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☆ふくしのおべんきょう☆

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もぐりのソーシャルワーカーですが、こそっと福祉のお勉強をしています。
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#福祉

100.福祉の御勉強

“この子らを世の光に” 糸賀一雄さんのお言葉です。 知的障がい児や戦争孤児の為の近江学園や重度心身障がい児の為のびわこ学園を設立するなど、その一生を社会福祉活動に捧げた人物です。 “社会福祉の父”とも呼ばれています。 糸賀さんの言葉は“この子らに世の光を”としていないところがとても重要です。 つまり、当事者である障がい児こそが、社会の内側から新しい社会を形成していく主体であるということです。 この糸賀さんの思想は、現在でも社会福祉に携わる人に多大な影響を与え続けて

99.音楽の力

音楽を聴くことで自然と気分が向上したり、リラックスしたりするなど…音楽は人の心と体に様々な影響を与えてくれます。 子どもたちの発達支援、障がいがある方や認知症高齢者の機能回復訓練や心のケアに音楽は活用されることもあります。 音楽がもたらす一体感や最後まで通して聴き切った達成感、良い曲を聴けたという感動体験などを分かち合うことができるので、家族や他者との健全なコミュニケーションに役立ちます。 音楽の力を日常に取り入れることは、気持ちを切り替えたり、生き生きと過ごすことに役

98.認知症

認知症は、様々な原因によって脳の細胞が障害されて、記憶や判断力などの認知機能が障害された状態が続き、生活する面での障害が出ている状態のことをいいます。 認知機能の障害としては、記憶障害(同じことを何度も言ったり、物がなくなったりする)、言語障害(人や物の名前が出てこない)、視覚認知障害(知っているはずの場所で迷う)、実行機能障害(物事を計画を立ててできない)、社会的認知障害(他人に共感したり同情できない)などがあります。 脳は、人間の活動のほとんどをコントロールしている司

97.世界の認知症ケアのこと

“認知症は多くの人から記憶や自立、尊厳を奪うとともに、残された私たちからも繋がりのある人や愛する人を奪う。 世界は認知症の人々の期待を裏切っており、我々全員を傷つけている。” これは世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長のお言葉です。 世界保健機関(WHO)によると、世界の認知症患者の数は2021年の時点で5500万人以上で、今後も人口の高齢化によって、患者は2030年までに7800万人、2050年までに15200万人に増加すると予想されています。 それに対して、国が

96.お散歩と徘徊

2023年の話ですが、認知症やその疑いがあって家族などが警察に捜索願を出した行方不明者の数が全国で19039人になりました。 2012年から統計を始めていますが、開始以来11年連続で最多を更新しています。 警察庁によると、認知症の行方不明者数は2012年には9607人だったのですが、10年余りで約2倍に増えました。 2023年は1日あたり52件の届け出が出された計算になります。 年齢別では80歳以上が11224人、70歳代が6838人、69歳以下は977人で、70歳か

95.人、人と人

ブレない人は格好良いとか言われることも よくありますが、実際のところ、生きていると誰でも毎日心が揺らぐことがあるのではないかと思います。 それも他者と交流する機会が増えると、日々、いろいろな人からの刺激を受けて揺らぐことも多岐に渡ると思います。 実は自分一人だけの毎日だったとしても知らず知らずのうちに“このままで良いのだろうか”とか“どうしてこういう生活をしているんだろう”とか揺らいでいるのかなと思います。 ここで言う揺らぎは、動揺とか迷い、葛藤のことです。 動揺は心

94.孤独死と地域共生社会

最近は地域共生社会という言葉をよく耳にするという人は多いと思います。 福祉業界のスローガンだけに小さく収まりがちになっていますが、地域共生社会はもっともっと広い視野で社会全体の課題です。 この実現は難しそうと考えられるかもしれませんが、意外にそうでもなく、ひとりひとりが こころのバリアフリー を意識しながら生活して、必要な時にお互い様の気持ちで手を取り合って助け合ったり支え合うことができれば実現は可能です。 ただ単にそれをサボるか、知らないか、無関心なのか…傍観している

93.こころのバリアフリー

こころのバリアフリーは、障がいのある方や高齢の方などに限らず、生きる人それぞれの個性の違い…特性に対する偏見や無理解といった心の中にある見えない壁を無くすことで、ひとりひとりが多様な人を思いやりながら行動をすることです。 段差をなくしたり、エレベーターやトイレを使いやすくしたりするなどの物理的なバリアフリーが整っていても、障がいのある方、高齢の方、子ども連れの方々などが、外出時に困ることはたくさんあります。 ひとりひとりが町の中で困っている人に気づき、思いやりを持って手

92.揺り籠から墓場まで ’24

まずは、ウィンストン・チャーチルさんの御言葉から…、 “現在我々は悪い時期を通過している。 事態は良くなるまでに、おそらく現在より悪くなるだろう。 しかし我々が忍耐し、我慢しさえすれば、やがて良くなることを私は全く疑わない。” 日本では少子化が突き進んでいて、 厚生労働省が公表した最新の人口動態統計では、2024年1~3月の出生数は、前年同期比で6.4%も減少しました。 2023年の年間出生数が前年から4万3482人減って75万8631人と統計開始以来最低でしたが、

91.恐怖の自転車通行帯

西洋のパニックホラー映画のようなタイトルにしてしまいましたが…、現在の日本では、法律に従って自転車に乗るとかなり危険な状況になっています。 おそらく、自転車レーンが設けられている国の中では、世界一自転車が走りにくく、歩行者も車にとっても危険な国なんだと思います。 あの自転車通行帯が案として出るのは全く問題ないと思いますが、安くないお金と少なくない人員を動員してよく実行に移したな…なんて思ってしまいます。 でも、全部がではなく中途半端になってしまっているのは、こういうこと

90.働き方改革と社会福祉連携推進法人

私が福祉の業界から離れていた2019年秋から2023年夏の間にこんな変化が起きていたのかと思うような、私には新発見があったので、そのことを簡単にお勉強してみます。 では、早速…。 2022年4月に社会福祉連携推進法人制度が施行されました。 2024年3月の段階で、北海道ではないですが、全国的には21法人が実践しています。 政府の社会保障・働き方改革本部は2040年を目標に、医療と福祉サービスの改革を進めています。 その中で、社会福祉連携推進法人制度は医療法人や社会福

88.対話からの幸福論

今年も世界各国の幸福度をランキングで示した国連の世界幸福度報告書の2024年版が3月20日に発表されました。 今回初めて年齢層別のデータが公表されて、30歳未満の若者の多くが、中年期に陥りやすいとされている うつ などの心理的な症状に相当する問題を抱えていることが判明したとのことです。 30歳未満の幸福度では、リトアニアが1位で、2位にイスラエル、3位にセルビアと続きます。 フィンランドは総合的には7年連続1位になりましたが、30歳未満の幸福度は7位でした。 30歳未

87.福祉の起源

まずは宮沢賢治さんのお言葉…。 “世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない。” 人類の歴史は戦争の歴史が華々しく語り継がれがちですが、実は同じぐらい助け合いの歴史でもあります。 民主主義の社会が生まれるきっかけを作った1789年のフランス革命は有名ですが、フランスの三色旗は自由、平等、博愛(連帯)を意味し、対等平等な個人が、互いに支え合って生きることの重要性を示しています。 社会力という言葉があります。 社会力は、他人に関心を持ち、関係し合って、互いに支

85.ふくしのおべんきょう

ふくしのおべんきょうの「73.多様性と包摂」でジョン・レノンさんの「イマジン」の歌詞を丸ごと載せたことがありますが、今日はその趣向で おべんきょう してみます。 サボっている訳ではなく、私の場合は高校生の時に「イマジン」とマイケル・ジャクソンさんの「ヒール・ザ・ワールド」の内容を知ったことと、映画『レナードの朝』を観たこと…、そして、2005年になってLIVE 8とU2のライヴを生で体感したことが決め手になり、25歳と遅かったわけですが福祉に興味を持ちました。 なので、初