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2021年ベストアルバム(インスト多め)

 Bandcampで聞いてかっこいいと思って検索かけても感想や情報が全然無くて消化不良が続き、ここ数年は収まってたはずの、直近で良かったアルバムについてパッションのまま怪文書を書きなぐりたくなる発作が我慢できなくなる。
 今年終盤は音楽メディア等の権威を少し頼ってみた。結果、トレンドは追いやすいが自分の趣味と流行が合致してないと打率自体は適当にジャケ買いするのと差が無いことを再確認。権威不要。Bandcampのおすすめがひたすら強いけど、それに頼り過ぎると年を取りほぼ硬直化している感性は完全に死ぬ予感がしている。死んだら何が困る? わかんない。


海外

A River Crossing - Forsaken

 轟音ポストロック版のAnathemaみたいな印象。疾走感ゼロで終始ゆったりと壮大にギターをかき鳴らし、さらにメロディアスなボーカルが壮大に歌い上げ、それらの相乗効果による過剰なカタルシスの押し付けが拒否反応を引き起こす。オーバードーズですね、しばらく接種を控えましょう。そんな脳からの警告を無視した先にある独特なトリップ感に至るとなんか楽しくなってくる。Anathemaが耐えられるなら余裕。


Delta Sleep - Spring Island

 リズミカルかつへなへなとしたマスロックじみたリフに、エモ系で概ねテンション低めのヘタウマなボーカルが乗っかるとても好きな作風。初期Maps&AltlesとかGulferとかこれ系見つけるの大変というか探し方を知らず珍獣ハント状態なので、やりました、今年はハント成功しましたとガッツポーズ。最新型ポストパンクと何が違うのか自分でもよくわからないが音は一世代かそれ以上に古い気はする。


Delvon Lamarr Organ Trio - I Told You So

 最近ファンクに興味があるけど積極的に探すほどでもないし、ジャズのお勧めの中に都合よく紛れてないかなと切り株を見守っていたら、本当に都合よくウサギが転がってきた。しかもぼんやりと抱く「僕の考えた最強のファンク」を超えるゴキゲンっぷりでもうゴキゲン。でも基礎知識が無いためこれが本当にファンクなのか不明。シュレディンガーのファンク。


Glasgow Coma Scale - Sirens

 たぶんポストロックとストーナーの混合撹拌を目指すアプローチ。それ化学反応起こさないだろと否定しそうになるが、何事もやってみなけりゃわからない。ポストロックとしてはストローク多めでドライブ感と力強さが目立ち、ストーナーとしてはダイナミックレンジを広く活用してスケール感が大きい。反面ポストロックのカタルシスもストーナーの陶酔感も薄味でやっぱ無理あるよ。でもなんかいい感じで角が取れて聞きやすくて私は非常に好きだ。


ILL Considered - Liminal Space

 ミニマルに反復するベースと暴れるドラムと大暴れするサックスという趣のめちゃんこパワフルな頭の悪いジャズ。ロックに片足以上突っ込んでる気がするけど多分ジャズ。BlackはMidiもCountryも静かなパートを減らしてもっと暴れてほしいなという個人的な需要をバッチリと満たしております。


January - Hometown

 ペロ、これは台湾か香港のインストロックバンド、いや、そう見せかけてcovet周辺、でもふんわりTotorro味もあるな、とか思いながら紹介文にあるThailandの文字を見てマジかよってなった。アジアのインストロック楽しいことになってんなーもう嬉しくなっちゃうね。でもそれを認知するのは至難なんだよね。


Jaubi - Nafs at Peace

 Shpongleの新作EPが悪くはないけどちょっと消化不良だな、でも大丈夫、Jaubiがいるよ! というのが第一感。電子音要素が足りんぞというのがもう少し聞いた際の印象。でもジャズ要素が入って差別化バッチリ、むしろジャズへの関心が強くなってる昨今の自分にはぴったりだというのが最終的な結論。


King Gizzard & The Lizard Wizard - Butterfly 3000

 浮遊感とかそっち系の要素は控えめで、反復を中核としたミニマル寄りのゴキゲン型サイケ。CanのTago Magoの前半は大好きだが後半はゴミ箱にシュートし、MagmaはMDKとZonbiesばかり聞いてる私にはドンピシャ。過去作に比べるとポップに振ってるらしいが他の音源は聞いてないからわからん。まあフジの配信見た時はもっとロックな印象はあった。


King Weed - Let There Be Weed

 インストのストーナーサイケ。Earthlessとか好きなのに似たのが中々見つからないという長年の悩みをさらっと解決してくるBandcampが優秀過ぎる。なんか2021年は4、5枚ぐらいアルバム出してそうで、まあkingなweedでもきめてどりゃーって一発録りすればできそうなアルバム(偏見)だけれど、流石にアホじゃないかと思いました。たぶんどのアルバムもかっこいい。たぶんどのアルバムも同じっちゃ同じ。


Kitsugaki - Pinturas del Mundo Flotante

 コロンビア産のポストロックバンド。コロンビアってどこだよコーヒーか? 南米でした。でも日本を連想させるジャケットから遠からずな音をしていて、一番影響受けてるのは邦ポストロックなんじゃないだろうか、たぶんきっと。とりあえず聞いていてホーム感が強くてまあ落ち着く。わりと無節操な展開でアルバムが進むごとに印象が変わっていく中で、序盤のなんか祭囃子感のあるパートが特に好き。


Outrun the Sunlight - A Vast Field of Silence

 プログレメタルとDjentを両方やるぞという個人的には無理のあるコンセプト。やってみなくちゃわからない。ロングトーン主体の抒情的なギターソロの裏でDjentなリフをズンズンと刻まれるとさすがに情緒もへったくれも無くなるなとフフッとなる。ただ、基本Djent側を抑えめにしてバランスはとってるから、思ったほど違和感もなく素直にかっこいい。参りました。


Southern Baptist Witch Coven - Electric Love Machine

 第一感で自分のライブラリからこれ系だなという検索結果が出てこず、ガチでなんだこれと判定不能で困惑した。ドゥームとストーナー(Kyuss基準)の中間的な速さ・重さの中途半端なリフに、あはーんうふーんと性的かつけだるげな女性ボーカルが乗っかる。わからんがなんかかっこいいぞ。久しぶりに受けるわからん殺し超楽しい。うん、なんかFu Manchuな気がするぞ。今ならFu Manchuがわかるかもしれない。自分の中に新たな物差しが生まれる予感がする、超楽しい。

国内

力尽きた。

jizue / fox capture plan / Polyplus

 狭い狭い、いつもの界隈のいつもの面子のいつものアルバムの今年の上澄み。モチベ無い時期はこの辺だけ抑えて終わる自身の岩盤層。正直jizueは例年より下振れ、逆にfoxは上振れ。polyplusは新作が出たこと自体がありがたや。

butohes - Lost in Watercycle

 最近知った。超かっこいい。ライブ行きたい。twitterだかnoteだかで言及してくれていた誰かに感謝。なんとなく試聴した私偉い。

People1 - People

 やってることは違うが初期BOaTを彷彿するジャンクっぷりを感じる。そのせいか自分にとっての曲の当たり外れがでかい。常夜橙が特に好き。

No Buses - No Buses

 この中で一番癖のないストレートな音を出していて、単純にかっこいい気がする。良心。

[.que] - Quiet Before

 これ以上静謐になると理解不能になる外角ギリギリ。尚、もう一つ前のアルバムは理解不能だった。

um-hum - 2O2O

 1曲目のイントロで東京事変~ポルカ~ずとまよの系譜を思い浮かべ、趣味に合わないかなと切る段取りをしてからのやる気なさそうなボーカルに悪くないかもと手のひらを返す。アルバム通すと想像以上にダウナーな内容で、もう少しパンチの効いた曲が並んでると思ってたからびっくり。

水中スピカ - mEq

 香港か台湾のインスト系バンドっぽいと思った。具体的にはGDJYB。こういうのはほぼ無条件で好き。

スイカ夜話 / Suika(2010年作)

 10年以上前のアルバムだけど、タマキハルにぶっ飛ばされてしまったのでねじ込む。曲単位だとこれまで聞いたラップ、ヒップホップの中で一番好きかもしれない。

結言

 発作も収まり勢い任せで書けなくなってきたので撤収。
 毎年素晴らしいアルバム自体はたくさん出ていて、ただ見つけられていないだけとは思っていたが、久々に真面目に探すとまあ出るわ出るわで嬉しい悲鳴。ネットに頼ると洋楽の開拓はたやすいが、自分好みの邦楽の捜索難易度が高いのをなんとかしたい。