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「この先を生む人」を読んで

私も2017年に二期生として参加させていただいた「ティーチャーズ・イニシアティブ(TI)」の記録。第1章ではTIとは何か、第2章ではTIに参加した先生方によるご自身の学びと変容の記録、第3章では児美川先生による解説、という構成で語られています。

第2章に登場する先生方は、いっしょに二期生として学んだ方も含めて、直接知っている方々ばかり。それぞれの言葉で語られた、TI参加前のジレンマやTIに参加しての戸惑い、そしてそこからの学びと先生自身の挑戦は、改めて振り返ってみると本当にすごいことだと思います。一人ひとりの「ラーニング・ストーリー」は、ぜひいろんな方に直接読んでいただきたいなと思うので、ここでは第1章と第3章を読んで感じたこと、学んだことを記録しておきたいなと思います。

◆第1章:21世紀ティーチャーズプログラムとは
このプログラムの特徴として、学びの目的が「内省による”教育観”の更新」であること、「体験を紐解くことで主体的に学びを得る」という学び方のデザインがされていること、の2点があげられています。自分自身でTIでの体験を振り返ると確かにその通りで、これって本当にすごいことだなと思います。

【TIの体験の中で、私自身に起きた10のこと】
1.安心・安全な場で自分をさらけ出せる
2.ほかの人の考えを素直に受け入れられる
3.ゴールが設定されないことに不安を感じる
4.自分たちでゴールを決めることに戸惑う
5.信頼できる人たちと闇雲に動きつつ対話を重ねる中でチームになる
6.お互いの考え方を知りあうところから、大事なことを見極めていく
7.試行錯誤や議論の行ったり来たりを楽しむ
8.本質に戻ってすべてをひっくり返す意見を歓迎する
9.様々な体験を通して、自分のこだわりや願いを可視化する
10.すべてのプロセスが自分の中に蓄積される

プログラムは「無意識に持っている価値観や思い込み、思考の癖を自覚し、手放してみる」という成長・発達の在り方をベースに組み立てられていると書いてあります。

実は、私の中では「ゴールや何をどう学ぶかは決められているもの/決めるべきもの」という思い込みがあったように思います。また「教える人/教わる人」という役割にも当初はすごく縛られていました。

私たちが受けてきた教育ってそうだよな…と思います。答えがある問題があって、一つでも多く正解したら勝ち。その正解にたどり着くのも、効率よく短時間であることが望ましい。だから、すぐに「正解探し」をしてしまったり「ゴール」を決めてほしくなってしまうんですよね。

理論上は知っていたはずなのに「主体的な学び」ってそうじゃないんだ…!ということを改めて実感したのは、TIを通してだったなと思います。

◆第3章:研究的視点から
第3章を書かれているのは、TI二期のゼミでお世話になった児美川先生です。「ゼミって何するんだろう」と集まった私たちを前に「何をするんですかねぇ(にっこり)」という児美川先生。一瞬途方に暮れたところから始まったゼミ活動を思い出しました。(ここに自分の”思い込み”があったことは、後から振り返って気づきました…)

第3章の中で印象的だったのは、「これまでの教師教育改革の失敗要因」。以下の4つはどれも大事だなと思ったのですが、特に「教育者を信用していなかった」というのは、とても大きいなと思います。
1)当事者たちをわくわくさせなかった
2)教育者を信用していなかった
3)管理・統制的な研修が行われていた
4)教育界に「幽閉」して教師の力量形成をしようとしていた

現場にいる先生方をリスペクトして、先生たちを信頼することで、先生たちがわくわくする主体的な学びの場を作り上げているTIの在りかた。この「まなざし」ってとても大事だなと思います。

◆「主体的に学ぶって楽しい!」をHFAでも
TIでの経験を通して、同じような学びの場を子どもたちとも作りたくなりました。でも、実際には子どもたちといっしょにやっているのはプリント学習。HFAでは、実はずっとそこにジレンマを感じていました。

コロナ禍をきっかけに2020年の夏に実施した「サービス設計プロジェクト」では、改めてHFAのサービス内容を見直し、「まなびクエスト」「あそびクエスト」「はたちクエスト」という3つのプログラムを始めました。一歩一歩ではありますが、子どもたちがわくわくしながら主体的に学びに向かえるような、そんなプログラムとして形にしていきたいなと思います。

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