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茹でガエルからハリネズミへ(「ディルバート」より)

(注 この記事には会計税務の情報はありません)
茹でガエル論法、皆様ご存じのことと思います。

茹でガエルとは、緩やかな環境変化下においては、それに気づかず致命的な状況に陥りやすいという警句。生きたカエルを突然熱湯に入れれば飛び出して逃げるが、水に入れた状態で常温からゆっくり沸騰させると危険を察知できず、そのまま茹でられて死ぬという説話に基づく。
現代の生物学の見地においては、これはありえないとされている。カエルや他の変温動物においては、場所移動による自然な体温調節は、野生で生き残るためには必須な能力であり、徐々に加熱されてもカエルは飛び出して逃げ出してしまう。

Wikipedia「茹でガエル」項(2024/3/19閲覧)から一部要約 太字は筆者

 この話、現状に安住するな、変化に対応すべしという文脈でよく見るのですが、「カエルが入っている水をゆっくり加熱すると気づかずに死ぬ」ということをあたかも真実であるかのように振りかざした文章が後を絶ちません。
 「茹でガエル」で検索するといっぱい出てきて食傷します。
 現状安住への警鐘、生産性向上への叱咤激励だとしても、茹でガエルを科学的真実と思っているような文章では興ざめ、いや滑稽です。

 茹でガエル論法の代わりに、私は「ハリネズミになるな」という表現を提唱します。出所は漫画なので、最初から例え話とはっきりしています。

 スコット・アダムス氏の人気漫画「ディルバート」の「正しいアプローチ」(原題:The right approach)という漫画では、会議において
・エリート社員が「キャッシュフロー分析」を主張
・ディルバートがコンピュータシミュレーションを主張
・現場たたき上げ社員が「連中のケツをけっ飛ばす」ことを主張
という状況で、ハリネズミ君が「針で刺すこと」を主張するのです。

「ディルバート ビジネス社会の法則」(スコット・アダムス著 スコット・ハーズ訳 アルク 1996)より

 哀れなるハリネズミ君はどんな状況にも針を刺すことを主張する、それしか知らない、できないのです。でもそれは、会議に同席している他の3人も同じですね。

 茹でガエル論法が現状安住への警鐘、生産性向上への叱咤激励なのに対して、この漫画は自分のよく知る方法への固執、視野の狭さを扱っています。
全く一緒ではないのですが、「今のやり方が唯一と思うべからず」という点は共通していると思います。
 これからは「ハリネズミになるな」という表現を使いませんか?




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