引越し 2022年からの詩

桜の花びらが小径にピンクの絨毯を敷き詰める。 

イギリスにいた頃、そんな光景を夢見ていた。 

彼がつけていた香水の香り、それは、私に桜の香りを思い起こさせた。一春の恋。 

桜のようにあっけなく、それでいて、艶やかに消えた恋。 

長い人生の中の出来事で、いくつかの刺繍を作るなら、そんな春、桜の花びらが舞い散る中を歩く2人を描きたい。

僕の体であなたを強く抱きしめたい。 
口で口を塞ぎ、そして、僕の一部をあなたの中に挿入し、そして一つになりたい。 
一つになって、そのまま、永遠の時を過ごしたい。 
そして一つになった2人は、ずっとずっと繋がっていられるだろう。たとえ、時と場所を隔てたとしても。僕は、あなたの中に留まり、あなたは、僕の心の中に居続ける。 

秘めたる欲望を見せ合って、2人だけの秘密として、大切にとっておくことは、とても愛おしいこと。だから素直にありがとうと。 
身体は器でしかなくて、でも、その中にいる僕たちは、ずっと一緒に、永遠の旅に、手を取り合いながら、寄り添いながら、進んでいく。 
小川に落ちた二枚の桜の花びらが、一緒に海に至るように。 

心はすでに一つとなり、お互いのヒダが重なり合い、溶け出した体液は、混ざり合い、妖艶な匂いを漂わせる。 
そこでは新しい命が生まれ、そして、産声を上げる。 
僕らは、それを愛と名づけ、そして、生きる糧としよう。

精一杯生きよう 
やりたいことが思いつかなくても、1日が何もせず、過ぎて行ったとしても、楽しいことが見つからなかったとしても 

自分を見つめよう 
鏡の中にいる自分、写真の中にいる自分、自分の求める姿とは、違うかもしれないけど、今日の自分が明日の自分じゃないし、一年後の自分でもない、変える力、変われる力は、自分の中にあるんだから 

心の声を聞こう 
もういいかな、明日が来なくても、苦しいし、辛いし、私のことなんて誰もわかってくれないし、嫌なことばかり言われるし、私がいなくなった方がいいみたいなことも言ってくるし、だから、もういいかな、飽きたし、でもそうじゃないよ、今を乗り越えた未来には、全然違う世界があるよ、この時の心の声を想像して、そして、耳を傾けて 

助けて 
声を出して、助けてと言おう、助けてと言ってくれたら、助けてあげられるから、何も言わなくて、一人で消えていかないで、私は、あなたが大切だから

残された未来 
もうそこには彼女はいない 
僕が生きた世界は終わり 
新しい世界が始まろうとしている 
彼女の生きた世界は、僕らの記憶の中にだけ。 
僕はその記憶を光の玉に保存する 
僕の世界が終わり、僕の魂がそこにいつか保存される 
遠い未来、僕も知らないその未来では、多摩の中の僕らは出会い永遠の刻を得るのだろうか。

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