ドロボーは平和を愛す
ちょっと前に、ラムダというか、ラピュタのロボット兵の元ネタがどうのとツイッターで話題になっていたのを見かけて、かつて宮崎さんが直接その件に言及した大塚さんとの座談があったなと思い出し、実家の書庫でその記事の掲載されたムック本『ルパン三世 カリオストロの城 100てんランドアニメコレクション) 』(双葉社・1981年)を発掘し、該当箇所が以下 ↓
―――ラムダのデザインなんていうのはどうして出来ていったんですか。
宮崎 はっきり憶えてないんですがフライシャーのスーパーマンに、似たようなのが出て来るんです。フワッと飛んで来るんですがね。ラムダを描くときにロケットだとむしろ速すぎて、重いのがやっと飛んでるって感じがなくなっちゃうから、プロペラぐらいでヤットコサ飛んでる方がいいなァなんて考えてたらフライシャーのにそんなのがあったな、なんて話になって。子供の頃に一回見ただけだったけど実に面白くて、あれでいこうよって。底が割れちゃいけないんだけどねェ。(笑)
アニメのロボットっていうと変わったりくっついたりとオモチャ的になってしまってるんで、それはやりたくないと思って。
大塚 リアリティがないんだなァ。一万トンのロボットが歩いたってのに地面がへこまないっていうのは耐えられないです。僕なんかは。
宮崎 フライシャーのロボットも彼が考案したものじゃなくって前があるみたいですね。他にも「やぶにらみの暴君」とか「黄金バット」(紙芝居)に出て来るロボットの方がそれらしい。‥‥‥
‥‥‥
ただ非常に恵まれてるのはテレコムっていうところのスタッフが若いもんですから、放っといても自分達で新宿の高層ビルなんかを見に行こうなんて勝手にロケハンしてね。
その為に自分達の作業はずっときつくなってもやってくれる。
21世紀の今日では、完全に底が割れてしまうフライシャーのスーパーマンが以下 ↓
SUPERMAN CARTOON_ The Mechanical Monsters (1941) (Remastered) (Ultra 4K) - YouTube
90年代?に、確認のため?VHSのビデオソフトを購入したのが、実家にまだある。
宮崎さんの80年代初頭というのは、テレコムの最強スタッフを抱えながら、ルパンやホームズでお茶をにごさざるをえなかった屈折期なわけで、しかしそのお茶をにごした作品群はアニメ史上屈指の完成度なのだから、なんというのか「もったいない」に、つきるのだった。
当時アニメージュで『ドロボーは平和を愛す(改悪題・さらば愛しきルパンよ)』(1980年10月6日放映)の絵コンテ一冊が読者プレゼントに提供され、自分はおそらく生涯唯一、その手のものに応募した。
それは1980年末くらいのはずで、自分は当時中学2年生、中2である!
むろん当選はかなわなかったが、21世紀の今日、絵コンテ集として出版されているのはありがたいことである。
『空飛ぶゆうれい船』〔1969〕のセルフリメイク?といえる新宿の市街戦は絵コンテと完パケではけっこう違いがあって、興味深いのだ。
(原画は当然友永氏で、いかなる作打ちの結果、変更になったのか…)
さらば愛しきルパンよ - YouTube
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