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2021年に読んで欲しい双子を題材とする漫画

みなさんはスパゲティを無性に食べたくなるような時期があったりしないでしょうか。スパゲティじゃなくてカレーとか唐揚げとかでもよいです。人間の欲というのは不思議なもので、普段何気なく摂取していたものを、急に愛おしく、そして食べなければならない衝動に駆られるものです。今回、私にとってそれはスパゲティではなく双子だったということです。

双子の良さとはどういったところにあるでしょうか?もちろん人それぞれの解釈があるでしょう。双子という世界で唯一の特別な絆を持つ人間同士から生まれる物語も多様なものがあります。同じようでいて同じではない人間、もしくは全く別の人物ながら双子という縁がたぐり寄せる数奇な想いやその絡み合い、いろんな魅力がそこには詰まっています。現実世界においても双子ではない多くの人間にとって、たまに触れられるちょっと不思議でちょっと希少な好奇心が沸かざるを得ない生き物と捉えることもできます(わたしも双子ではありません)。

創作物における双子という属性は便利なもので、しばしばミステリーのトリックとして、あるいは作画コストの節約として、はたまたキャラ付けの一種として機能することもあります。創作物での双子の取り扱われ方をざっくり大別すると、見た目が瓜二つの双子と、見た目が全く異なる双子がいます。ただ、瓜二つの双子というのは漫画などにおいて作画の都合上や読者への読みやすさを考慮して、作品内では瓜二つ扱いだけど、特徴的なかき分けがされていることもあります。特に漫画のような媒体では、はっきりわかるように描写されていないと読者が混乱してしまいますしね。あまりかき分けすぎると双子感は落ちてしまうし、かといって瓜二つにしすぎると読みにくくなってしまう、このへんを作者がどう処理するか見届けるのも双子の作品を読む上で一つ楽しいところだと私は思います。

さて、前置きが長くなりましたが、そんな感じで急に双子を題材にした漫画作品が読みたくなったので、私が読んだ中で良かったものを紹介したいとおもいます。なお、この記事では下記のレギュレーションを定めます。

・物語の題材として双子が中心にある
・電子書籍で読める
・近年発表された作品(この記事が執筆された2021年を基準とする)

電子書籍で読めるのは主に私の都合です。部屋のスペース確保のため、今は漫画はすべて電子書籍で買うようにしています。そういうわけで、電子書籍で読める範囲になっています。近年発表された作品というのもだいぶ近い条件なのですが、古い作品は電子書籍化されていなかったりして読めていないので、最近の作品のみということにしています。

双子コンプレックス

既刊: 2巻〜
双子度: ☆☆
イチャイチャ度: ☆☆☆☆☆
ヤキモキ度: ☆☆☆☆☆

男女の双子を取り巻く、日常あり、イチャイチャあり、ドキドキありのラブコメ4コマ漫画。トラブルメーカーな妹とそれをほおっておけない兄の、ドタバタしつつもほっこりするような感じのよい双子漫画です。双子それぞれには仲のいい気になる異性の友人もいるのですが、双子は互いのことも奥底では気になっており、ただそんな気持ちを整理できてはおらず、ヤキモキさせられるシーンも多々あります。男女というところもあってこの双子は性格は全く異なるのですが、互いにツンデレしているという点でやはり似たもの同士なのではと感じさせられます。

なお、どうしても男女双子の作品は別人度が高くなってしまうのでわたし的に双子度は低めとしています。もちろん、男女双子もそれはそれでよい双子作品です。

花園さんちの双子ちゃん

既刊: 2巻〜
双子度: ☆☆☆
胸の大きさ: ☆☆☆☆☆
ギャル: ☆☆☆☆☆

清楚系アイドルと、ギャルな双子で、どちらも好きな人は同じ人で…という漫画。わかりやすく説明するためにあえて似ているものを挙げると、双子漫画ではないですが大人気5つ子漫画の「五等分の花嫁」と方向性として近いものを感じさせます。おそらく五等分の花嫁が好きな人は「花園さんちのふたごちゃん」も好きなのではないでしょうか。全体的に登場人物の胸部も大きめです。双子系恋愛漫画ではお決まりの入れ替わりを駆使したストーリーも面白く、双子それぞれの交錯する思いやすれ違い、ドキドキハラハラとさせられる展開が楽しめます。お話的にはおそらくまだ序盤で、2巻時点で今後の双子はそれぞれどう動いていくのか!?という点で続きも気になる漫画です。

ミギとダリ

既刊: 5巻〜
双子度: ☆☆☆☆☆
ミステリアス: ☆☆☆
シュルレアリスム: ☆☆☆☆☆

今回紹介する双子漫画の中でも群を抜いて双子度が高いこの作品。主人公の双子はほとんど瓜二つで、漫画の作画上でもあまり見分けが付きません。しかも、なんとこの双子は2人で1人の人間を演じるという物凄いことをしていて、言動もそれぞれ同じように振る舞います。読んでいておそらく最初のうちはどちらがどちらなのかわからず混乱してしまうことでしょう。前髪の分け目で一応見分けることはできますが、そのへんはあまり気にしなくても読み進めることはできます。そして、読者は読んでいるうちにどちらがダリでどちらがミギなのか判別できるようになってしまうのがこの漫画の面白い所です。双子という同一性質を持つ2人が、話が進むにつれて別の人間として分岐していくのは、双子を題材とする漫画の大きな醍醐味ではないかと私は思います。ストーリー自体も独特で、たいへん引き込まれる内容となっているのですが、この漫画のジャンルは何ですか?と聞かれると少し悩ましいかもしれません。ただ、この漫画の作者は「坂本ですが?」の佐野菜見という点は事実として書いておきます(つまりそういうことです?)。

星上くんはどうかしている

既刊: 全5巻
双子度: ☆☆☆☆
三角関係: ☆☆☆
さわやか: ☆☆☆☆☆

クラスの人気者な弟と冴えない兄という対象的な双子と、それぞれから好意を寄せられる主人公の三角関係を描く少女漫画です。少女漫画かつ三角関係(それ以外の周辺の角も当然発生する)ではあるのですが、登場人物は全体的に人間的な裏表もありつつ、大人な思考を感じさせられるので、あまりドロドロとした気持ちにはならないと思います。さわやかに読めるいい雰囲気の学園青春漫画といえます。全5巻で完結済みなので、程よく読みやすいのもいいですね。主人公と関わることで変化する双子の環境や感情も丁寧に描かれて、また主人公の双子の間で揺れ動く感じもドキドキして楽しめる漫画だと思います。

少女素数

既刊: 全5巻
双子度: ☆☆☆☆
お兄ちゃん: ☆☆☆
かわいい: ☆☆☆☆☆

お兄ちゃん大好きなブラコン気質な双子の思春期を描く漫画。ブラコンという点は物語の主軸というほどでもなく、わりとフレーバー的に効かせる形になっていて、この作品の主軸はどちらかとえば双子の成長とその変化だと思われます。物語の最初の方は双子は明らかに違う人物ながら、それでいてまるで互いが同じ人物だと思っているように感じさせられます。それが、少しずつ話しが進む中で環境や周りの人間関係の影響もあって、「似たもの双子」から「双子という絆を持つ2人の人間」へと徐々に分岐していく姿が描かれています。双子ではない人間も思春期に少しずつそのアイデンティティを確立していくわけですが、双子という元が似たような人物なわけで、それらの違っていく様を味わえることになります。

ふたごわずらい

既刊: 全2巻(+番外編 1巻)
双子度: ☆☆☆☆
百合: ☆☆☆☆☆
尊さ: ☆☆☆☆☆

私が双子ものを読み漁ったのは割と最近なのですが、その際に丁度見かけたこのふたごわずらいが完結したらまとめてレビューを書こうとおもっていました。双子成分に飢えた私にとってそれぐらい大きなサプリメントとして考えられる作品の一つです。もともと10話分想定で描いていたそうで、全2巻で読みやすく綺麗にまとまっているのも良いところです。1巻と2巻の表紙の落差も読んだ後に見ると感慨深いものがあります。

さて、この作品は百合もので、女性同士の様々な好きが描かれます。そしてその中心にあるのが双子それぞれの好きの感情です。百合にはよくあることですが、それらの好きと現実の差を感じながら彼女らは生きています。好きとはそもそもいったいなんなのか、思い病んでいく彼女たちはどう考え、そしてどのような結論をだすのか。この短い作品内でさまざまな「好き」がみられるのですが、その際の彼女たちの表情もまた多様です。文字だけではなくその所作からも多くのことが読み取れるよい百合漫画といえます。これはよい百合です(大事なことなので2回書きました)。双子という特殊な人間関係にまつわる部分もその好きの錯綜にうまく取り入れられており、人類に不足しがちな双子百合成分をふんだんに摂取できます。

おわりに

他にも紹介したい双子漫画はあって、「推しの子」双子たちの諸事情」「ふたご、ふたごころ」あたりも良かったのでオススメできます。他にも摂取できてない双子漫画は存在すると思われるので、オススメの双子漫画があればぜひ教えて下さい。もしくは新たな双子漫画を描いてください。人類が生きていくために必要な、双子作品からしか摂取できない栄養素があることは皆さんもご存知のとおりです。よろしくおねがいします。

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