りべんじ

その日、オレはくたびれていた。
晩酌の肴はをコンビニで済まそうと近所の店に入った。
夜の１０時過ぎなのに結構な混みようだ。オレの田舎では考えられない。
ま、とにかく何かうまそうなモノを探していたら、ほうれん草のチーズ焼き、というのがあった。
その名のとおりほうれん草の上にチーズがたっぷりのってこんがり焼いてある。
オレは手にとって三秒ほど固まっていたがやがて元の棚に戻した。
家にほうれん草もピザ用チーズもあるのだ。なんにもしたくないのにもったいないと思ったのだった。
結局、冷凍の焼き鳥を買って帰りその日はそれで腹一杯になって寝てしまった。
次の日。
やっぱりほうれん草が気になって、というか早く食わないと駄目になってしまうのでとにかくやってにることにした。
鋳物のプレートがあるのでそれに油をしいてほうれん草を炒めた。ついでに椎茸も適当に切って入れてみた。塩胡椒する。どんどんかさが減るので調子にのってほうれん草を足していったら１把全部入ってしまった。ま、いいか。
火を止めてピザ用チーズをたっぷりのせて魚焼きのグリルに入れて焼いた。
いい感じじゃないか。

はじっこを箸でつまむ。
う～ん、びろーんと伸びたチーズは食欲をそそる。火傷に気をつけつつ口に入れるとチーズの香り、ほうれん草のあおい感じ、塩気、噛んでいくと乳成分、ほうれん草の甘味がじわじわしみだしてくる。さらに椎茸のコク。
うめえなあ。
頂き物の四合瓶がどんどん減っていったのだった。