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💾 たそがれの船着場:ミニチュア一期一会

雪のように白い船が、紫色と黄金色に輝く鏡のような波面をすべるように渡り、湾の入り口で帆をたたみました。湾の中は浅くて、大きな船は入れないのです。しばらく見ていると、止まった船体からするすると小舟が下ろされました。白いような、黒いような服を来た船頭が櫂(かい)を巧みにあやつり、小船はゆっくりと船着場へ向かってきます。

そして彼らは旅立ちの準備をはじめました。この地に別れを告げ、はるか彼方の海へと漕ぎださねばなりません。あるいは、誰かに呼び止められれば、とこしえの家をこの地で見つけられることでしょう。

ミニチュア一期一会

ハーミットイン商店に置いてある全てのアイテムは、初めて商店を訪れる人にとっては新製品である。だから、ニューリリースはむろん、商店にある全ての製品を等しく紹介していきたいし、商店に並べるアイテムは全て在庫を維持していくのが俺の方針だ。そしてハーミットイン商店は骨董屋ではないので、中古品や絶版品を置くことはしない。

たそがれの船着場」と名付けられたカテゴリーに入り、売切と共に商店から姿を消すミニチュアたちのことを、君は知っているかもしれない。すでにかなりの数のミニチュアたちが、はるか遠くの海へ旅立って行った。彼らは今、君が呼び止めてくれるのを待っている。

ミニチュア一期一会。それは「ミニチュアは、いつ入手できなくなるかわからない。絶版にならずとも、型がどんどん疲れていく。欲しい物は後回しにせず、早く買っておいた方がいい」と言う、身も蓋もない真理のことである。今すでに船着場にいるミニチュアはもちろん、今商店に並んでいる者たちの中にも、「船着場」へ赴く時がいつくるともしれないし、場合によっては、船着場に止まることなく、そのまま旅立つ場合もある(今まであったはずのアイテムが、突然商店から消えると言うことだ)。

商店で扱うアイテムのうち、メーカーが絶版にするものについて俺ができるのは、なるべく多くのメーカー在庫を取り寄せて、一人でも多くの人に届けることだ。そして今日も、「たそがれの船着場」へ向かう者たちがいる。

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