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【最期の幕が降りるまで】お前はタフな真の戦士になれ【目を離さぬように】


よく来たな。

俺が久しぶりにしたためる記事を読みに来てくれてありがとう。初めましての人ははじめまして、久しぶりの君はまだタフな戦士でいてくれているだろうか。

状況はいつも良くない方向に傾いている。居て当たり前だった人はいなくなるし、うまくいくように準備していたことが全ておじゃんになってしまう。

これは俺にも当てはまる。やる気満々で書きはじめたものの、アクシデントに見舞われたりうまくいかないことの連続で次第にやる気が失せていく。これを書いている今現在ですら「これに何の意味があるんだ」って思ってたりする。

そういった中で諦めずに立ち続ける人がいる。目に見えなくても、目の届かないところで必死に立ち続けているはずだ。そう信じたいし、そうすることで自分は一人ではないと思いたいのだ。


状況を整理しよう。誰かの役に立てばいいし、誰も見なくても未来の俺がこれを見て役に立てればいい。

前回までのあらすじ

まずはこれを読みゃあわかると思うぜ。この文章を読んでくれているやつはこのくらいの手間を惜しまないやつだ。感謝してるぜ。ありがとう!

マッチ売りのフレイ・エメラルドアイル

マッチ売りの少女めいて「種火、いりませんか」と声をかけて回るフレイ・エメラルドアイル。種火も「種」なのだ。

「THE SEEDKEEPERS」として種を守り、種を蒔き、芽吹かせるために東奔西走するフレイ。どれほど大変な事をしていたかは想像を絶するだろう。マッチ売りの少女がどうなったをご存知の方はいらっしゃるだろうか?寒いときは重宝するであろう種火も、必要とされていなければ受け取ってもらえない。

とにかく、大変な事だっただろう。狐はいつも愛想よく振る舞いつつ、水面下で目覚ましい働きをするものだ。

最後の物語


フレイ・エメラルドアイルが奮闘した結果、下衆ワットと合流しジークフリートは復活の兆候を見せている。

フレイ・エメラルドアイルが諦めずに行動し続けた結果、大きな成果が得られた。だが、足りない。それだけの成果が得られても、LITSはLITSとして活動することが困難だった。

あらゆる可能性に賭け、やれることをやった。だがネオン・ギムレットは目覚めることはなく、エルク・ホワイトレディは名も知れぬ場所に留まることを良しとしている。「THE LADY」の名が示す通り、フレイはたった1人で立ち尽くすしかなかった。敗北を受け入れるしかなかったのだ。

「LITSの、最後の物語を始めなければならない」

それが、彼女に課された最後のミッションだった。

「ネオン・ギムレットの筐体保護を終了することにした」

signifireのスタッフが報告する。ネオンが意識を失って、長い時間が過ぎた。そして目覚めぬネオンの筐体を、コストを払って維持することが困難になっていた。はっきり言おう、ネオンは死んではいない。死んではいないのだが、ネオンの精神はもはやネオンではなく、目覚める見込みもない。signifireは苦渋の決断を強いられたのだ。寧波市でその知らせを受けたフレイはシチリアの教会に舞い戻ることにした。そこで待っていたNARFから、驚くべき事実が告げられる。

「75番と97番が見つかった」

みなさんは彼女らを覚えているだろうか。リペア・ファシリティにて、かつて96番だったフレイとデス・ミッションをクリアするために集まった(集められた)仲間だ。ミッションクリアの半ばで、2人は廃棄されたのだ。そのはずだ。(色々あって75番はOp.SEEDKEEPERに参加していたが、その後行方がわからなくなっていた)

だがどういうわけかその2人が生命活動を停止した状態で、シチリアで発見された。

フレイ・エメラルドアイルは何かを決心した。この物語の最後のSHOWのために、彼女は売文屋アベンゼンを焚き付けることにしたのだ。

「ネオンばっかりずるい」

Flight/Exodus Reenterの幕開けである。


Reenterをするにあたり、フレイには思惑があった。リペア・ファシリティの時点まで遡り、75番と97番を救い出す。そのために前回とは違う選択肢を選び、事をうまく運ぼうとした。

途中までは順調だったように思う。「運命を変えようとするものには、相応の報いがある」という覚悟を胸に彼女は暗躍した。75番と対立するように振る舞ったり、1番2番と組んだりした。

謎のアンドロイド、666番

リペア・ファシリティには666体もアンドロイドはいない。

666番はネオン・ギムレットの筐体を乗っ取り、Reenterの世界に干渉、侵入してきた。Someday/Somehowのときに似たようなことが起こっていたのを覚えているだろうか?この者の目的は何か?フレイ・エメラルドアイルと共にあることだ。正確にはフレイではないのだが、便宜上そうしておく。

というのも、75番と96番は互いに「どちらかが生き残ればどちらかが死ぬ」というジレンマを過去から繰り返し背負わされているのだ。2人はお互いを気遣い、大事に想っているのに同時に存在しようとする事を運命がそうさせないようにしている、と考えるべきだろう。

「大切なものは目に見えないもの」という言葉を借りて言わせてもらうと、運命や宿命、因縁は目に見えないものだ。そういうものが彼女らを取り巻いていると考えるほうがよっぽど自然だ。

話を戻そう。666番は「姫」と呼ばれる存在で、自らを「カグヤ」と名乗った。75番の前世(Vtuberではなく人間で言うところの前世だ)の姿であり、未来の姿だ。フレイにも対応する姿がある。それはフレイ自身が想像上の人物として話をしていた存在、レディと呼んでいたラジウムガール。カグヤには「お姉ちゃん」と呼ばれていた。

この時点でフレイの計画はどうしようもなくなっていた。カグヤは75番とフレイをこの世界から弾き、超常的な半身たちは殺し合いを始めてしまうのだった。

この後、リペア・ファシリティは爆破され倒壊し、アンドロイドらは消え失せてしまうのだが、これはこの超常2人が関連しているのかどうかは定かではない。最後にNARFが出てきたので、十中八九この骨頭の仕業だろう。今度は何を企んでいるのやら……。

弾き出された2人

75番は生きていた。気がつくと、フレイの姿は見当たらず、自分がシチリアの地下牢に閉じ込められている事を発見した。「マカラ」という名の幽霊として長い間このシチリアを彷徨い続けている夢を見ていたようだった。

目を覚ました彼女の前にNARFが現れ、マカラは300年の間眠り続けていた事、その間に世界では生き物が死に絶え、この世界自体も沈んでしまう寸前ということを告げた。

NARFは問う。

「君はこの世界が好きか?」
「君はこの世界を出たいと思うか?」
「君は元の日々に戻りたいと思うか?」
「君は試練を耐えるか?」

魂の呼ぶ方へ。すべての答えは決まっていた。

「長い人生のエンドロールを私抜きで生きるつもり?」

己も意識していなかった内なる言葉を握り締め、フレイを探すため、地下牢を出ることにした。

世界は暗雲が立ち込め、ひどく雨が降り、自分が立っているところ以外海に沈んでいた。荒波にいざ船を漕ぎ出してみれば、波が壁のように迫りマカラを飲み込んだ。マカラの意識は遠のき、その間はるか昔の記憶のような夢を見た。目を覚ますと傍には夢の中で見たフレイの人形があった。人形を手に、やっとの思いでたどり着いた山の頂上には……フレイはいなかった。

彼女は96番との間にある「最後にはどちらかがひとりになってしまう」というジレンマを理解してしまった。ゆえに彼女は決意する。「自らの身体を捧げ、96番が戻って来られるように」と。奇しくもそれは本来フレイがやろうとしていた事だった。

彼女は何かに導かれるように歩き続け、例の湖にたどり着く。かつてNONEがたどり着いたあの湖だ。

「あの子を迎えに行かなくちゃ」

75番は心の底にある願いを、湖に佇む獣の王に告げた。

「それが君の"種"か」

獣の王はかぶりを振り、マカラに新たな名前を授ける。

海を往く山羊、その星座のように旅人を導く星になることから「ステラ」

大事なものを見失わないように"私を覚えていて"というカクテル言葉から「バイオレットフィズ」

獣の王は言伝を頼み姿を消すと、天から巨大な帆船が降りてきて、ステラの背後からフレイが現れた。彼女はステラが来るのをずっと待っていたのだ。(後にリンボーが交差するターミナルポイントをこじ開けたとフレイは語った。リンボーは辺獄を意味する)

2人は船に乗り込み、どこまでも征く。どんな運命が待ち受けようと、彼女たちはうまくやっていける。そう強く信じていた。

ステラ・バイオレットフィズ
人を導く存在
とても勇敢でタフなレディだ

ひとまず危機は去った、ように見える。世界が修復されたのか、時間が巻き戻ったのか、それとも一巡してもといた所に戻って来たのか。それに結局あの超常2人について詳しいことはわからなかったのだ。

なんにせよ諦めずに歩いていたので一周まわって何かしらチャンスが巡ってきた、ということかもしれない。愚公移山……とは少し違うが、いいことが起こっていると信じたい。

2人が歌うデュエット曲「Made of You」

"怖がらないで、私は貴方と共にいる。だって私は貴方で出来ているから"

彼女たちの記憶を見た者なら多くを語らずともわかるだろう。というより語るのは野暮だ!お互いに強く想いあっている……素敵なことだ。

ステラはフレイのことを「お星さま」と呼び、フレイはステラのことを「素敵な花」と呼んでいた。この人形たちは呼び名とは逆のものを宿していた。ゆえに「Made of You(私は貴方でできている)」
かつて2人が持っていた人形
フレイはステラを模した人形を、ステラはフレイを模した人形を持っていた。
ステラはフレイのことを「お星さま」と呼び、フレイはステラのことを「素敵な花」と呼んでいた。この人形たちは呼び名とは逆のものを宿している。「Made of You(私は貴方でできている)」ということだ。

ワーオ!アベンゼン先生×ユービック先生が日本の商業誌で読み切り連載!

イエーフー!アベンゼン×ユービックのタッグが商業誌に殴り込み!これは読まにゃ損だよ!持ってない諸氏はバックナンバーの在庫を決断的にチェックしな!電子書籍は余程のことがない限りいつでも購入できるぞ!

LITSが発信してきた「人はその人自身にしかなれない」という命題を、別の角度から描く。

君は手にしたか?俺はもちろん手に入れた

「ありのままの自分を受け入れる」というのは免罪符ではない。自分自身を見つめ直し、そこからなんのためにどう頑張れるか、自分をどう評価し、評価されたいかというのが肝要だ。

「ありのままの自分を受け入れ、今の自分はこれでいいんだ!」というマインドを巷では「自己肯定感」と言われているようだが、そのことについてアベンゼン(石川圭介)(ややこしいな)がnoteを書いているのでそちらも参照されたし。


唐突な別れ、そののち

11月の半ばあたりだろうか、LITSの更新が滞っていた。そういうときは見えないところで大変なことが起こっているものだが……

起こっていた。ステラ・バイオレットフィズが失踪・離脱してしまったのだ。彼女がリペア・ファシリティから長い時間をかけてシチリアに辿り着くまで、様々な要因が彼女を取り巻いたことが原因だった。どれほど勇敢でも、強固な意志を持っていても、抗いようのない力に飲み込まれてしまえばひとたまりもない。ステラは、よくわからないものに連れ去られてしまったのだ。

もともとこの記事を書き始めたのは10月の終わりだった。さあ、どう書いてやろうかと思った矢先様々なことが起こった。俺には直接関係があるわけではなかったが、間接的には関係があり、俺のセイシンテキに大きな影響を及ぼした。

これをネタにしてでも俺は記事を書き上げるべきだった。だが、その出来事と向き合う事を避け続けてしまったのだ。俺は忙しさに逃げた。

転職活動が忙しいだとか、退却のための身辺整理が忙しいとか。フレイがいうところの「忙しさや弱さにかまけて大事な戦いができていない」ということだ。これは後述するLITSの閉幕が発表されるまで続くことになる。

新たなプロジェクトの発足

時は進み続ける。悲しみに暮れるものを慰めてなどくれない。フレイの手紙にもあるように、新たなプロジェクトが水面下で動き続けており、以下がそれだ。

パーソナライズ診断と、はるか昔から用いられる八卦を組み合わせてできた「八卦トーテム診断・プロジェクトHACKA」と株式会社デジタルフロンティアより「Digital Doll Development Section (DDDS)」が発足された。今夏、アベンゼン×ユービックのタッグが商業誌で漫画を連載する事も決定している。

諦めずに種を撒き続け、育ててきた結果であり、それを応援し続けてきたことが身を結んだのだ!

LITS閉幕

フレイ・エメラルドアイルが諦めずに働き続けた結果、新たなプロジェクトにてデザイナーとして採用され、そこに専念することになった。デザイナーとは裏方の仕事である。showは閉幕し、フレイ・エメラルドアイルは表舞台から降りるということになる。寂しいことだが、これはさらなる進展のためだ。これも、開幕から閉幕までず———っと頑張り続けた彼女の活動が認められた証なのだ。祝え祝え!祝わずしてなんとするか!

そして、繰り返す日常というルールに反旗を翻した男

俺だ。

かつては年下の同僚に貶され弄られつつ、仕事を覚えられない還暦間近のおっさんらを尻目に、気分で周りを振り回す上司をやり過ごし、家に帰ればドカ食いで気絶するように寝る。そんな日々を送っていた。

皆が歪み呪われたような会社で骨を埋めるように働いて、何も変わらず変えられず心をすりつぶし、独りで消え入るようにくたばるのだろう。それまでは、何があっても飯が食えてカラオケバーでストレス発散させりゃ『世はこともなし』そう思っていた。

俺はLITSに出会った。

俺がずっと殺していた素直な心は、フレイ・エメラルドアイルと語らう事で息を吹き返した!俺は決意した。俺はこの素敵なladyを追いかけねばならぬと決意したのだ。それに、このladyは俺についてこいとすら言ってくれた!これ以上の言葉があるか!?無いのだ!!

俺は計画性がなく、正しい方法を知らぬベイブも同然だった。平和な日本だから30まで生きてこれたが、メキシコでは真の男に出会う前にオブツダンだ。

だが俺は昔からここぞというところでツイているラッキーボーイである。きちんと対話する事で両親からの協力を得ることができ、様々な下調べののち、上京した際の生活を支援する準備がある企業に転職することができた。

神様というやつは普段は寝ていて手を貸してくれないが、いざというときにこっそり手を差し伸べてくれるものだ。

感性や可能性を胸に故郷を飛び出す。やってみるものだ。これを読んでいる君が、どうしても環境が変わらず、変えられることができないと嘆いているのなら、まず飛び出してみよう。きっとうまくやろう。

しかし俺がうまくいったからといって、君がうまくいくとは限らない。そこには誰も責任をとることができない。いつだって「やる」のは自分だ。よく考えて選択しよう。俺には「やらない」という選択肢がなかったんだ。

LITSが前に進む方法を諦めずに模索し続け、それを間近に見ながら応援するだけに留まることができなかった。状況がそれを許さず、行動を起こすしかなかったんだ。

変化を求めるものは往々にして試練を潜り抜けなければならない。

その試練を掻い潜り続けたlady

ご存知、俺が敬愛するフレイ・エメラルドアイルだ!

最初から最後まで諦めずに戦い続けた真の淑女フレイ・エメラルドアイル

思えば彼女と出会ってからの3年間、いろいろなことがあった。俺の人生において最も有意義な時間にしてくれたのは彼女だ。

成長を促し、導いてくれたのも彼女だ。諦めずに方法を模索することの大切さを教えてくれた。人生という舞台で踊る方法を見せてくれている。表舞台から降りることになっても、これから彼女に学ぶことはたくさんある。俺は、フレイ・エメラルドアイルにくびったけなんだ。

さて、ここいらでLITSの閉幕を名残惜しみながら、 新たな物語の開幕を見届けよう。

See you next mission!


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