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ボクがUCバークレーを選んだわけ

自慢だと思わないでください。


結論として、ボクは自分の選択は正しかった(90%くらい)と、卒業して数十年経っても思っています。

残り10%は、やっぱりハーバードを受ければよかったなと思うときもたまにあります。


以前、高校の先輩に頼まれて別の公立高校でこんな講演をしたことがあります。


「ウチで何かをやりたいと思って入学してくる生徒がいないんだよなぁ。

みんな偏差値順で学校を選んで来るんだよ....」

「それは残念ですね。先輩の高校はどんな特徴があるんですか?」

「公立は学校要領が決まってるから特徴なんて出せないんだよ」

「え?じゃぁ偏差値順でしか決められないじゃないですか....w」



これは何年か前のビジネススクール(MBA)の世界ランキングです。


日本の学校ランキングは一般入試(一発ペーパー試験)の「難易度」の順ですが、

世界の学校ランキングは必ずしもそうではありません。

そもそも合否はペーパー試験のみの一発勝負ではない国がたくさんあります。

日本でもアメリカの入学プロセスを真似たAO入試というのが取り入れられてきましたが、一般受験生にはすこぶる不評です。

(これについてはまた後日書きますけど)


世界の学校のランキングは、入「学」難易度(セレクティビティ)のほか、論文の評価や新卒年収や学生/教授比率など多角的な分野の総合評価です。(日本の大学の世界ランキングが低いのは英語論文が弱いからだとも言われています。)


ボクが受験した年の前年、上記ランキング2位のペンシルバニア大学ウォートンスクールが

「日本人はプログラムへの貢献が少ない!」という内容の論文を発表しました。


アメリカでは、学生は「お客さん」とは見ていません。一方的に受け身な、学費を払って何かを教えてもらうという姿勢を前提としていません。学生は、その大学の看板を背負って、大学に貢献することが求められています。


出口(つまり就職先だったり、初任給だったり)だけではなく、在学中も同級生に影響を及ぼしたり、卒業後も面接官をやったり、

そういう活動も当然のこととして含まれます。


以前も折に触れて書きましたが、ボクの周りはサラブレッドばかりで、ボクは迷い込んだ馬の骨なんです。

ご先祖さまの似顔絵がお札に印刷されてるとか、「この前マンション買ったんだ」という人が買ったのはマンション1本だったり、暴れん坊将軍の子孫だったり....そういうのがいっぱいいて、大抵はその名に恥じない優秀な人たちなんですが、中にはハズレもいないわけじゃないんです。


論文が出された年、ペンシルバニア大学に留学していたのは、なんとか財閥の子孫で、おじいちゃんや従弟が代議士のボンボンでした。下から慶應。

彼は授業にもろくに出ずゴルフばっかりしていたと別の留学生から聞いていました。


「ペンの論文はあいつのせいだ!」


結果として、あの論文の次の年、日本人はどこのMBAも合格が極端に絞られました。半分くらいになったんじゃないかな。

バークレーは普段10人くらいいましたけど、ボクの学年は5人でした。


その兆候は受験時には情報として聞いていたので、ボクは乱れ撃ちしました。


イエール、ダートマス、コーネル、デューク、NYU、イリノイ、テキサス、UCバークレー


いくらなんでも8校も受けなくていいんじゃないの?と言われましたが、

ボクは馬の骨だし、人事部に「MBAは英会話学校じゃない!ボクは英語に不自由がないから他の留学生以上の内容を吸収してくるから行かせてください!」って啖呵切っちゃったもんだから、受からないわけにいかなかったんです。


言っときますけど全部当時トップ20のプログラムです。

偏差値順じゃないですから、別にトップ20の入「学」難易度(入試のペーパー試験じゃありません)なんてどこも似たようなもんです。

全部受かりました。イエールとイリノイは事前面接の時点で合格(確実)をもらいました。まだ願書を出す前にw


なぜボクがバークレーを選んだか。(やっと本題かよwもっぺんランキングを貼りますね)



ハーバードやペンシルバニアなどの方が知名度が高いのはわかっていました。

しかし、ボクにとって、他人がどう評価するかは全く気になりませんでした。

自分にとっての価値観にあった大学を選びたかったのです。


まずは人数。同級生全員とファーストネームで呼び合えるサイズであること。

ペンシルバニアみたいな大学だと大教室の受け身授業が多い。そうするとボクは行かなくなる....


気候。だってそれまでニューヨークの冬、何時に帰っても、誰かが転んで損害賠償されたくないから家の前の雪かきはしないといけない。そんなのヤだから。


雰囲気。チームワーク重視のところ。他人の脚を引っ張るのが日常のウォール街(ボクの部署はそんなことなかったけど)はちょっと辟易としていたから。


国際性。世界の色々な国の人が集まるところに行きたかった。白人ばっかりの世界には興味が湧かなかった。

バークレーは非白人が4割くらいいました。そのうちアジア人が3割。(その結果、自分は欧米担当だと思ってたのにいつの間にかアジアの人になっちゃったんだけど、それはそれで結果オーライ。アジアのどこに行っても同窓会が強力で、政府高官とか大企業のオーナーがいて助けてくれた。日本で行ったこともないハイソなパーティにお呼ばれしておいしいもんご馳走してくれた。)


ここに上げていない項目でも、例えばプログラム構成として、

ハーバードのように教科書は自分で読んどけ。授業はケーススタディがほとんど。

とか、俺どうせ読まないだろうなと思ったし。


イリノイとはテキサスは講義中心だと聞く。

聴いてるだけじゃつまんない。ボクしゃべりたいw


とか、偏差値以外にも見るべきところはあるわけです。

大学選びのガイドブックなんかだと、ビールの消費量ランキングとか、もちろん大都市、中規模都市、村みたいな立地とか、

それぞれの価値観の評価の多様なランキングが売ってます。アマゾンでも買えます。


こんな学校選びが日本でもできたらいいのになと思っています。

そうすれば、社会に出たら学歴は関係ない!なんて間抜けな主張はなくなると思うんですよ。


今の自分って、心も身体も学校で作られたんじゃないの?

この前見た今年の卒業式の基調講演で、「あなたたちはハースの一員です。あなたたちにはハースがついています。」って聞いたとき武者震いしたけど。

在学中、日本人は貢献度が少ないって見方を払拭するために、課外活動はちょこちょこやりました。アジア人の代表も何度もやりました。(全体の代表はやっぱり白人金髪のヒーローみたいなのがどこにでもいるんですよ。成績優秀でフットボールならQB、野球やりゃエースみたいなのが)

卒業後も入試の面接官をやってました。タイでは面接で知り合った子を銀行でスカウトしたりもしました。


バークレーはチームワークを重視します。講義・ケーススタディ・グループプロジェクトのバランスが均等で、グループプロジェクトでは各分野の経験者がそれぞれ分担して会社経営ごっこをしたりして、

Pier Learningというんですけど、授業で教授から教わること以外の学びがものすごくありました。


ウォール街の延長で、東の学校に行ってお高く留まったジャッピー(Japanese Urban Professional)を気取り続けていたら今のボクはないと思います。多分アジアに行くこともなかったでしょう。(それはそれで、ヨーロッパにも住みたかったんだけどなぁ)


だからボクはバークレーを選んでよかったと思ってるわけです。


自分の幸せは誰かが決めるものではなくて自分で決めるものです。

誰かが作ったランキングにあんまり意味はありません。偏差値順で学校を決めるのなんかやめませんか?

明日、今度は母校の新1年生向けに進路の講演をします。そこではこんな話をしようと思っています。


ボクは馬の骨です。ボクにできたことはきっとあなたにもできます。


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