見出し画像

サバイバルの競馬専門紙

売り上げ低迷の専門紙

今週末のフェブラリーステークスに備えて、週刊競馬ブックを買ってきました。まずはざっとメインのレース情報やトラックマンの注目の一頭のコーナーを見ますが、比較的早い段階で読むのが「一筆啓上」のコーナーです。これは競馬に関わる人たちが週替わりで担当するコラムで、かなりおすすめのコーナーです。今週はゼンノマネジメントのレーシングマネージャーである片山良三氏の担当でした。内容は競馬の売り上げが近年好調の一方で、競馬専門紙の売り上げは苦戦しているというものです。

以前、私も競馬専門紙については投稿しております。ここ数日でアクセスがありましたが、片山氏のコラムも関係していたかもしれません。私も専門紙の研究ニュースを愛用している身ですので、専門紙には頑張ってもらいたいと思っております。

ざっと片山氏のコラムの内容を紹介すると、中央競馬は11年連続で売り上げを伸ばしており、このままいくと過去最高記録も更新するのではないかという勢いである一方、新聞は読売や朝日などの一般紙が大きく部数を減らしていることに加え、スポーツ紙さらには競馬専門紙も部数を減らしているというものです。

苦戦の新聞業界全般

遠巻きに新聞業界と関連を持つ会社に勤めているため、新聞の部数減については認識していました。とある新聞社の方に以前聞いた話では、新規で宅配を申し込む家庭はほぼなく、そのうえ、既存の購読層も減少をしているとのこと。その理由は既存の購読層は高齢者が多く、その方が亡くなってしまうと新聞の購読も止まるからという話でした。もちろん、それは要素の一つに過ぎないと思いますが、なにしろ新規の購読者が全く増えないというのは危機的状況を端的に表していると言えます。ちなみに、日本の新聞社でウェブの有料版で成功しているのは日本経済新聞だけと言われており、三大紙でいうと読売は新聞購読者のみに新聞と同内容のウェブ版を提供しているほか、朝日は苦戦、毎日は見る影もないというのが一般的な評価です。

また、スポーツ紙は基本的に駅の売店での販売がほとんであるため、コロナで在宅勤務が増えたこととそれに伴う駅売店の廃止が大きく影響しているとコラム内では紹介されています。競馬新聞も同様で、私が書いた上記の投稿内でも触れましたが、競馬場での売り上げが多くを占めており、無観客競馬でその部分がごっそりなくなったのが大きく、さらに片山氏のコラムでは無料である程度の予想情報を得られるようになったのも一因としています。

正直、ネット業界に20年以上身を置く立場からすれば、無料の情報(提供側は広告収入で対価を得る)でネットが成り立っているというのは構造として仕方ない面があり、それを否定するのはなかなか難しいのですが、一方で無料情報のほとんどが無価値であると感じており、結局、競馬についても有用な情報は有料ルートからしか得られないとの結論に至っています。それは例えば、競馬ブックやnetkeibaなどの媒体で、特に前者については無料で得られる情報はほとんどないはずです。両者ともにYouTubeを活用していますが、流れ的にはそれも有料ユーザー限定になるような気もしています。

さらに言えば、ウェブに転がる一般の情報も無料のものは9割がた価値がないと思っており、提供する側に属する人間が言うのもなんですが、ネットで読めるニュースは速報以上の価値はなく、本当のニュースに触れたいのであれば日経新聞や朝日新聞などの有料版に加入、または新聞を購読しないとダメだと思います。よく、「ニュースはネットで読めるから新聞いらない」みたいな人がいますが、それは実際の新聞をしっかりと読んだことがないから言えるのであり、ネットの情報以上のものが新聞にないと信じているのであれば、言い過ぎかもしれませんが、哀れというしかありません。

それと同様に、しっかりと検討して競馬を楽しむためには専門紙は必須と言えますし、もっと言うなら、JRA-VANなどのデータを有料で得る必要があると思います。もちろん、手軽に楽しみたいライトユーザーの方はネットの情報で足りるのかもしれず、それを頭ごなしに否定することはしません。しかし、某ニュースサイトに載っていた競馬関連記事への書き込みで、無料で得られる情報が少なすぎるという趣旨のものがありましたが、これは勘違いも甚だしいと言わざるを得ません。普通、飲食店に行ってタダで食わせろって言いませんよね。それと同じことです。競馬新聞だって記者の人が苦労して情報を取ってきて紙面にまとめているわけですが、タダでよこせはあり得ません。

とにかくサバイバルだ

ちょっと脱線してしまいましたが、片山氏は専門紙は生き残るためにもっと奮起しなければならないという形で締めています。まさに仰るとおりです。その方が読者としては買うモチベーションにもなりますし、結果的に競馬がさらに面白いものになると思いますので、ぜひ奮闘をお願いします。こちらはこちらで微力ながら毎週買うことで応えていきたいと思います。

(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?