小説 第一回AI Selection (38) 馬耳島 封
秘書官「先生、選挙についての情報が来ました。」
馬耳島「選挙のことはわしが一番良く知っとる。とりあえず、党に三役でも幹事長でもいいから、わしが出ると言っていると伝えればそれだけでいいんだよ。皆まで言うな。」
秘書官「それが、今までの国政選挙とは、全く違うようです。」
馬耳島「全く違うと言っても選挙は、選挙だろ。北海道から出馬すれば、北海道の人がわしに投票をしてくれるんだ。で、当選する。簡単な話じゃないか。」
秘書官「それが、北海道がないんです。」
馬耳島「訳のわからんことを言うな。お前がたっとるそこが北海道じゃないか。」
秘書官「そうじゃなくて、選挙区に北海道がないんです。」
馬耳島「じゃあ、何があるんだ。沖縄ならあるのか?」
秘書官「沖縄もないんです。選挙区自体がないんです。」
馬耳島「じゃあ、どこの誰が投票するんだ。全くおかしなことを言う」
秘書官「銀河の住民が投票するです。しかも一人3票あります。」
馬耳島「まあ人も減っとることだし、3票くらいやってもいいじゃないか。どうせわしが3票とももらうことになるだろうが。」
秘書官「3票も人に投票するんじゃないんです。グループに投票するんです。」
馬耳島「グループというのは、党のことか?党を先に選ぶというのか」
秘書官「それが立候補した人物のプロフィールをみて、共通項のある人をグループに分けるんだそうです。先生であれば、元政治家グループとかそういうのじゃないでしょうか。」
馬耳島「元政治家でもなんでもいいが、それを国民が選ぶのか?どうやって。」
秘書官「まず政治家になってほしい人が所属するグループを選ぶんです。それの上位いくつかのグループの中で、グループに所属する一番相応しい人を選びます。」
馬耳島「グループによったら、それに含まれる人が多かったり少なかったりするだろう。例えば、元政治家は30人、でも漁師は、三人とか。立候補する漁師はそれほどおらんだろうから。」
秘書官「聞いたのは、例えば、漁師グループがグループ投票で1番なら、そのグループの中で何名、下位で選ばれたグループからは、1名みたいな選ばれ方なようです。」
馬耳島「じゃあ、何か。例えば、漁師グループがグループで一番だったとして、その中から三人選ばれるなら、みんな当選。仮に、その後の選挙で、1票も入らなかったとしても。
で、元政治家グループがグループを選ぶ時に最下位だったとして、1名なら、30人の中で1名となって、グループ内の選挙で2位になったものが、100万票とっても、落選ということか?」
秘書官「そうなりますね。」
馬耳島「そんなバカみたいな話が通用すると思うのか?完全に不公平じゃないか。」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?