記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『安達としまむら』を読みました!!!

『安達としまむら』を読みました。
思った以上に良かった。
めっっちゃくちゃ良かったです。

『スタァライト』や『アサルトリリィ』、『BanG Dream!』みたいな、百合っぽい要素もありますよ〜、って感じの作品は観てるんですけどね。
ガッツリ恋愛感情を剥き出しにした作品にハマるのって、これが初めてかもしれない。
上記の3作品に関しては、なんだかんだ言って、別に男出てきても良いんだけどなぁ、って思うし。いや、出たら出たでブチ切れるかもだけど。

ニコニコでアニメを見ていると、
「安達も見習え」
みたいなコメントが流れてくる事があります。
女の子が女の子に対して、何かしらの問題を解決しつつ、かつ心の距離を埋めてくるような、いわゆる”正解”の言動を行った時に流れてくるコメント。

アニメ放送された時、片思いをしてあたふたする安達の様子は、「童貞」と揶揄されていました。
テンパってドジを踏んでしまう、とかじゃなくて、本当に奇行を繰り返してしまう様は、見ていてちょっと情けなくも感じてきます。

そんな安達が、しまむらと結ばれます。
ネタバレです。

今まで安達が積み重ねてきた、奇行や空回りや苦悩が、しまむらの心に残り、実を結ぶんです。
ジタバタしてもがいてきた日々が、報われるんです。

めちゃくちゃ感動した。
ほとんど安達に感情移入していたので、一層、喜びがデカい。

しかも、意外としまむらのガードが堅かった。
人当たりがいい割に、他人との間にしっかり壁を作る。
そんなしまむらが、ちゃんと靡いてる。うれしい。

元々はアニメしか見ていなかったので、「安達も見習え」とか「童貞?」みたいなコメントを見ても特に何も思わなかったのですが、今見ると結構、違和感があります。安達を見習うべきだろ!!!あと普通に童貞じゃない。

個人的には、付き合うまで本当に長いな~~って感じでした。
6巻でやっと付き合います。

百合作品ってもっと最初のほうからイチャイチャするもんじゃない?と思っていたので、割と苦痛でした。1~5巻までkindleで読んで、半年くらい積読して、MyGO!!!!!見て、読み進めて、やっとハマった感じ。

MyGO!!!!!の何が安達としまむらの積読解消に作用したのか、自分でもよく分かっていません。空回り具合とかが、重なって見えたのかもしれません。

苦痛、っていう風に書きましたけど、別に否定している訳ではないんです。ああいうもどかしい時間があるからこそ、嬉しく感じられたんだろうし。

付き合ってからはもう最高でした。今度はしまむらから安達への愛情が描写されていきます。めっちゃうれしい。

修学旅行先で、同じ班の子(通称パンチョ)に2人の関係がバレてしまいます。
ここからが最高。
「お互いに好意があって、ちゃんと恋人同士です」(意訳)
って、しまむらの口から語られます。
ずっと一線引いてたしまむらが、そんなこと言うなんて!と感激。
修学旅行編が一番好きかもしれません。

昔、同じ作者の『電波女と青春男』という作品を、アニメで見たことがあります。
奇行を繰り返すヒロインを、主人公が軽快にツッコミを入れていきます。
最初はコメディとして楽しんでいたのですが、ヒロインが学校で腫物を触るような扱いを受けるのを見てから、印象が変わりました。
入間人間先生は、こういう生々しくて嫌な気持ちになる雰囲気を書くのが上手いのかな、というイメージがついてしまいました。他作品はそんなに読んでいませんが、たぶんそんなに間違ってない。

ですが、安達としまむらにはそういった描写が全くありません。
「女の子同士って、おかしくない?」と後ろ指をさされる描写が、全くありませんでした。本当に嬉しかった。

上記の通り、修学旅行先で2人の関係はバレてしまいます。
「恋人同士なの?普段はどんな感じ?女子が好きなの?女子で興奮する?」
とかなり突っ込んだ所まで話題が弾んでいきます。

お互いの関係を赤裸々に語るしまむら。興味津々のパンチョ。
ドン引きされるパートかな?と思いきや、全くそんな事はなく。
むしろ、ガールズトークに花が咲くみたいな感じ。そんなことある?

いつか2人の関係は大衆に晒されて生々しい空気になる時が来るんだろうなぁ~、と薄っすら思い、身構えていた分、安堵と安心感が相まって、読んでいてかなりテンションが上がっていました。カタルシスってやつですかね。

その後も、安達としまむらの2人のイチャイチャは続きます。ずーーーっと続きます。安達としまむら以外の2人もイチャイチャします。

それだけでも嬉しいのですが、読み進めていると
「この幸せはいつまで続くんだろう?」
と不安になってきます。

大丈夫です。不思議パワーを操る宇宙人が、死後の世界でも、2人を再開させてくれます。
瞬間移動したり、テレパシーを送ったり、別の世界線の安達としまむらを引き合わせてくれた実績のある宇宙人が、2人を助けてくれます。
本当にありがとう。


風邪をひいてMyGO!!!!!を見てから、物語に没頭する感覚が、なんだか自分の中で蘇ってきたような感じがしています。
そんな没入感を味わいながら読み進めてきた『安達としまむら』は、かなりハラハラドキドキさせてくれる作品でした。

皆がそう言っているから、とりあえずそう言っとこう、みたいな雑で乱暴な感じで使われる「尊い」とか「壁のシミになって見守っていたい」みたいな感想が、少し苦手でした。
ですが、今回、初めて〈2人の世界〉みたいなものを作り上げていくお話を読んで、少しだけその感覚が分かったような感じがしました。あの世界は崇高なもので、誰にも邪魔をされてはいけないんだな、と実感しています。

安達としまむらは女子同士なのですが、百合なのか?と聞かれると、少し違うかもしれません。しまむらだからこそ安達は惹かれて、安達だからこそしまむらも惹かれている。
百合というジャンルが特に好きという訳ではない私がここまで入れ込めたのは、そんな特別な情念が描かれていたからだと思います。

最終話はもう描かれていて、あとは完結を待つだけです。
入手困難な特典小説なんてものもあって、もっと早く読んでおけば良かったなぁ、なんて思っていますが。今からでも、こうして読んで楽しめて良かったなぁ、と思っています。

かなり長くなってしまいましたが、『安達としまむら』、めっちゃ良かったよ!という感想でした。
ありがとうございました!