『メタルフィギュアの世界』が俺に教えてくれたこと
『メタルフィギュアの世界』。80年代後期にグレナディア、ラルパーサ、ホビープロダクツの総輸入元であったホビージャパンが刊行した有料カタログで、1〜5まであった。
店頭に知識豊かなスタッフがいれば別だが、当時こうしたカタログは貴重な情報源であり、これらを持っているかいないかで、ファンの知識量に天と地ほどの差が生まれたものである。なにせ、どんな製品があるのか、そもそもメーカーの素性さえ分からず、日本語版のパッケージがあったわけでもない。
店頭にずらりと並ぶ、英語で何やら書いてあるブリスターやボックスが一体いかなる代物であるかを知るには、1冊500円(当時消費税はない)でカタログを購入することは、ホビージャーニーの乗車切符といえた。
俺が初めてこのカタログを購入したのは、モケイラッキー大口店(当時の状況とかも含め、この記事で詳しく書いてある)だった。凄まじい数のミニチュア製品と、大迫力のジオラマ作例がきら星のように並ぶ売り場で目を白黒させていた中学生の俺に、スタッフの吉橋さんがこのカタログを見せてくれたのだ。
カタログと言っても、ただ商品の写真と名前が載っているのではない。そもそもこれが何で、どんなホビーで、どんな楽しみ方をするものなのかが、簡潔に、しかし熱い言葉でしたためてあった。どんなメーカーがどんな思いで製品を作っているか、総輸入元の意気込みまでも言葉にして書いてあったのである。
俺がいくつかのミニチュアと共にこのカタログも買って帰ったのは言うまでもない。
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