アイルランド・ブロックチェーン・ウィーク(2)デジタル経済の「シティー」
2019年5月にダブリンで開催された、アイルランド・ブロックチェーン・ウィークをヒントに、アイリッシュ・ベンチャーの可能性を考察する。
国際金融サービスセンター
ダブリン市内を流れるリフィー川の北岸には、かつて関税埠頭であった地区を再開発したカスタム・ハウス・キーの周辺に、ささやかな規模の金融街が広がっている。
アイルランド・ブロックチェーン・ウィークの開催中には、カスタム・ハウス・キーの中心にあるIFSCビルにおいても、ブロックチェーン関連のイベントが開かれていた。
アイルランド財務省
IFSCで開催されたイベントには、アイルランド財務省からフィナンシャル・アドバイザリー・チームのユニット長が出席し、挨拶ではブロックチェーン産業の誘致に向けた政府の方針が述べられた。
それによると、アイルランド政府はブロックチェーン産業のハブとしての地位を得ることにポジティブな姿勢を示しており、ブロックチェーン関連技術の集積と雇用の創出に期待が寄せられた。
アイルランド海外移民博物館
IFSCビルから運河を挟んで東側には、エピックという博物館が建っている。アイルランド海外移民博物館である。
かつてアイルランドは1000万人もの海外移民を送りだした国家であった。海外で活躍したサイエンティストやアーティストの顔写真の刷られたクロスポスターが天井から吊られている。
写真の左は、英国で活躍した科学者のD.K.ロンズデール、右は英国を中心に活動するアーティストのボーイ・ジョージである。
アイルランドへ流れ込む投資
かつては海外移民を送り出していたアイルランドに、いま、投資が流入している。きっかけは英国のEU離脱問題であった。
ロンドンシティーからダブリンへ
金融センターの地位をめぐっては、ロンドンのシティーからフランクフルトやアムステルダムへの大移動が始まっており、ダブリンもまた移転先の一つとして注目を集めている。
ダブリンの空は、数多くの建設用クレーンで埋め尽くされており、街の風景が一変しつつある。
デジタル経済のシティー
果たしてアイルランドはこのチャンスを活かして、デジタル経済圏のシティーとしての地位を確立することはできるのだろうか。
資金の動きだけではない、人材と技術のハブを形成することができるかが試されている。
(つづく)