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ラッコ水族館の決断

先月3月12日に三重県鳥羽水族館の設立者、中村幸昭(なかむらはるあき)氏が96歳で亡くなった。
1955年(昭和30年)に設立した同館は年間入館者数80万人、累計6000万人を超える国内屈指の水族館にまで成長した。
中村氏はいわゆる名物館長という人で、講演会や広報活動も積極的に行い、水族館や海洋生物にまつわる著作も多い。
プロフィールによると前職は朝日新聞社の社員ということで、いわゆるメディア畑の人間だったようだ。

そんな鳥羽水族館のホームページでは先日よりラッコ水槽のライブカメラを公開している。
その愛くるしさと無自覚のあざとさから「海のパンダ」と私が勝手に呼んでいるラッコさんがネットで24時間視聴できるのだ。

https://aquarium.co.jp/240415_01/

なおラッコを初めて日本で繁殖に成功させたのも鳥羽水族館だ。(初めて飼育したのは伊豆三津シーパラダイス)
実は中村館長は実際のラッコを見たことはなかったが、これは面白いと思ってなんとしても輸入しようと苦心したらしい。
その甲斐もあってラッコは多くの日本人に知られることとなり、80年代に大ブームを巻き起こした。
その辺の感覚と手腕も新聞記者ならではと私は感じた。

そんなラッコも90年代には全国の水族館で120頭以上飼育されていたが、今はもう3頭しか残っていないらしい。
国際取引の制限が厳しくなり、もう輸入は不可能となっているそうだ。
現在生存しているのは鳥羽水族館の2頭と、福岡県のマリンワールド海の中道にいる1頭のみ。
あとは北海道の霧多布岬で野生で少し存在している。
水族館のラッコはいずれも高齢で繁殖の望みも薄いようだ。

水族館というのは設置型イベント施設で、入館料によって利益を得ている。
そのためコロナ禍では大きな痛手を被り、その一方では飼育の様子をネットで配信するなどの前向きな取り組みも盛んに行われていた。
それでも結局は入館してもらうことがメインなので、ネット動画で動きも鳴き声も視聴されては入館者の減少にも繋がりかねないだろう。
そんな中で、しかもコロナ禍が過ぎた今になって、貴重で可愛いラッコをネットで中継するのはなかなかの決断だったと思う。
あるいは、いずれ姿を消す時までに多くの日本人に見てもらいたいという、水族館側の願いがあるのかもしれない。

ということで、私も今の内に来館しておこうと思っている。
せっかく関西にいるので、やっぱり直で見たほうがいいに決まっている。
でもゴールデンウィークは絶対混むので、その後にでも。

【一日三報】

[ナショナル ジオグラフィック]イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか

なかなか興味深い研究。
目を覚ましてもらいたくて噛みついているとしたら、切ない物語のようだ。
もし飢えをしのぐためだとしても、それはそれで良いじゃないかと。
火葬場で焼いて灰にされることを思うと、よほど有効かつ友好な使い道だと思う。
でも僕らの体って、もう化学物質だらけで食べないほうがいいらしいよ。

[共同通信]首相側近、元号案を独自に提示 国書出典「佳桜」など3案

並べてみるとやっぱり「令和」が群を抜いてふさわしい元号のように思えるのは、令和にいるからだろうか。
少なくとも「万和」は「和」を「な」と読ませる時点で誤読が乱発するので選ばれなくて良かった。
私は「頑駄無」(がんだむ)とか格好良くていいなと思っていたが、どうやら候補にも挙がっていなかったようだ。
頑駄無元年!

[読売新聞]引きこもり VRに居場所

良いと思うがその写真はなんとかならなかったのか。
もうちょっと、こう、あるだろう。
身の置き所をヴァーチャルに求めるのは決して悪いことではなく、カスみたいな出生地とその環境から離れられるのは、可能性を広げるきっかけにもなると思う。
とはいえメタバースも、どうせ人口が増えればイジメとか嫌がらせが起きるんじゃないかなと懸念もしている。

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