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口ごもる

親指が、入力画面の1㎝上を行き来する。
ついてしまった既読と、メッセージ横の時刻。

必死にしゃくり上げる肩の動き。
まっすぐ私を見つめる目。
あるいは、うつむいて斜め前をぐっと見つめる頭。


なにか、言わなければ。

じとり。
口がもごもごとする。

まずいことは言えないし、ありきたりなことでもなく
そして意見を否定するのでもなく

対峙したとき、どうしてもそこで私は何かを返さなければならなくて
それは戻ってこないもので、
目の前にいるその人にとってのここまでとこれからと、さしあたりでも影響を与えるかもしれなくて

正しさとか分からないし、
それだけじゃなくて、今、正しさが必要なのかとか
言葉を交わしている中にある人と人としての関りが、これでよかったのかなとか、

何を言わないべきか。
どんな言葉で発するべきか。


ふっとそういう場面に強烈に直面するとき、
言いようのない居心地の悪さの中で、口ごもってしまう。


でも、目の前に、居る。

色々と考えた、ぐっと私に結び付いたもののひとつ。
https://www.youtube.com/watch?v=CA41FbIfD6I


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