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テイルズ・アット・ザ・ベイルファイア(12):トーチガード2019からの伝言

随分冷え込みが増してきたが、俺たちの炎は大丈夫だ。少しずつ、しかし絶えることなく薪がくべられていくだろう。「灯火の運び手(トーチベアラー)」が持ち帰ってくれた去年の火種は、この一年の間、ある戦士によって守られてきた。「灯火の守り手(トーチガード)」。その称号を帯びた彼は、約定により、今年も「灯火の守り手」になることはない。焚き火の夜、彼は新たなる守り手に、一年の間構えた大盾を託すのだ。

とはいえ、灯火の運び手と同じく、彼もまた焚き火の夜に現れ、その腕前を惜しまず披露してくれよう。だが今日は、灯火の守り手に話を聞く日だ。おっと、肩の力を抜いて楽にしてくれ。ここに師弟の間柄はない。俺たちは皆同志であり、兄弟ではないか。丸パンとチーズ、そしてとっておきの薫製肉もある。今夜は、俺のハチミツ酒も振る舞おう。驚くほど甘いがかなり強い酒だ。塩気のある食い物と合うが、飲みすぎてつぶれんようにな。

うまいか? よかった。それでは、彼の話に耳を傾けようじゃないか……。


テイルズ・アット・ザ・ベイルファイア
〜焚き火を眺めながら語ろう〜

ようこそ。テイルズ・アット・ザ・ベイルファイアも4年目。このシリーズ記事では、ペイントコンテスト『ベイルファイア』に関連したホビーアドバイスを届けている。

第12回連載となる今回は、昨年のベイルファイアにおける入賞タイトル『トーチガード2019』を獲得した、上妻 俊之氏から寄せられた記事を掲載する。

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それじゃあ、氏にバトンタッチだ。楽しんでくれ!

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第4回ベイルファイアに寄せて

こんばんは。ベイルファイア2019トーチガードのKozuma Toshiyukiです。今年もまた焚き火が起こされること、またそこへ寄稿する機会をいただいたことを嬉しく思います。ここでお会いできたのも何かの縁ですから、少しばかりお付き合いください。

ミニチュアホビーと僕

ミニチュアホビーって、昔の自分にとってなんだか高嶺の花みたいなものでした。きっかけは僕が中学生だった時のことです。とある別ホビーの雑誌を購読していたんですが、新製品紹介のページを読んでいると、ちょうどそのころ上映されていた「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフのフィギュアが目に留まったんです。しかもその横に、ヘルム峡谷らしきジオラマに大量のフィギュアが並べられた写真が掲載されていて。載っていた写真は小さなものでしたが、シビれましたね。こんな楽しそうなものがあるのかと。

当然、欲しくてたまらなくなって、近場のおもちゃ屋を回ってみるものの、もちろん売ってないんですよね。それで余計に火がついちゃって、そのフィギュアとかジオラマとかは、よく分からんが簡単には手に入らないすごいもの、という僕の中での位置付けになったんです。今思えば、多分あれはゲームズワークショップの中つ国シリーズでしたね。当時の自分には、通販を利用したり都会に買い出しに行くという発想もなかったため、手に入れるのは泣く泣く諦めました。

そんなことがあったので、気軽にかっこいいミニチュアを手にできる今は幸せで仕方がないです。いつの間にかいい大人になっていて、ミニチュアのことを唐突に思い出してから現在に至るんですけど、ある意味では失っていた青春を取り戻したようなもんですから、うれしくてたまりません。あの頃雑誌で眺めていたグラビアアイドルと、長い年月を経て出会い、結婚したようなもんですからね。

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