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オルタナティブな「遠くの領主」

木村尚三郎氏の著作をヒントに、国家とは何かを問う。

国家のバーチャル化

仮想通貨の登場をきっかけに、近代以降の国民国家の概念が希薄化するのではないか。そんな論点が語られている。

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遠くの領主、遠くの領主

この論点を考えるためのヒントとなりそうなのが、冒頭で紹介した木村尚三郎氏の文章の一節である。

遠くの王様とむすんで移動可能性の実現をはかりながら、じっさいには長いあいだ土地に縛りつけられていた。――― 木村尚三郎『西欧文明の原像』第二章

封建社会の終焉は、土地からの自由をもたらしたが、万物から自由になったわけではない。近くの領主から、遠くの領主へと、守り神を替えてみたに過ぎないというのだ。

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こうした緩やかな変化というのは、現代においても想定しやすい。

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現代におけるオルタナティブな国家概念の思考の原点がここにあるのではないか。

木村尚三郎先生の文章を再読しながら、浅学が由なきことなど思いて、ふたたびメモに残す。

Photos by H.Okada in Germany