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🇹🇼「10年間追いかけてきた夢が崩れたのは大きなショックでした。でも、人生を見直す旅に出て。それが転機になりました」

Danielle(ダニエル)さん

台湾の台中市で2003年からビストロ「Salut」を経営。オリジナルのピザが人気。もともとはバレエダンサー。アートギャラリーの経営経験も。2023年9月以降、台中を離れて生まれ故郷の花蓮に戻り、広大な自然の中で小さなブランチの店を始める予定。

取材日:2023年2月22日

Q、どんな子ども時代だった?
A、父親が政府の機密機関で働いていた関係で、引越しが多くて、小学校も6か所転校しました。一人っ子だったし、ちょっと寂しい子ども時代ではありましたね。本を読んだり、外遊びは1人でできる縄跳びやローラースケートをしていました。

Q、どうして今のビジネスを始めた?
A、10歳のとき、父が亡くなりました。花蓮という田舎に移って、母方の祖父母と大きな庭付きの日本式の家で暮らしました。祖母は、自分で育てた野菜や鶏で料理を作っていたのですが、それがとても美味しくて。だから、大人になってからずっと、いつか自然な食材を使った料理を提供したいと思っていたんです。

Q、最大の試練だったことは?そこで気づいたことは?
A、20代のころ、私の夢はアートギャラリーをずっと経営していくことでした。でも、とある事情で当時の仲間と一緒にやっていけなくなったんです。10年間追いかけてきた夢が崩れたのは大きなショックでした。

でも、人生を見直す旅に出て。それが転機になりました。インドネシアのバリ島、日本、香港を1年かけて回りました。ジュリア・ロバーツ主演のヒロインが世界3か国を巡って本当の自分に出会っていく映画「食べて、祈って、恋をして(原題:eat pray love)」そのものですね(笑)。

スパイス料理やアロマオイルの深さを知ったバリ。京都の精進料理に触れ、食材や食事を提供することへの心を学んだ日本。そして、香港では、さまざまな国籍の人たちが集まるビストロに通って、異文化交流の雰囲気の虜になりました。

旅で学んだことを、どうやって台湾で生かしていくか。自分をリセットして深く考える時間を持つことは、非常に大事な経験でした。

Q、心の底から信じていることってある?
A、台湾に戻って、自分の店を開くという新しい夢を模索していたとき、友人の紹介で美味しいピザ屋のカナダ人オーナーと出会いました。

「ピザの焼き方を教えてほしい」とお願いしたら、「教える時間はないけど、店でアルバイトしてくれたら覚えられるよ」と言われたので、働き始めたんです。彼は私の態度を気に入ってくれて、3か月後には「ビジネスパートナーになってほしい」と言われ、その1年後には経営者になりました。

これは、私が特別すごいわけではなく、「誰でも一生懸命やっていれば、幸運やチャンスがやってくる」ということだと私は信じています。

Q、「自分は凡人だから無理」という人に伝えたいことは?
A、私たちには、人生のチャンスというのはいつでも訪れます。ただ、そのチャンスをモノにできるかどうかは、階段を1段ずつ上るように日々行動しているかどうかが左右すると思うんです。

例えば私の場合、もし海外での経験を積んでいなければ、カナダ人のオーナーと会う機会があっても、それを夢の実現に繋げることはできなかったでしょうね。

「こんな風に生きたい」という目標があるなら、毎日1段ずつ階段を上る自分をイメージして、今できることを積み重ねてみて。その態度を続けていたら、気づいたら高いところにある柱(チャンス)を手にする日が来ます。

Q、これからの夢は?
A、この20年間、salutを経営してきて、本当に楽しかった。念願だった地元の食材を使った手料理を提供できていたし、たくさんの外国人のお客さんも来てくれて、いつも元気をもらっていた。英語も話せるようになった(笑)。

だけど、すべてのことには終わりがある。今、私は57歳ですけど、この店を新しいオーナーに譲って、故郷の花蓮に帰ることにしました。

小さなブランチの店を開く予定で、父が遺してくれた自然豊かな土地に店舗を建てているところです。私が生まれたとき、父が植えた樹の脇に、私の店を開きます。

確かに、私は父の仕事の関係で、友だちもできず、寂しい子ども時代を過ごしたかもしれない。周りとちょっと違うタイプで変わった子どもだったかもしれない。

でも、その代わりに独立心があったから、いろいろな世界で新しい経験を積むことができました。だから、今、花蓮に戻りたいんです。

花蓮以外のいろいろな世界の人とつながった私を通して、故郷に元気や新しいパワーを届けたい。

それが、私の生き方です。

ダニエラさんへのリンク:
(facebook)Danielle Qian-rong Huang

取材日:2023年2月22日

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