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Einstar vs Mini vs POP2 vs CR Lizard

Shining 3D の EinstarとRevopoint Mini と POP2とCreality CR-Scan Lizardを使い比べよう、という趣旨の記事です。登場する機材は全部自腹切ってます。メーカーの宣伝じゃないよ。
Einstar抜きの3機種、Revopoint POP2 とCR-Scan Lizardの比較はこっちの記事読んでください。
https://note.com/hexcapbolt/n/n21e938e36380


ハードウェア

見たまんまなので詳しい解説は省略。

だいたいティッシュ箱くらいの厚みと長さ。
ゴムカバーを外したところ。
三脚用ネジ穴はゴムカバーを外したところにある
左側にPC接続用USB、右側にスキャナ接続用丸型端子。CR-Lizardと似た感じの端子。専用ケーブルの中途に補助電源としてAC電源(12VDC)を接続する必要がある。

スキャン品質

スキャン対象

 比較のために、あえてスキャンしづらいアイテムを集めて性能を試すことにする。スキャン作業は条件を変えながら2~3回試行し、ベストな結果を選んだ。スキャンはすべて回転テーブルを使ったもの。手持ちスキャンは試していない。

1.石膏像
 ディティールの再現度を評価しやすい。

2.明るい色のレゴブロック 3.暗い色のレゴブロック
 レゴは寸法が安定しており精度を評価するための安価な素材として優秀だ。さらに色による影響も評価しやすい。

4.コンセントのヤツ
 正式名称不明。アース線は邪魔なので切り落とした。黒くツヤがあり典型的な3Dスキャンしづらい部品。細かいシボがスキャンできるかどうかも評価項目のひとつ。

5.バイク部品
 メッキされていて光沢があるうえアンダーカットが複数あり、3Dスキャンしづらい部品。

スキャン結果

上表の部位欠損は何かというとこういう状態。大部分はスキャンできたが一部はスキャンができない状態。この例だと黒いレゴブロックだけ形状を得られていない。
 スキャンしづらいものをスキャンするためにセンサ感度やIRライト照度を上げていくことになるが、ノイズが乗り形状が崩れていく。それも限度があり、スキャンできなくなる。「部位欠損」というのはちょうどスキャンできる、できないの境目の状態。

さて、結果を1つずつ見ていく。

スキャン1.石膏像

Einstarはメッシュが細かい(≒測定点が多い)。Revopoint Miniと同程度だが、細部のディティールがスキャンできていない。どうもハードウェアもソフトウェアも小さいモノをスキャンするようにチューニングされていないらしい。ノイズとして処理する閾値が厳しめで、データ点数が少なくなりがちなエッジ部を消しがち。なので鼻や耳が撮れていない。面が荒れているのはスムージングやリトポでなんとかなるので大きな問題ではない。むしろソフトの設定による。

スキャン2&3.レゴブロック

 ソフトウェア上で「最小スキャン体積」みたいなものがあるらしく、これを下回るとスキャンできない。スキャナのセンサは検知しているが、PCのソフトウェア上では消えてしまう。
 レゴブロックだけでは撮影できなかったので石膏像と一緒にスキャンすることにした。まぁそれでもノイズとして判定されるのかデータとしてはあるが後処理で消されてしまう。

欠損は多いが一応、明るい色のレゴブロックだけは部分的に撮れた。精度はぼちぼち良いようだ。

スキャン4&5.コンセントのヤツ、バイク部品

撮影できなかったので省略。黒色や光沢には強くないようだ。白色スプレーを吹いて再トライしてみたが、モノが小さいのでうまくスキャンができなかった。部分的に撮れたがディティールがつぶれていたのでリバースエンジニアリングには向かない機種のようだ。

Einstarが得意なスキャン

 Revopoint POPシリーズやCreality CR-Scanシリーズは小物スキャンを得意としていた。Shining 3DのEinstarはある程度の大きさがあるものをスキャンするのに向いているようだ。具体的には20cm以上~数m程度のものが向いている。例えば人間とか、クルマとか。
 いくつか例を見せながら説明する。

スキャン例①:キーボード

写る範囲が圧倒的に広い。POPシリーズ、CR-Scan Lizardはキーボードのテンキー+α程度の範囲しか写らないが、Einstarはキーボードの2/3くらいの範囲を撮影できる。

 スキャン範囲が段違いに広い。これによってスキャン1回あたりの時間も短くなるし、トラッキングが外れづらくなり再撮影の回数も減る。作業のストレスがかなり軽減される。
 トラッキングが外れづらいというのは、映る範囲が広いことで拾える特徴点が多くなるからだ。特にキーボードのように規則的な部分を撮影するとき、撮影範囲が狭いとトラッキングが外れやすい。(スキャンソフトウェアは色情報がない、赤外線カメラの白黒映像を使うので今カメラがどのキーの上にあるのか判断できなくなりがち)

スキャン例②:ヘルメット

Einstarはトラッキングが強いし、外れても復帰がとても速いのが強みだ。トラッキングの強さを生かして、ヘルメットの3Dスキャンを約1分で完了させることができた。

形状のゆがみも小さく、見てわかる範囲で左右非対称になっていない

もしRevopoint POPシリーズなら数時間~1日仕事になるボリューム感の作業だ。もしPOP2でスキャンするとしたらマーカーシールを100~200枚ほど貼り付けて~ゆっくりスキャンして~マーカーシールを数百枚はがして~シールのノリを掃除して~ といった作業が必要で、急がなければまぁ1日仕事は確実。
 スキャン作業もPOPシリーズならマーカーシールの配置を修正しながら何回もスキャンのやり直しが必要だろう。でもEinstarはマーカー無しで一発スキャンができた。黒色の部分はさすがに撮れていないが。

まとめ

結論としては、EinstarはPOPやCR-Scan Lizardと比べるべき機種ではない。スキャンすべきモノの大きさが違う。大きいものをスキャンした経験が無いので、使用してみて感じたことをお伝えして終わろうと思う。

Einstarの良いところ

  1. トラッキングが強い

  2. 撮影範囲が広い

  3. スキャンソフトが使いやすい

  4. 精度も良い

  5. 総じてストレスが少ない

Einstarの悪いところ

  1. 小さな凹凸、ディティールが撮りづらい

  2. 小さなモノは撮れない(10cm以下くらい?)

  3. 少し重いので長時間使うと腕が疲れる

  4. ワイヤレス運用不可

  5. 小さいマーカーシールに対応していない(白丸直径5-6mmくらい必要)

  6. 色差や光沢には強くない。AESUBや白色スプレーは必要。

Einstarはこういう人におすすめ

  1. 撮影したいモノがある程度大きい(20~30cm以上)

  2. 信頼性が欲しい(撮りなおしが少なくあってほしい)

  3. 細かいディティール(3mm以下くらい)は気にしない


大きなモノ撮るならRevopointやCrelityより断然いい。おすすめ。

おまけ

なんかノイズ除去が強めに効いてる気がする。点群データとしては撮れてるんだけど後処理で消されるんだよね。


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