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県民税は納付、市民税は還付?(政令指定都市の個人住民税)

 令和5年の所得税申告で「県民税は納付、市民税は還付」となった方がいました。なお所得税は還付です。
 税務システムでの住民税試算でそう計算されたということで、確定申告と直接関係ないので後回しにしましたが、「どこか間違えたかな?」とずっと気になっていました。結論としては、その方が岡山市民で、岡山市が政令指定都市だったからでした。間違いでもシステム機能の問題でもありませんでした。

 具体的には
・所得割 県民税100,000 市民税25,000
・配当控除 県民税28,000 市民税 7,000
・配当割額控除額 県民税36,000 市民税 24,000
・合計 県民税 36,000 市民税 △6,000
というふうな申告です。

・通常は都道府県民税は4%、市町村民税は6% 比率は2:3
・政令指定都市は都道府県民税は2%、市町村民税は8% 比率は1:4
・しかし、配当割額控除額は都道府県民税が配当割の5分の2 市町村民税が配当割の5分の3 比率は2:3
 ということで、上表だと所得割と配当控除は岡山県と岡山市の割合が1:4のところ、配当割額控除額が2:3であることから、「県民税は納付、市民税は還付」となったものです。
 珍しいし、私も当初困惑しましたので、共有のため記事とします。以下に岡山市の説明ページを紹介します。配当割のほか株式等譲渡所得割も同様です。
 源泉徴収義務者は住所地が政令指定都市かどうかはわかるわけだから、これらも県と市の割合を1:4とすることは可能と思いますが、なぜかこうなっています。

 配当割・株式等譲渡所得割以外では、退職所得に関する住民税も都道府県が4%、市県民税が6%です。下記ページでも注意喚起されています。

 なお、「県民税は納付、市民税は還付」と書いていますが、正しくは「県民税は納付、市民税は控除未済」です。市民税の控除未済額は県民税に充当され、充当後の額で納付書が作成されます。納付と還付が別々に行われるわけではありません。

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