見出し画像

「Microsoft Teams無料版の廃止」についての対応を考えてみる

Twitterのタイムラインで困っている人(潜在的含め)がいるようなので自社に説明したとき同様に簡単にまとめます。

参照記事は下記です。
https://otona-life.com/2023/02/11/157635/

この記事のゴール

有償テナントを使っている場合には一切の問題がないというのが結論ではあるのですが、Microsoftの認証基盤としてどういう仕組みになっているかという知識を得ることで今後の業務に役立てていただいたり、無償テナントを使っている人は何を気にしなくてはいけないという点が明確になればと思っています。

何が問題となるのか?

「Microsoft Teams無料版」が4月12日から利用できなくなる。残り2カ月、対象ユーザーは対応が必須となる。

https://otona-life.com/2023/02/11/157635/

無料版停止にあたり留意しなければならいのが保管データの扱いだ

https://otona-life.com/2023/02/11/157635/

「それはそうだろうけど、会議招集とかゲスト招待とかどうなるの?」
というのが一般的な管理者が疑問に思うことなのかなという推測します。

今回の変更ってそもそも何だろうか?

「Microsoft Teams無料版」が利用できなくなるということが一体なんなのかの本質を考えないと判断を見誤ります。
シンプルに無償ライセンスの場合にTeams使えなくなるというだけでそれ以上でもそれ以下でもないように受け取りました。

ここで疑問に思うのは大きく2つのことと推測します(同じ根っこだけど)

  • ライセンスって何だっけ?

  • アカウントってどうなるんだっけ?

Microsoftのアカウントでみなさんが1度はつまづくのは2つのアカウントの違いであり、昔からのエンジニアにとっては当然のためか記事としてあまりお見掛けしないのでここを整理したいのが本記事の趣旨です。

2つのアカウントとは何か?

無償アカウントと有償アカウントです。これを理解して言い換えることができる方は今回の件に何の疑問も持たずに不安に思うことはなかったのかなと思います。

2つのアカウントについて整理すると

①無償アカウント → 個人アカウントやMicrosoftアカウントと言われるアカウント。

このMicrosoftアカウントも歴史は古いので、私のような年代は.NET Passportのイメージが強かったりするので、いちど下記ぐらいは読んでおくといいと思います。

Microsoft アカウント(マイクロソフトアカウント、以前は Microsoft Wallet[1]、Microsoft Passport[2]、.NET Passport、Microsoft Passport Network、Windows Live ID)は、マイクロソフトが開発し提供するシングルサインオンWebサービスである。Microsoft アカウントにより、ユーザーは1つのアカウントで複数のウェブサイトへログインすることが可能となる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Microsoft_%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88

②有償アカウント → 組織/学校のアカウント(Microsoft 365のアカウントやAzureのアカウント)

ここでいっきに問題が整理された方も多いとは思いますが、もう少し掘り下げてみます。

無償アカウントと有償アカウントって何が違うの?

ここが情報が最近出てこないので困っている人が多い部分だと思います。
上の(リンクした)Twitterで私が書いたのもエビデンスとしてほしいからです。いまは違う可能性も0ではないですが、動きからして大枠は昔の認識の通りだと思うので誤解を恐れずに書きます。

結論:認証するシステムが違う
無償アカウントはMicrosoftアカウントを認証するための認証基盤で作られています。これは有償アカウントで利用しているAzure ADとは別物です。

シンプルに言うと下記二つがあり、これが連携(フェデレーション)していると考えると早いです。

無償アカウント用の認証基盤(MSA)
有償アカウント用の認証基盤(AAD)

問題を再度確認してみる

今回は無償アカウントで利用できるTeamsが廃止されるだけのようです。
言い換えると有償アカウント側のTeamsはなにも影響しません。

言い換えてみると
無償アカウントのTeamsにあるデータは消える
有償アカウントのTeamsのデータはそのまま(当たり前ですが)

少し掘り下げて有償テナント(Microsoft 365 利用企業)から見ると下記のような整理になります。

<会議招集>
→(有償テナント内のTeamsから)会議招集をする
※無償テナントのTeamsの機能をそもそも使っていないので問題がない。

<ゲスト招待>
→有償テナント内のAzure ADから)ゲスト招集をする
※アカウントとしてもなんの問題はない。ゲスト招待されている人がTeamsを一般ユーザー同様に使っていてもデータの保存先は有償テナントなので問題がない。

つきつめると何が問題?

個人アカウントに紐づいているTeamsを使ってあれこれしている場合だけとなります。
ここで間違えてはいけない観点として自分のアカウントが無償か有償かではなく、「データの場所がどこにあるか(無償なのか有償なのか?)」が重要である点となります。
なお、無償の場合にどうしたらよいかは個人の範疇なので記載をするつもりはありませんのでご了承ください。

まとめ

Microsoft 365の有償アカウントに紐づいているTeamsに関しては変更がないため基本的に何も問題はありません。

今回は無償アカウント(Microsoftアカウント)に紐づいているTeamsの変更です。有償アカウントに紐づくTeamsやゲストに関しては何も気にする必要はありません。

おまけ

Teamsのインフラアーキテクトを知りたい場合は下記の公式文章がとても役立つのでこのあたりを理解しておくとよいです。
※わかりやすい画像としてTwitter芸人(?)のとりさんの記事でバズっていたが発見できず。

さらに深く勉強するならMS-700用のトレーニングマテリアルを読むとよいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?