臨床検査技師国家試験対策ノート 尿 蛋白
化学的検査法
蛋白質
1日の排泄量は40~80㎎で100㎎を超えることはない
尿が酸性になると全体として+に荷電し、アルカリ性になると-に荷電する
等電点ではあるPHで陽陰の両イオンがちょうどつりあって、全体として電気的中性を示す
前処理として、アルカリ性ならば3~5%酢酸数滴を加えて弱酸性にしておく
蛋白質定性、半定量法
1 煮沸法
アルブミンやグロブリンが熱により変性を起こし、凝固沈殿する。
アルブモースなどで陽性にならない
あまり鋭敏でないため、これで陽性なら蛋白尿として断定してよい
2 スルホサリチル酸法(SSA)
酢酸酸性尿に20g/dlのスルホサリチル溶液を加え、白濁を生じれば陽性
最も鋭敏な方法で、これで陰性なら確実に蛋白-
強アルカリ性、強酸性では偽陰性になることもある(弱酸性が1番よい)
薬剤(ペニシリン系、経口糖尿病薬)やX線造影剤が混入した尿では偽陽性となる
3 試験紙法
試験紙法は、クエン酸緩衝液(PH3)を含み、PH指示薬TBPB(テトラブロムフェノールブルー)の蛋白誤差を利用して、グロブリンよりアルブミンを特異的に検出する。
試験紙法で陽性2+の表示はアルブミン濃度100㎎/dlである
起立性蛋白尿(生理的蛋白尿)は試験紙法で検出できる
強アルカリになると偽陽性、強酸性で偽陰性
アスコルビン酸の影響を受けない
検出感度は15~30㎎/dl
蛋白質定量法
1 比濁法
キングスベリークラーク法
スルホサリチル酸法と同じ原理であり、尿中にスルホサリチル酸法を加えてよく混濁し、10分静置後、660nmで測定する。 30~100㎎/dlの間はほぼ直線を描いているので正確な値が得られるが、30㎎/dl以下および100㎎/dl以上のところで不正確である。よって、蛋白濃度の高い尿は希釈する必要がある。
2 色素法
ピロガロールレッド・モリブデン錯体発色法(PO法)
ピロガロールはモリブデン酸と結合して赤色の錯体を形成する。これは470nmに極大吸収があるが、酸性水溶液中で蛋白と結合すると青紫色を呈し、極大吸収波長が604nmに移行する。
蛋白種による反応差が小さく、アルブミン100%にたいしてグロブリン80%くらいである。
クマシーブリリアントブルーG-250(CBBG-250)
色素CBBG-250酸性水溶液中で460nmに極大吸収があるが、蛋白と結合して錯体を形成すると590nmに移行する
蛋白種による反応差が小さく、アルブミン100%にたいしてグロブリン60%くらいである。
特殊蛋白体
ベンズジョーンズ蛋白
骨髄で生成される免疫グロブリンのL鎖で、50~58℃で凝固し、100℃で再び溶解する。
スルホサリチル酸法で著明に陽性になる
多発性骨髄腫、骨肉腫、リンパ性白血病などの場合に尿中に出現する。
Putnum法
①透明尿に酢酸緩衝液を加えてPhを4.9±0.1に調整する
②56℃の水溶中で15分間加温する。
③白濁あるいは沈殿を生じたらさらに煮沸水溶液中で3分間加熱し、白濁あるいは沈殿が消失または減少すれば陽性とする。
Bence Jones蛋白の検査資料として遠心後の上清部分を用いる
アルブモース
蛋白質の最初の分解産物で、肝疾患に際して尿中に出現することが多いが、組織崩壊の激しい癌、肺結核などでもみられる
酢酸、硝酸、スルホサリチル酸を加えると沈殿し、加温により溶解するが、冷却(70℃)にすると再び沈殿する。
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