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埋込消耗品の基礎知識②~常温硬化樹脂~

常温硬化樹脂について

圧力や高温の下に耐えられない試料(基板、軟金属等)や、大量の試料を埋込場合は常温硬化樹脂を使用します。液状の主剤と硬化剤を混ぜ合わせて、型に流し込み、埋込試料を作成します。
2液を適量測り、均一に混ぜることで化学反応が起こり硬化をする為、量を間違えたり、攪拌が十分でないと異常硬化で割れたり、十分に硬化せずブヨブヨになったりします。初めて行う場合は、最初にテストをして問題なく硬化することを確認してから、埋込を行いましょう。

常温硬化樹脂種類

弊社ではエポキシ、ポリエステル、アクリルをご用意しております。
エポキシは硬度が高く、透明度も高いうえ収縮率も低いので、常温樹脂では最も試料埋込に向いている樹脂です。欠点は硬化時が長いことです。この欠点を補った時短タイプもありますが、高価になってしまいます。
ポリエステルは硬度、透明度、収縮率でエポキシに若干劣りますが、安価で硬化時間が早いメリットがあります。一度に大量の埋込試料を作成する場合に向いています。

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樹脂については、年々国の規制により取扱いが厳しくなっています。
エポキシ樹脂は、硬化剤に含まれる「ジエチレントリアミン」と「トリエチレンテトラミン」が2018 年7 月1 日より劇物対象となりました。
ポリエステル樹脂については2014年11月1日より『特定化学物質障害予防規則』が改正されポリエステルに含有される「スチレン」が健康障害を及ぼす恐れがあるとして特定化学物質に指定されました。
これを受け弊社では、劇物非該当の『ハルツォクエポ硬化剤-2』とスチレンフリーの『アクア』の販売を開始しました。いずれも試料埋込用としては、業界初の商品となり、多くのお客さまよりご指示を頂いております。

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こちらの商品はアマゾンでご購入頂けます。
■ハルツォクエポ 硬化剤
https://amzn.to/2I82WLc
■ハルツォクエポ 主剤
https://amzn.to/3qk9UNu
■ハルツォクエポ低粘度 主剤
https://amzn.to/3ssdAyE

■アクア 主剤,硬化剤セット
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テクノビット

常温硬化樹脂でエポキシとポリエステル以外にアクリル樹脂の『テクノビット』という樹脂が御座います。ドイツのクルツァー社の商品で、粉末と液体を混合し埋め込みを行います。埋込をされたことがある方なら、一度は耳にしたことがある商品かと思います。常温硬化樹脂でありながら、硬化時間が10分程度と圧倒的に短く、多様な種類がある高性能な樹脂です。短所といえば価格が高いという点です。他の常温樹脂に比べ桁が一つ多い金額です。
品質保証部等では、製造ラインから「至急検査して欲しい」という試料が送られてきます。こうした場面では、すぐに埋込が出来るテクノビットは欠かせない商品です。

保管方法

熱間樹脂同様、高温多湿を避け直射日光の当たらない、24時間空調が入った部屋で暗い場所で保管して下さい。使用後は必ず容器のキャップをしっかり閉めて下さい。常温硬化樹脂は長期保存が難しいので数か月で使用出来る量を購入するようにし買い溜めはしないようにして下さい。

トラブルシューティング

常温硬化樹脂は主剤と硬化剤を混ぜ合わせるだけですが、分量をしっかり測り、攪拌も丁寧に行わなければならず経験がモノを言う作業です。型に樹脂を入れる際も泡立てず、ゆっくりと入れる必要があります。

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試料のエッジ部に気泡が付くと、研磨時に気泡の箇所が穴となり研磨面に現れます。そこに、研磨砥粒や研磨屑が入り込むと、仕上げの時に出てきて大きな傷を残します。気泡を抑えたい場合は、脱泡器を使用して下さい。

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