定額減税額の給与明細への明記(急に決まったわけではありません)
(注 この記事には実務的な情報はありません)
定額減税の給与明細への金額明記が批判を浴びています。
確かに面倒だし、恩着せがましい。「でも、急に決まったことだったっけ?」と思って経緯を見直してみました。
昨年末の自民党税制改正大綱に記載あり
昨年末の自民党税制改正大綱に記載がありました。最初からその予定だったのです。与党案の段階であって決まる前とは言えます。
令和6年2月の国税庁のQ&Aにも記載あり
令和6年2月5日の国税庁の「定額減税Q&A」にも記載がありました。最初に公表されたQ&Aです。この時点では法案可決前とは言えます。
改正省令は6月1日から適用 改正日付は3月30日
給与明細は法律上は「給与支払明細書」と言い、記載義務や記載内容が法律で決まっています。定額減税の税額明記は「所得税法施行規則」の3月30日改正分で追加されています。
急に決まったかのような報道
この一週間ほど急にいろいろ報じられるようになって「だいぶ前から分かっていたのに今頃なんで?」と思っていました。
5月21日の読売新聞オンラインとNHKの報道について、急に決まったかのような報道がされていると感じました。
読売新聞オンラインでは
「政府は(中略)義務付ける方針を決めた。(中略)減税額の明記義務化は、6月1日施行の関係省令改正で行う」
との書き方で、5月21日に決まったような書きぶりです。でも、関係省令改正は3月30日で、施行が6月1日なのです。
NHKオンラインの記事では
「来月から実施する定額減税について、政府は(中略)給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務づけることにしています。」
「減税額を給与明細に明記するよう義務づけるため、関連する法律の施行規則を改正しました。」(3月30日に改正とは書いてない)
読売新聞ほどではありませんが、やはり「直前に急に決めた」と思わせようとしているように感じます。
定額減税については、多くの人が批判しているとおりと思います。私も「定額減税でなく定額給付のほうがよかったのでは?」と記事に書きました。でも、あたかも「減税額の明記のような、恩着せがましいことを、実務負担も考慮せずに直前に急に決めた」と誤解させるような報道には賛成できません。
全てのマスコミ報道を確かめたわけではありませんが、読売新聞オンラインとNHKオンラインの記事を見て、そのように感じたので記事にしました。
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