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戦場痕

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大藪春彦大賞に応募したものの改稿版。ちょっと過激かもしれない。
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#創作大賞2024

戦場痕 2-4

 大島とは駅前で別れた。自宅に戻ってひと風呂浴びるらしい。  私は駅前のパブで一杯ひっか…

Anti Int Niche
1か月前
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戦場痕 2-3

 私が自販機からコーヒーを買っていくと、大島は受け取るなり仏頂面でベンチに腰かけた。 「…

Anti Int Niche
1か月前

戦場痕 2-2

 夜になってアパートに戻ると、放置していた携帯電話に留守電がひとつ入っていた。大島の細い…

Anti Int Niche
1か月前
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戦場痕 2-1

 司法解剖をやったという医者は、夜勤明けでピンポン玉みたいに飛び出た目をしていた。挨拶が…

Anti Int Niche
1か月前
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戦場痕 1-3

 次に目が醒めたときには、ICUのベッドの上だった。  カーテン越しにどこかの家族が話し…

Anti Int Niche
1か月前
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戦場痕 1-2

 庁舎から出ると、さっそく待ち伏せしていたカメラがこっちを向いた。いかにも内地育ちらしい…

Anti Int Niche
1か月前
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戦場痕 1-1

あらすじ各話リスト 1-1 (当ページ) 1-2 1-3 2-1 2-2 2-3 2-4 1-1.  出版社の打ち合わせから戻ると、留守電が入っているのに気が付いた。 「あの医者、拳銃を渡していた。本当だ。俺、殺されちまう」  福江敦人(ふくえ あつひと)の酒とクスリでぐらついた声が、何度も私の名前を呼ぶ。録音時間の二十秒をまるまる使った元一等兵の鳴き声をBGMに、私は布団に潜り込んだ。  彼がシリアスなのは分かっていたが、かけ直す必要は感じなかった。私は疲れていた