フランク・フラゼッタの世界（新製品情報＆アイテムレビュー 2021.3.9）

火の手が広がる荒れ野。鈍色にくすぶる空をハゲタカたちが舞う。灼けつく岩場を踏みしめる巨大な黒馬の背中に身を預けた、筋骨隆々たる戦士。血まみれの斧。角のついた兜。禍々しい意匠の鎧。巨鳥の描かれた盾。その顔は陰に落ちて見えないが、燃えるように赤い眼が、こちらを凝視している。DEATH DEALER（デス・ディーラー）と名付けられたこの作品は、空前絶後のファンタジー・アイコンとして、世界中にファンタジーアートのなんたるかを教えた、言わば金字塔ともいうべき存在である。

これを描いたアーティストの名は、フランク・フラゼッタ。ロバート・E・ハワードの「コナン」シリーズの表紙で、フラゼッタが明示した蛮人コナンの姿を見れば、フラゼッタこそが「バーバリアン」あるいは「ファンタジー」のビジュアルイメージを作り上げた男である事がわかるだろう。

フランク・フラゼッタが打ち出した世界観は、ファンタジーがいかなるものであるかと言う問いに、一つの明確な答えを出した。彼の作品が今日のファンタジーアートに与えた影響は計り知れない。

愛され続けるファンタジー・アイコン

フラゼッタの代表作といえば、冒頭にあげた「DEATH DEALER」だ。73年の発表以来、この作品に胸を打たれた人々はあまりに多い。俺もその一人だ。