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FC版のドラクエ4を大人になってからやってみた

すぎやまの御大が亡くなったのをきっかけに、これまでぽつぽつとプレイし直していた5、2、3に続いて数十年ぶりに4をやってみた。
この作品はドラクエのAI戦闘のはしりで、5からは標準装備の「めいれいさせろ」がない。その理由については確かほりいゆうじが「いちいち細かく命令できないリアルな人間関係を表現したため」と説明していた記憶がある。
これは今考えても大冒険だが、こうでもしないと誰もがマニュアル戦闘を選んでAIに馴染まなかったろうから、今のようには定着しなかったかもしない。

ともかく、このFC版ドラクエ4はシリーズ唯一、完全AI戦闘前提でバランスが組まれたゲームということが言える。要するに最適解の出せるマニュアル戦闘の場合を考慮せず、作戦をあれこれ弄ってキャラを使いこなす遊び方に全振りされてる訳で、これはなかなか貴重な存在だと思う。
リアルタイムではノリ的にガンガンいこうぜを偏愛し、レベルを上げて物理で殴るタイプの攻略を好み、装備選びも炎の爪を選ぶ程の数値厨というプレイスタイルだったので、思えば随分もったいない遊び方だ。
そういう意味でも、以前からプレイし直してみたいゲームだったのだ。以下、つらつらと雑感を連ねてみる。

●第一章
30にやや届かないHPに強めの力、そして銅の剣に皮の鎧。ちゃんと薬草があればまあまあ危なげなくその辺を冒険できる程度の安定感。これまでのドラクエ主人公にありがちなこの手応えが実はバリバリ戦闘職の証だったと知るのは次章以降になるが、ライアンは強く敵は弱い。
リアルタイムでは装備は安いものから1つずつステップアップすべしという謎のこだわりを持っていたので延々レベル上げをしていた思い出があるが、装備もあっさり揃ってしまう。
それにしても、ライアン含め塔までたどり着いたのが3人もいる一方、お供のホイミスライムを羨ましがるばかりで戦友とパーティを組もうともしないとは、バトランドの王宮戦士は優秀なのかアホなのか分からない。お前ら軍隊なんだから部隊を組め。
しかし、最初に突入した王宮戦士が一旦イムルに情報を持ち帰って仲間に知らせ部隊を組み、あの塔に単独で挑めるレベルの戦士3、4人で突入したりしたら戦死者ゼロで事件が解決しかねず、ライアンが旅に出るかどうかも若干怪しい。
なお、ピサロのてさきの勇者の探し方は、結果的にはともかく、そう間違ってもいないと思う。魔物の出る森や古井戸を懲りずに冒険して空飛ぶ靴まで辿り着くガキ供には確実に才能がある。そこまで行く前に死ぬならそれまでだしな。

●第二章
ドラクエ3の感覚でアリーナに武器を買わずテンペ越えに苦労した思い出が甦る第二章。ちゃんと武器を買ってもテンペ周辺は敵が強い。直行しては道中で逃げ帰りを繰り返し、普通に到着できる頃にはカメレオンマンと勝負できる強さになる。
しかし、テンペ突破に本当に必要なのは最低限の防御力よりヒャドと打撃で暴れ狛犬を確殺できる攻撃力=いばらのむち、なのでなかなか性格が悪い設定だ。
個人的に一番の難所はフレノールの洞窟で、テベロの火の玉連打で一度は全滅した。これ以降は育って安定したが、やはり4は3より若干難易度が高いような気がする。
リレミトがない状態では容易に撤退できない洞窟と違い、敵はやや強くてもキメラの翼でいつでも逃げられるバザー周辺の方が安全なので、先にバザーに足を伸ばしてちまちま装備を整えるのがいい。洞窟を攻略する頃には塔は楽勝になっている。いつでも飛び降りられるしな。
敵が沢山出る分稼ぎもいいので、武術大会前には結構金が余っていた。リアルタイムでは鉄の爪を買うのに苦労した記憶があるから拍子抜け。逆にカジノに突っ込んでコインにしたら、祈りの指輪が貰える程度の枚数になった。これは後に星降る腕輪の足しになる。
それにしても、サントハイムの危機を告げて死んだあの兵士の死因は何だったんだろう。エンディングで何事もなく住人が戻ってたあたり無傷で封印されていたような状態だったんだろうから、ムーンブルクの伝令みたいな感じではないと思われる。
どちらかと言うとお告げ所のシスターみたいな死因だろう。サントハイムの住人は数が多いからまとめて闇ニフラムみたいなので消し、導かれし者に余計なことを喋った兵士は得意のアレで始末したと。
行方が分からなくなってるバザーの兵士は恐らく彼で、任務を終えて城に帰ったらえらいことになってたので慌ててエンドールに向かったんだろう。まあ、アリーナが普通に帰ればどの道同じことなのでわざわざ始末してもMPの無駄だと思うが…

●第三章
昔大好きだった異色の金稼ぎストーリー。色々と仕掛けのあるダンジョンが楽しいこの章だが、久しぶりにやるとちょっと作業感が強い。
ただ、よく知られている通り、この章でのトルネコの行動次第で5章がだいぶ楽になる。女神像の洞窟の宝を残しておけば勇者の装備は一気に揃うし、章の終わり際に護衛を連れて全裸で破邪の剣を大量入荷すれば、4人でギラ撃ち放題な上に余りを売れば大金が手に入る。ところで、当時ロレンスの存在に気づかなかった間抜けは俺の他にはいないだろうか?ロレンスの存在はクリア後に4コマで知ったんだぜ…
なお戦闘そのものは、最初に破邪の剣待ちしてる間に防具は買えるしすぐ装備は拾えるし、初期のステータスはライアンよりよく伸びるしでヌルいことこの上ない。無茶さえしなければ全滅しないので鉄の金庫を取るより最後に仕入れる破邪の剣を一本増やした方がいい。全裸中年行商トルネコが駆け出し勇者パーティの財政を救ってくれる。
それにしてもトルネコ、今にして3章開始から5章の合流までを眺めると、やってることが完全に血気盛んな野心家のそれで、実写にしたらものすごくギラギラした目付きをしていそうな印象を受ける。ネネを落とした時も「将来結婚するんだ」と公言してプレゼントを贈りまくり周囲も巻き込んでその気にさせたというらしいから、やはりこの漢ただ者ではない。

●第四章
開始直後のジプシー姉妹が弱すぎてきつい。当時は踊り子の服を売って皮のドレスを買え、と雑誌だか攻略本に書いていたが、絹のローブといばらのむちにしておかないとバッタを殺すのもひと苦労だ。しかも地味に集中攻撃してくるので微妙に痛い。
稼ぎをやらずにどんどん進むスタイルで行ったのでコーミズ西の洞窟にもそのまま行くわけだが、洞窟に入る前にフィールドの敵に追い返されることもしばしば。
洞窟に入っても1、2回の戦闘で限界が来る有り様なので、少し進んでは逃げ帰りを繰り返して探索を進め、羽帽子を2人分手に入れたあたりでやっとまともに動けるようになった。
オーリン加入後は一気にヌルくなるものの、アッテムト鉱山ではそれまでの安定感が嘘のようにゴリゴリ削られる。ここの難度の上がり方も「みんなのトラウマ」アッテムトの何割かを占めてるんじゃないだろうか。
ちなみに、夜にここを訪れた時、鉱山の入り口に漂っている魂の台詞はあの鉱山の奥底に眠っているものを仄めかす伏線になっているが、サントハイムの顛末を考えると掘ってほしいのかほしくないのか分からない。
それにしても、鉱毒に侵されながらこんな場所を職場にし続け、規模縮小するどころか掘り進めるアッテムトの炭鉱マンはちょっと強靭すぎないか。もしかしたら彼らはエスタークに導かれし者たちだったのかもしれない。いや実際、寝てるくせにマスタードラゴンよかよっぽど積極的に現世に干渉してるしな。
死臭漂うアッテムトから衝撃の負けイベント、そしてオーリンとの別れと4章の終盤は闇が濃い。それだけにあの汽笛と船出には夜明けを感じる。子供の頃は気にも留めなかったが、4の乗り物の曲はどちらも良い。

●第五章
・勇者の村、その戦力
みんな結構この村の戦力を気にしてるけど、あれだけ派手に壊れてるところを見ると激戦が繰り広げられたと見え、案外いい勝負はしていると思われる。SEを聞く感じだと一方的だが、多分戦闘員はそう多くない。
ガチなのは剣と魔法の師匠、それとせいぜい入り口の兵士くらいだろうか。この辺りはデスパレスの魔物とも戦えそうだが、他の村の男たちはせいぜい地上で仲間になるNPC戦闘員くらいだろう。ここにピサロも来たらまあ全滅するわなと。
シンシアに関しては、ニフラムしか使えないLv1の勇者にもライデインの授業をやってるくらいなので、姉弟子にあたりそうなシンシアなら戦闘力はともかくモシャスは使える、という仕上がりでもあまり不自然ではないと思う。
いずれにしても、隠れて勇者を鍛えるには十分な人材が揃っていたにせよ、魔物の軍勢が本腰入れて襲ってきたら多勢に無勢で無理なのは承知の上、という程度の戦力だったと思われる。
シンシアはメガテン2のベスみたいな位置付けというか、王太子の学友みたいな存在として育てられたんだろう。将来の戦友として育てられ、もしもの時はああして死ぬこともモシャスと一緒にみっちり教育されたに違いない。

・快適な滑り出し
さて、第五章は開始すぐ姉妹と合流できるため、特にレベル上げなどしなくとも大した難関はない。作戦は普段はじゅもんせつやく、危険な敵はガンガンいこうぜで圧倒して事故ったらいのちだいじにで良い。ただ、女神像の洞窟の宝箱を回収してしまっている場合、裏切りの洞窟は直行すると結構きつい。
マヌーサ持ちのベロベロと1人で戦うのでミネアの装備を借りていても運が悪いと負けるし、勝ってもMPを使いすぎていると裏切り小僧で息切れする。ただコウモリをニフラムで消せば裏切り小僧は遅いので先制攻撃の心配はなく、MPがあればベロベロより楽に倒せる。
女神像の洞窟のお宝が使える場合は回収中にレベルも上がるし装備もその時点で最高のものが手に入るので以後バルザック+まで引っ掛かるところがない。苦戦した覚えのある灯台タイガー+炎の戦士もミネアのラリホーマであっさり寝るし、全裸中年行商トルネコの出資で装備は整いギラが撃ち放題に。ブライ加入後暫くはいざという時のヒャダルコが猛威を振るう。
コーミズ西の洞窟は敵の攻撃も激しいものの馬車が入れるし、ミネアのラリホーがいい仕事をする。魔法の鍵を手に入れればすぐはぐれメタルよろいが買える上、キングレオもクリフトを連れていけばマホトーンとマヌーサでいい感じに無力化してくれるので大して苦戦はしない。
そう言えばこの時のライアン、プレイヤーキャラが明らかに人間を殺している珍しい例だけど、当時は誰も突っ込んでなかった気がする。
さて、攻略的に問題はこの次だ。

・最初にして最大の難関
ここまでサクサク進めていると、そのままではバルザック+にまるで歯が立たない。ダメージソースのはずのマーニャはまだメラミを覚えておらず、勇者のレベルも17そこそこ。ライアンはまだHP2桁で装備も乏しい。
まずは奇跡の剣と天空の兜を入手、さらに各地の宝物庫を荒らし、リバーサイドや老人の家のメダルを回収したが、この間の戦闘回数もたかが知れておりまだ足りない。
そこで海鳴りのほこらに突入して小さなメダルを取ってきた。ここの敵にはバルザック+より激しい攻撃をするものもいるが、殺られる前に殺しきれるしラリホーも効くので全力戦闘→全力回復で十分に探索できる。これで奇跡の剣が2本になりマーニャもメラミを覚えた。
はぐれメタルよろいをもう一着買い、渡したのはまさかのトルネコ。アリーナは攻撃力がまだ際立っていない上に防御力に問題があり、ライアンもまだそこまでHPが高くない上にすばやさの差でトルネコより軟らかいので消去法での起用だ。ところがこれが大当たりだった。
破邪の剣を手放して優先度の高い道具使用が消えた分特殊行動が増えたトルネコは、足払いやダジャレでバルザックの猛攻をカットする。その上口を塞いでヒャダルコを止めたり瀕死のマーニャをかばったりと絶好調。クリフトの援護もあって勇者が攻撃に回れる時間も増え、案外あっさり死者なしで勝ってしまった。FC版のトルネコは実はボス戦向きなのだ。引きがよければ、だが。
バルザックは死後失敗作のサンプルとして回収されるが、死に際の「いまに…いまに…」から察するに、この時点で既に仮説上はデスピサロが見せた追い込まれてからの形態変化能力が得られる予定だったのが見てとれる。意外なところに伏線があるもんだ。

・ガーデンブルグ~闇の洞窟
この先はライアンとアリーナが育ち、装備も充実するのでまた快適な旅になる。基本的に勇者、ライアン、アリーナが固定で4人目を状況に応じて切り替える感じになる。
ガーデンブルグの4人目はボス戦担当のマーニャ。バルザック戦で大活躍のトルネコは、成長が速い上に伸び代が少ないので人質。この後も基本ボスがいるところはマーニャで行く。
4人目はクリフトという人は多いと思うが、大抵のダンジョンは勇者だけで回復は間に合うし、攻撃アイテムを持たせてじゅもんせつやくにし、必要な時だけガンガンいこうぜにするとマーニャも案外息切れしない。
この後は氷の刃が手に入るのでブライの出番が暫くなくなる。基本的にボスのいるところはマーニャに氷の刃、いないところはクリフトに氷の刃。クリフトは氷の刃と相性がよく、いい感じに無駄ザラキが減る。
マーニャ・クリフト以外で行くのはラリホー、キアリク、ザオラル要員が欲しい魔神像がミネア、レギュラーだけで突っ込む世界樹、トルネコを馬車の扉代わりに必要に応じてメンバーを入れ換える闇の洞窟。
魔神像はブリザードマンが厄介だが炎の戦士同様ラリホーがよく効く上、フェイスボールのやけつく息もあるのでミネアが適任。天空への塔は力押しタイプが多いので硬いクリフトが安定する。闇の洞窟は馬車のおかげで最適なメンバーがいつでも出せるので、4枚目の前衛トルネコを表に立たせておくのが一番。実質ヒャダルコ、イオ、ベホイミを使える前衛になってるので、普通にトルネコが最適なケースも多い。

・闇の世界
エビルプリーストはブライで他はマーニャ。結界を破る頃にはブライの呪文が出揃っているのでデスキャッスルはブライ。メダパニが地味に効果的で、ヒャダインとマヒャドの性能も終盤の雑魚相手にはちょうどいい火力と燃費なので全力を出すと燃費が悪いマーニャより安定感がある。
デスピサロ戦もメラゾーマの効きが悪いのでブライだが、そのままだとメダパニを唱えだすのでデスピサロにマホステをかける必要がある。緑化して腕が生えたらミネアでフバーハ、回復は惜しみ無くベホマズンを使い死人が出たらクリフト。
もしメラゾーマがちゃんと効いたなら、天空城に招き入れられた4人が元々ボス狩りパーティなので最終メンバーになっただろうが、まさかジジイがラスダン・ラスボス担当を持っていくとは夢にも思わなかった。

・エンディング
これから宴でも始まりそうなバトランドといい、モンバーバラでのマーニャ復帰の舞台といい、あっさり背を向けて出ていくあたりノリの悪さに定評のある勇者だが、故郷に帰ったところで何もないんだからいまいちノれないのも仕方ない。
マスタードラゴンが天空城の永住権を褒美に提示したのもその辺りの配慮で、寄る辺のない勇者に帰る場所を与えよう(実の母も居ることだし)という意図があったんだろうが勇者は拒否して帰ってしまった。そこで例外中の例外で死後だいぶ経った導かれてない者シンシアを復活させて代わりの帰る場所を作ってやったというのが最後の展開だと思う。
幻覚エンド説もそれらしくて良いんだが、マスタードラゴンは神のくせに勇者パーティが全滅しない限り殆ど何もしてないに等しいんだから、任務完了後の褒美すら受け取り拒否されては立つ瀬がない。神の面目に賭けて、勇者を救った英雄1人を縛りを破って現世に呼び戻すくらいはやるだろう。まあ最悪霊体だけとかかも知れんけど。

●キャラクター評価
リアルタイムでは一軍以外馬車の肥やしで全く顧みないという遊び方だったが、こうしてやってみると、序列はあっても皆何だかんだと見せ場があり、起用がハマるとちょっと気分がいい。少し印象が変わったキャラもおり、面白かったので手垢がついたネタながらレビューしてみたい。

・レギュラー
【勇者様マジ勇者】勇者
さすが唯一のマニュアルキャラとして、いざという時1人でも戦況を左右できるよう設計されただけあり反則的な強さ。ベホマズンとギガデインを覚えてしまえば短期決戦を捩じ伏せる腕力が凄まじいことになる。
そしてMPが魔法使い系と僧侶系の間くらいとハイレベルな位置に落ち着くので回復が大体勇者で間に合ってしまう。後述のように魔法使い系の方が僧侶系より出番が多くなったのはだいたいこいつのせい。なお、単にハイスペックなだけでなく、マホステを敵に使うことでアホな呪文使いどもに呪文の無駄撃ちをやめさせることもできるという隙のなさを誇る。

【やわらかサ○ヤ人】アリーナ
みんな大好き最強アタッカー。テンペ突破以降ゴリゴリと成長を続け5章でも合流直後から攻撃力は最強、成長速度も速いため勇者のレベルも追い抜きHPも同等で推移するマッハゴリラプリンセスである。
ただし重装備ができず装甲が薄いという弱点は、地球人離れした大暴れを見せる終盤でも引きずるため3番手が定位置。特にまだ育ち切らないうちは装備性能の問題もあってボス戦レベルでは安定感に欠けスタメン落ちもしばしば。キラーピアスも力が十分上がるまであまり焦って買わない方がいい。

【エコノミー戦士】ライアン
第一章はレベルがあまり上がらず成長力もパッとしないので、王様の餞別を足しても合流直後は能力が半端で使い物にならない。しかし実はバトランドの鉄兜に始まり殆どの装備は拾えるので投資ははぐれメタルよろい一着で十分。
バルザック周りやらでウロウロしてる間にHPが上がってガーデンブルグに乗り込む頃には2番手を張れるようになり、装備が整うごとに地味に頼もしくなって、敵の攻撃も激しくなる頃には不動の1番手に成長している。HPと力が圧倒的なので前作の戦士のように勇者の劣化版に落ちることはなく、賢者の石も持たせれば攻撃力に全振りしたパーティにも安定感をもたらしてくれる。
それにしても、いくらトルネコが動けるデブでも、あの体でトルネコより遅いというのはどうなんだ。すばやさの半分が素の守備力なら尚更戦士はもっと速くていいと思うんだが、戦士=遅いという設定が定着したのは大体前作のせいだろう。
あの時点で戦士と商人のすばやさが逆だったらまた違ったんだろうが、ライアンは前作の戦士の反省を生かしたキャラだ。3の戦士は終盤になると力やHPは勇者とさして変わらない一方すばやさが低すぎるせいで、魔法の鎧を選ぶと露骨に賢者より軟らかかったが、ライアンは少なくともクリアレベル帯なら遅さはそのままに頑丈さと一撃の重さは別格というキャラに仕上がっている。

・準レギュラー一軍
【イケイケ爆殺姉ちゃん】マーニャ
ブライ合流以後はヒャダルコに押されて一時出番を奪われるが、メラミ習得後からボス戦の主砲になるためボスのいるダンジョンでは不動のレギュラーになる。ボスがいないところでも馬車があれば作戦をガンガンいこうぜに切り替えてピンポイント出撃させ、厄介な敵を一気に片付けることも可能。後衛系としてはHPも高めで一瞬3番手に躍り出るくらい何ともない。
ただし、殆ど使ってくれないルカニを除いて絡め手はなく、じゅもんせつやくにするとほぼ呪文効果のある武器を使うだけになるため、持ち味を発揮するにはガンガンいこうぜが必須。最大火力にあたるイオナズンやメラゾーマは、一瞬ギアを上げて厄介な敵を一掃するにはいいが、威力も消費も雑魚戦ではオーバーキル気味で、多用すると息切れする。良くも悪くも決戦型の魔法使い。

【不屈の渋ジジイ】ブライ
合流直後からヒャダルコでマーニャのお株を奪うがその先の攻撃魔法を暫く覚えず、バイキルトにしてもボス戦ではマーニャのメラミの方が確実なことが多いため氷の刃入手と同時に隠居生活に入るおじいちゃん。
しかし闇の洞窟を抜けマヒャドに手が届く頃になると、安全に敵1体を無力化するメダパニ、イオラよりやや強く通りやすいヒャダイン、ベギラゴンより以下同文のマヒャドと息切れせず必要十分の攻撃能力で雑魚戦をこなす、じゅもんせつやくに対応した継戦型の魔法使いとして現役復帰する。
また最終盤のメラゾーマの効きが悪いボスにも、マホステをかけて誘導すればバイキルトで対応するなど最後に主役をとりに来るしぶといジジイ。なお渋いもの同士相性がいいのかライアンとのコンビネーションが強烈。

【アホの守護神】クリフト
スクルト、ベホマラー、ザオリクという最高のスキルセットを持ち、すばやさと重装備を両立しての後衛離れした硬さも備え、まさにパーティの守護神とも呼べる輝きを無駄ザラキで紫に塗り潰すアホの子。スクルトとかベホマラーとか使えよ。
往年の4人目候補筆頭だけにピンチを立て直す能力は最高なので、劣勢を強いられる戦いには一押しだが、大体の場合は勇者で十分カバーできるため出番は多くない。氷の刃入手後はヒャダルコが撃ち放題な分適度にザラキが減り、しかも硬いので力押しの敵にも強く、ボスがおらず馬車が入れないダンジョンの大半で最適解になる。

・準レギュラー二軍
【転落武器商人】トルネコ
ライアンが育つまでは、アリーナも防御力に難がある上まだそこまでHPの差も大きくないので2番手を務める。道具使用は特殊行動に変化しないのか破邪の剣を持っていると頻度は減るものの、FC版の場合ボスにも通じる行動阻害技を持ちサービス行動もあるので実はボス戦に強い。無駄行動を差し引いても、味方が弱いうちはボスの猛攻を1ターン遮ることの価値は大きい。
ただ第一線で活躍するのもバルザック+戦までが限度。ライアンが2番手を張れるようになれば殆ど狙われない4番手に半端な前衛を置く意味は薄くなり、ここから馬車の肥やしーーではなく馬車の扉としての人生が始まる。
本格的な前衛にはむしろ邪魔な呪文効果のある武器を満載して4番手を歩き、必要に応じて任意の後衛と交代する、言わば生けるじゅもんせつやくのようなポジションだ。後衛が飛び出すまでのダメージは肩代わりしてくれるし、アイテムで出せる呪文の範囲で戦う分にはベストの人選になる。ただし、本当の意味でのベストメンバ-に入ることはないので二軍という評価になった。
勿論馬車が入れない所では出番がなく、各種武器はMP節約用に4人目に渡す。それにしても満載した武器を手土産に現れて、最終的に武器を満載して戦うスタイルに落ち着くとは計算か偶然か知らないが何とも武器屋らしい。なおクリアレベル帯だとドランの方が高ステータスだが、ドランの吹雪はヒャダルコより弱く、空振りなどNPC戦闘員特有の無駄も多いので、馬車の扉としてはトルネコの方が安定する。あっちはあくまでメタル狩り要員でいい。

・ピンチヒッター
【孫の手系占い師】ミネア
トルネコ合流まではラリホーに加えバギも使えるバランスが丁度よく、ギラが撃ち放題になった後もラリホーは炎の戦士系などの強敵にも有効で、終盤は言わずと知れたフバーハの人として活躍する。キアリクも地味に助かる。
しかし回復役としては育ちきったクリフトに勝てる部分がまるで無く、HPの低さも目立つので、終盤に近づくほど馬車外に出すのは不安になる。基本的にピンポイント起用になるので、痒いところに手が届くというより痒いところを掻くためにいるような感じ。

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