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町内に住んでいたナベさんは、横山剣をちょっと細くしたような顔で、庭のある一軒家に住んでいて、カッコいい車に乗っていた。ロックンロールが好きで、いつもタバコを吸っていた。ナベさんには子供が二人いて、犬が大好きな奥さんと暮らしていた。ナベさんは父と仲がよく、その絡みから、俺も随分かわいがってもらった。 ある夏の土曜日。俺が部活の朝練を終えて家路を急いでいると、道でばったりナベさんに出くわした。ナベさんは買い物帰りのようで、近所の食料品店「ファースト・モリタ」の袋を下げている。俺
俺は探偵物語が大好きだ。 まず、主人公がカッコいい。エピソードが毎回面白い。お約束は守る。でも飽きさせない。この時代のドラマがほとんどそうであるように、シリーズ中盤すこしダルくなるあたりも、人間らしさを感じて最高にいい。 そして登場人物がカッコいい。食い物はうまそうで、誰も彼もがタバコを吸っており、バイクはノーヘル、車はシートベルト着用なし。男も女も服装がカッコいい。街もカッコいい。デザインとフォントと色がカッコいい。車がカッコいい。食器がカッコいい。 なにもかもがカッ
小学校で校長先生が勉強を教えてくれたことはなく、個人的に話したこともない。朝礼でためになる話をしてくれるお爺さん先生、ぐらいの認識でしかなかった。正直言って、顔も覚えていない。 ただ、他の子達はバカにしていたが、俺は、校長先生の話を聞くのが好きだったから、真面目に耳を傾けていた。大人になった今でも、毎晩必ず瞑想をするのは、校長先生がいつかの朝礼で話してくれたからだ。 俺が小学校を卒業するとき、校長先生が卒業生全員に手書きのメッセージを渡してくれた。その内容を、俺は一字一句
俺が好きなものはたくさんあるけど、散歩はそのひとつだ。ランニングとかジョギングとかトレッキングとかウォーキングとか、そういうシリアスなものではない。ひらすら近所を歩く。歩き回る。そう、散歩なのだ。 とはいえ、ご近所の住宅街を巡るのではないし、おきまりのルートがあるわけでもない。お気に入りの散歩コースは確かに出てくるけど、毎度同じだと日課みたいな感じがしてきて飽きるので、今日はこっち、明日はあっちと、毎日バラバラなコースを歩く。足が向いたところへ行く。自由。
オールドスクールファンタジー。「Old school」と言う、“古き良き”みたいなイメージの語が入っているため、「過ぎ去った過去を偲びながら、当時を知る人たちだけが楽しむ、懐古的ファンタジーコンテンツ」に思えるかもしれない。 けど、俺はそうは思わない。ハーミットイン開業宣言以来、俺は一貫して「オールドスクールファンタジーは懐古趣味や懐かしコンテンツじゃない」と言い、「現在進行形がキーワードだ」と言っている。 もちろん、オールドスクールと言うだけあって、その源流は古い。本当
俺はよく茶を点てる。毎日という訳でもない。気が向いた時だ。 俺に茶道の心得はなく、茶器を視る目もなければ、千利休のような茶室もない。和室はあるけど、茶を点てる設備はない。戦国武将のように、戦乱の世において心の平安を求めているわけでもないし、茶道家のように、高度に様式美化された教養として嗜んでいるのでもない。 それでも俺は茶を点てる。なぜか? うまいからだ。そして心が落ち着き…パワーがみなぎる。
よくぞ来た。今日紹介するテク「ブラッキング」をマスターすることで、君は: といったメタルミニチュアたちに、ペイントしたミニチュアとはまた別の存在感とプレシャス感を与えることができる。ブラッキング仕上げしたミニチュアを並べると、一味ちがう壮観さと迫力を味わえるはずだ。臨場感や満足感においてはペイントされたミニチュアに及ばないものの、ただパーツを接着してベースに立たせたミニチュアに比べると、見違えるレベルでかっこいいぜ。あとメタルの風合いが倍加されるので、重量感と精密感がすごい
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ミニチュアペイントは楽しいものだし、俺は大好きだ。完成した作品を眺めるのは感無量だし、完成品を飾るキャビネットは最高だし、ゲームに使う楽しみもある。それに、ペイントは手を動かすほどに上達するものだ。だけど、ミニチュアはコレクション自体もホビーだから、欲しいものをどんどん購入しているうちに、未製作のミニチュアも出てくる。しかも、その数は半端じゃない。 目録による記録と整理整頓をしているとはいえ、所有者である俺自身、見るたびに「まあよく集めたもんだ」と我ながらカンシンする。そし
やあ、評議会メンバーのみんな、元気にしてる? 俺たちは元気だが、暑さでちょっとへばってるぜ。最近の昼はいつも薬味をたっぷり使う盛りそばに凝ってるよ。長ネギをたくさん、そして天かすをつゆにちょっと浮かべると実にうまい。ソバは茹でたあと、流水でよく洗うのがコツだ。
* 第10話 * 魔人の餌「リリアム、一体それは何だ?」 不審げに訊くアーレクに対して、リリアムは軽く一礼すると、はっきりとした声で答えた。 「我々が仕留めたノールの首級です。元々は、フィードルが武勲を誇ろうと切り落としたものですが」 「野蛮なことを。倒した敵の首を切り落として持ち帰るなど、まるでオークや野人の所業だぞ」 リリアムが言い終わる前に、アーレクは叱りつける。怒りのあまり、思わず「野人」の嘲りが出たのであろう。気まずそうにフロスガルを見やったアーレクに、北方
よくぞ来た。7回に渡って続いてきた「ブラックゴブリンの大族長」ショウケースも、いよいよ今回で大団円を迎える。ミニチュア本体のペイントが終わると気が抜けてしまうかもしれないが、ここからのステージをしっかりとこなすことで、ミニチュアの完成度がアップするだけでなく、作品に物語が加わるぜ。 今回はかなりボリュームのあるエントリーだけど、途中で切ると流れが悪くなったので、一気に完成まで行こうぜ。 それじゃあ、いってみようか! 「ベーシスト列伝:コルクシート→斜面奏法」で語ったよう
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