臨床検査技師国家試験対策ノート 尿糖

尿糖

健常者の尿中にも2~20㎎/dlの糖が排泄される

糖を多く含む尿は一般的に酸性で色が淡く、比重が重く、泡沫が少ない。 また、果実が腐ったときのような特有の臭気がある


尿糖の定性・半定量法

1 還元法

ブドウ糖は水溶液中で環状構造を呈しているが、溶液をアルカリ性にすると鎖状構造となり、分子内に生じたアルデヒド基が還元作用を示すようになる。したがってこの溶液中に重金属塩を加えると、還元されて金属が沈殿し、固有の色を現す。

この原理を応用したのが、ニーランデル法、ベネディクト法で、いずれも強アルカリ性試薬を用いている。

このように還元法は物質の還元作用を利用した方法なので、必ずしもブドウ糖に特異的ではなく、尿中に還元作用を示す乳頭、五炭糖、果糖などの糖や、尿酸、クレアチニン、ビタミンCなどが含まれている場合は陽性に出る。


1 ニーランデル法

アルカリ性試薬で還元作用を有するようになったブドウ糖に金属の酸化物である次硝酸蒼鉛を作用させると、還元されて金属蒼鉛の黒色褐色沈殿を生じる。

ホルマリン、クロロホルムは還元作用があるため偽陽性となる。したがって、これを防腐剤として用いた尿で糖検査を行うことはできない

感度は0.05g/dlとかなり鋭敏なので、これで陰性の場合は尿糖を否定できる

ニーランデル試薬には、次硝酸ビスマス、酒石酸カリウムナトリウム、水酸化ナトリウムが含まれている。


2 ベネディクト定性法

硫化銅はアルカリによって青色の水酸化銅となり、これが糖によって還元され、黄色または赤色になる。この原理を利用し、水酸化ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウムを用いてさらにアルカリ度を下げ、尿酸塩、クレアチニンなどの還元物質による影響を少なくした。

感度は0.1g/dl

ニーランデル法(-)、ベネディクト(+)の場合はアルカプトン尿症を考える。


酸化還元法

試験紙にはGODとPODの2つの酵素と色原体を含有している。

①酸化反応

尿中のブドウ糖がGODによってグルコノラクトンに参加され、H2O2を遊離する。グルコノラクトンは容易に水解されグルコン酸となる。

②指示薬反応

生成されたH2O2はPODによって分解され、発生期の[O]を生じ、色原体から水素を奪い色原体は参加され呈色する。              

H2O2→H2O+[O]

    ↓

    色原体(無色)→酸化型色原体(発色)


ブドウ糖に特異的に反応するが、②は酸化還元反応であるため、非特異的反応が起こる。

尿中にビタミンC、L-DOPA、ホモゲンチジン酸、ゲンチジン酸などの還元作用の強い物質が存在すると、色原体の参加が妨げられ、偽陰性になる。

過酸化水素、次亜塩素酸、サラシ粉などの酸化剤の汚染により偽陽性を生じる。

感度は100㎎/dl程度


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