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新製品情報&アイテムレビュー(2019 3/19)

「お前はまだそんなことを言ってるのかい。ここにいれば、お前はずっと安穏に暮らせるんだよ、ボリス。里の学校を一番の成績で卒業したじゃないか。どうしてこれ以上勉強なんかするんだい。牧場と農場を長男のお前が継がなきゃ、天国の父さんがなんて言うかね。母さんだっていつまでも働けないんだよ。春には羊たちの毛も刈ってやらないといけないし、お前の勘定わざがなくちゃ困るんだ。使用人たちの給料を、誰が計算するんだい」

母はいつものように取り合ってくれません。今までは大人しく引き下がっていたボリスですが、今回ばかりは違いました。どうしても引き下がれない理由があるのです。

「でも、母さん。僕は本当の本当に、決意したんです。冬の間、弟たちに勘定はちゃんと教えてあります。お願いです。僕はボンデベルクに留学して、もっと勉強したいんです。大学宛の推薦状も役所でもらいました。留学が終わったら、牧場と農場をちゃんとやりますから」

ボリスは頬を赤くして口ごたえしましたが、母は返事がわりに大きなため息をつくと、ボリスの顔も見ずに台所へ引っ込んでしまいました。ボリスは、木のマグに入れたはちみつ酒を少し飲み、うつむきながら、パイを口に運び、じゃがとキノコのスープを食べました。スープがいつもより、少し塩辛く思えました。

「ごちそうさまでした……」

ボリスは食卓を離れると、自分の部屋に向かいました。母に分かってもらえないのは悲しい事でしたが、本当のことを言ったら余計に母を心配させることも、ボリスはわかっていました。服を着替え、ろうそくを吹き消し、ベッドの上に用意しておいた鞄を背負うと、ボリスは部屋の中を見渡し、本当に言いたかった事を口にのぼせました。それはとても小さな声でしたが、淀みも、迷いもありませんでした。

「夜がもうすぐ来るんです、母さん。そうしたら、里も飲み込まれてしまう。大きい人たちは、今のように里を守れません。夜が来たら、自分たちを守るので手一杯になるんです。僕たちは、僕たちで里を守れるようにならなくちゃいけない。そのために、僕は内ヶ海を越えたケイポン国で、むかしの本を読まなきゃいけないんです。力をつけて、ここに帰ってきます」

空いた窓から冷たい夜風が吹き込み、レースのカーテンをゆらしました。空に浮かぶ二つの月が、ちょうど頭の上にさしかかっています。ボリスはベッドのしわを伸ばすと、窓を乗り越え、外から鎧戸を静かに閉めました。今頃、仲間たちも同じように、家族と屋敷に別れを告げていることでしょう。

「ごめんなさい。母さん。きっと里に帰ってきますから」

ボリスは歩き出しました。里境にある大きなどんぐりの木の下で、仲間たちと落ち合う手はずなのでした。

***

今日俺が紹介するのは、レッドボックス・ゲームズ(アメリカ)から届けられた「ハーフリング」たちだ。デザイナーはトレ・メイナー。今回紹介するハーフリングたちは、いずれもミニチュアのサイズ感やデザインラインを再考してのレンジ再ローンチとなる。

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