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パラサイト@TOHOシネマズ 流山おおたかの森


「ブラックコメディ!」と、確信してこしらえられているのであれば「でかした!」以外の言葉はないのだった。

が、薬味としてこれみよがしにデコレートされてる階級や貧富の問題についての、監督の真剣さの按配というのはちょっと気になるところではある。

映画祭向けのアクセサリーなのだと皮肉なウインクが覗き見れたら、自分はサムアップするわけだが。


「くさい」というプロットの仕掛けは、韓国社会の通念としてどれだけ侮蔑の意味があるかがよくわからんので、仮に日本と同等だとしたら、「くっせ!」と鼻をつまんだだけでブルジョアに死を!というのは、ソン・ガンホのキャラ設計として性急すぎではなかったか。

もっとも、日本を舞台として、ブルジョアのモデルがあきらかに竹中H蔵氏であるなら、その死はやむなし!といえる(迫真!)。


やたらに伏線がはりめぐされていて「石」とか「ハンマー投げの元メダリスト」とか「長男のトラウマ」とか「モールス符号」とか、一応は回収されているものの、なくてもよかったのでは?という。

その伏線のひとつの「モールス符号」は、自分の場合『ジョニーは戦場に行った』〔1971〕を思い出すので、どよーん効果が高かった。

そのモールス符号を回収する、ラストの感傷的なシークエンスは自分がプロデューサーだったらカットを要求するかも?であった。

ソン・ガンホの居場所は、観客にのみ察せられるくらいのニュアンスのほうが余韻として上品だったのではなかろうか。

しかし、「コメディにセンチメンタリズムは不可欠!チャップリンを知らんのか!」と怒られたら、「はい」となるわけである。


ずるいなと思ったのがあの邸宅に地下空間がある絶対的な理由であって、「ギミー・シェルター」なのであって、ずるい。

その邸宅、自分は『天国と地獄(ハイ&ロー)』〔1963〕というよりは、窓の感じから『北北西に進路を取れ』〔1959〕を連想してしまった。
映画全体もヒッチコックの「リスペクト!」になってると思った(ことに『ファミリー・プロット』〔1976〕の)。


そういえば、5ちゃんのスレに、途中から黒沢清の『クリーピー』〔2016〕みたいになるとあって、たしかに途中から『クリーピー』みたいになる!

両作品の質は互角という感じで、ならば『クリーピー』はだいぶ過小評価されてるのでは?となったのだった。
なるほど『クリーピー』には「貧困問題」は描かれてないからな……(迫真!)


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