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時差のある仲間たち

大学時代の友人はそれぞれマイペースな人たちだった。

同じ学科で私を含めて4人。


友人Mは県外から通学していることもあり、家を出発する時間がとても早い。

まっすぐ大学に行くと早く着きすぎてしまうからか、はたまた乗り換え駅がちょうど栄えている所だからか、寄り道をしては結局ギリギリに教室に着く。

寄り道をするのには流行りものが好きなのも影響しているのだと思う。狭い福岡の繁華街で彼女はいろんな流行りのお店を知っていて感心する。


友人Sは不便すぎずない距離に実家があった。

どちらかというと寝坊しがちで、約束の時間に起きる、なんてことも数回。

そんな彼女の特徴は寝坊よりも連絡の遅さにある。

2週間前のLINEに突然返事がきたりする。

Sからの返事がたまにはやく来るとみんなのテンションがあがるくらいのレア度だ。

たぶん、友人の中では一番時空間が歪んでいるのだと思う。


友人MとSと比べると格段に寝坊、遅刻が多かったのがKだ。

遠方から福岡にきた彼女は大学から徒歩5分のところで一人暮らしをしている。

これは大学生あるあるだと勝手に思っているのだけど、家の距離が近くなるほど遅刻をし、遠くなるほど到着時間がはやくなるようだ。

彼女は何をどうしても遅刻をしてしまうタイプの人だった。

普通に寝坊、こたつで二度寝、モーニングコール後に二度寝、玄関のチャイムを鳴らしても起きずに遅刻、はやく起きていたのになんだかんだで遅刻。

4人のグループで誰かしらKと一緒の授業を取っているときは、Kの生存確認が必至なのだけど、返事がきても安心できなかった。


今では笑い話なのだけど、Kの遅刻癖は入学式の日から現れていた。

この3人と出会ったのは入学式直後の学科オリエンテーション(正確にはSだけ翌日の履修説明会で出会った)。

私とMがたまたま前後の席に着席し、よそよそしく友達になろうと話していた。

しばらくすると時間になり、オリエンテーションが始まり、学科の先生方がありがたいお話を始めた頃…

前方のドアが開き、みんなの視線がそこに集まる。

ヘラヘラしながら入ってきたのはKだった。

遅刻しながらヘラヘラしてるとは如何なものかと思うかもしれないが、一目でみんな彼女の不思議な愛嬌を感じとって、穏やかな空気が流れた。

みんなが許してしまう。そこがきっと彼女を堕落させた原因の一つだったのかもしれない。

Kは学生証を受け取ると、そのまま私の隣の席に着席した。



マイペースな4人は社会人になってからもまだマイペースさが残っている。

遅刻しがちなSとKは会社には遅刻していないようで安心した。

Mは相変わらず流行りものが好きなようだけど、さすがに土日だけのお出かけになっているらしい。

それでも、4人集合するとき、集合順が私、M、S、そしてKというのはきっと変わらないのだと思う。

でも、それが私たちらしくて、きっと安心するのだろうな。

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