの時の美味しさは再現できない。
私:自炊をするようになり、色々真似てみた。
私:自分の好みの味で作る。なのにあの時の美味しさには中々たどりつけない。
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私:話はそれだが…今、手元にある1パックのいちごを見て思う。
私:父、母、私で分けるとどうなるか。
私:昔なら、私が1粒多いのだろう。
私:けど今は…父が譲らない。
私:これは、大人と認められたということか…(笑)
私:そして、私自身も思う。私はいいから二人で食べて。そうすれば偶数。喧嘩にはならない。
私:いちごは嫌いじゃないし、むしろ好きだ。けど…揉めるくらいなら私はいらない。
私:そう思いつつも、1粒だけ口に入れて2人に分ける。
私:お母さんのをひとつ多めにして。
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私:黙って食べて。お父さんにバレる前にね。

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