シティ戦_表紙

TottenhamHotspur-ManchesterCity

思ったより時間がかかってしまいました。テストが終わり、春休みで暇なはずなのですが。。暇だからって文章を書く速度が上がるわけではないようです。例に違わず長ったらしくなってますが、よければアウトプットの練習にお付き合いください。マンチェスターシティ戦、マッチレビューです。

ビルドアップの起点を摘む

前半開始してからすぐ目についたのはシティの2CBがボール保持をした際にモウラがロドリへのコースを、ベルフワインがウォーカーへのコースを徹底的に塞ぐ動きをした点です。ロドリ、ウォーカーというシティでのビルドアップに置いて起点になるような選手にデート相手を設けたのはモウリーニョのポゼッション潰しの意図を見ることが出来ました。そしてオタメンディが保持した際にはデレが猛プッシュしてミスを伺い、最終ラインでの安定したボール保持からのビルドアップを阻害しました。

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加えてスパーズのDFラインは基本高めに設定されていたためボールを保持し繋いで崩したいシティには不都合な展開が続きます。そしてロングボールを主体とした前進に切り替わっていきました。この日スパーズが敷いた44ブロックにおいて一番のキーマンはタンガンガのサポートとデブライネのチャンネルラン、マフレズへのサポートを無力化するタスクが課されたウィンクスだったと思います。加入して日が浅いベルフワインにウォーカーの監視という重大任務を任せた以上、モウリーニョはそれ以上のタスクを課せませんでした。そのため、中央に置かれたロチェルソとウィンクスは、基本的にウィンクスが右寄りでデブライネ、マフレズを見るタンガンガのサポートを行い、ロチェルソは中央でスぺースを消しながらチャンスがあれば出てボール奪取を試みるというタスクを負いました。フェルナンジーニョからのロングボールを前進の手段に据えたシティはマフレズが右ワイドのオープンスペースでボールを受けることが増えます。が、右HSで受けようとするデブライネへのコースにはウィンクスが入り、塞ぎながらスペース圧縮をされてそのまま保持を失う、という場面が非常に多くありました。もちろんタンガンガの純粋な対人の守備能力の高さもありますが、そこにウィンクスのカバー力も相まって僕が観測できた限りではマフレズ、デブライネ間でチャンスクリエイトをしたのはチャンネルランを防ぎきれなかった1回のみでした(その1回は死ぬほど危ない場面でしたが)。

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もう1人、地味にシティの攻撃の芽を摘み続けたのは、右サイドバックのオーリエ。ソンはある程度中に絞りアグエロ、ギュンドアン、スターリングが作る三角形を牽制するポジショニングを取っていたので右サイドにおける彼のカバー範囲は割と広く設定されていました。その中で、スターリングが大外で受けた際は中を切りながら対応し、ジンチェンコも参加したボール保持の際は奪取出来る範囲のボールは殆ど全て彼が拾っていた印象です。リスクのある位置取りは避けながらも、奪取の算段が立つときは迷わず出て行って且つしっかり取り切っていました。

それを利用される

とはいえ、シティがこれだけで抑えられるようなチームではないことは自明の理です。フェルナンジーニョからマフレズへの対角線のロングボールは確かにタンガンガとウィンクスの2人でデブライネを含めて封殺できていましたが、その状況を打開するために使われたのがベルフワインの位置取りでした。前述した通りベルフワインはこの日ビルドアップの起点であるウォーカーに蓋をしていたため、彼が中央寄りのポジションを取れば右はがら空きになります。そこにデブライネが目をつけ、ウィンクスが出ていけない大外まで開いて位置取りをする場面が増えていきます。それに伴ってマフレズは中央に入っていくため、タンガンガとウィンクスに少なからずの迷いが生じ、簡単にクロスを許す場面もありました。デブライネに関しては大外に陣取ることもあればギュンドアンサイドに寄って行き数的優位を作って崩していくこともあったりと、まさに神出鬼没で一筋縄ではいかない選手だということを改めて思い知らされました。彼が右大外に出るとマフレズと違って順足のサイドになるのでシンプル且つ即死級高速変態理不尽クロスが飛んでくる可能性が高いので注意するべきでしたが、防ぐことはあまりできていませんでした。また、もう1つ脅威だったのがウォーカーの運びです。ベルフワインにマンツーを食らっていたとはいえ、ビルドアップ時に中央でボールを持てば空いている右まで自ら運んで幅を取り、中央に縦パスを打ち込む、という場面があり、一番顕著な例は48分のアグエロのビッグチャンスの場面でした。

戦術兵器ウォーカー

自分で運んで幅を持たれてはどうしようもないですが、ウィンクスをはじめとした中盤ラインのスライドのスピードにはまだまだ改善の余地があると感じました。オーリエの不用意なファウルによりPKが与えられたり、それ以外にも訓練された崩しからピンチを迎える場面もありましたが、全体的に見ればしっかりと集中して乗り切った前半、という印象です。攻撃に関しては、ソン、デレ、ベルフワインの配置は基本的に定めなく流動的に位置取り常に裏を狙って走り続けていたのでチャンスになりそうな場面もたくさんありました。しかし新加入選手との連携不足、ソンの持ちすぎなどは否めず、大きなチャンスを作ることは出来ませんでした。裏へのボールもエデルソンにうまく処理をされて繋げられず、攻撃陣はフラストレーションの溜まる前半であったことが伺えます。

真っ向勝負を挑む

後半、ルーカスを右に出してソンを中央に置くなどの変更はありましたがメンバー交代は無し。ロドリへのコース封鎖はやめてスパーズはプレッシングとカウンターで真っ向勝負を挑みました。シティは短いパスを用いての前進を増やし、多角形を作った崩しでピンチを招く場面もありましたが、セットしてプレッシングできる状況下ではチーム全体が外に追い出すようなアプローチを行い、同時に選択肢を奪う追い込み方を行ったため、サイドへのパスがタッチラインに流れるようなシティらしくないミスを誘っていました。また、それ以外の場面ではブロックの密度を意図的に下げて代わりにカバー範囲を広げ、オープンスペースでマフレズが受け、デブライネがチャンネルランで入っていく状況を徐々に減らしていきました。それでもマフレズ自体が脅威であることに変わりはないのですがクロスを上げるときは高確率で右足に持ち替える、深くまで突破してくることはないのでタンガンガはある程度落ち着いて対応できていたと思います。そこを突破されてクロスを上げられても、ニアで食い止められるクロスはサンチェスがほとんどすべて処理できていました。左サイドに関しても、ジンチェンコが左で受けた際はスターリングギュンドアンの多角形形成はルーカスロチェルソで塞ぎ、ジンチェンコ自身の縦突破のルートはオーリエがしっかり消していたためギュンドアンが動き出して後ろで受けるかロドリに引き渡して作り直す、という状況に上手く誘導していたと思います。他にもエデルソンにボールが流れた時には一人のプレッシングの脇を2人で連動して横へのパスを妨害し、幅を取った状態でのビルドアップをやらせない状態を作るなど、真っ向勝負を挑んだ中でやりたいことをしっかりと出来ていたと思います。

そして仕留める

そうした展開でスパーズがブロックを敷いてカウンターを試みる状況がしばらく続いた後、ショートコーナーをカットしたウィンクスがそのまま運んでジンチェンコのファウルを誘い退場となります。彼は体を入れてそのままターンして奪取したり、点を狙いすましたタックルが得意なので、この場面では蹴り出すタイミングや体を当てるタイミングもわかったうえで倒れたように見えました。結果的に数的優位を得たスパーズはその直後のプレーでベルフワインが移籍後初ゴールを叩き込んでリードを奪うことに成功します。エンドンベレも投入し、枚数が少なくなった中盤を支配することに成功しました。加えて後半はロチェルソのフィルターの効きが非常によく、シティの中盤での保持にズレが生じるとすでに近くに位置取りを行っているためすぐに絡め取って縦に打ち込むか堅実な保持につなげることが出来ていました。追加点もロチェルソの回収からエンドンベレが縦パスを入れ、ソンが仕留める形でした。その後シティの大外からのシンプルなクロスに脅かされ、短時間でウィンクスとサンチェスがオウンゴールかましそうになるといったピンチもありましたが、ロリスを中心に最後まで集中し続け見事にクリーンシートを達成しました。

これ、今期で一番仕上がってた試合なんじゃ?

こうして今期ビッグ6相手に初勝利を飾ったスパーズ。やはり勝利は格別です。これだからスパーズはやめられない、と改めて思わせてくれるような試合でした。ただこういう時に限って次トンデモ試合をかましてくるのでまた一つ気を引き締めて取り組んでもらいたいと思います(セインツ戦はまだ見られていません)。COYS!!!!!


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