middle Cの音名 メーカごとの違い表
MIDIの世界では、ドレミファソラシドを0〜127の数字であらわす(note numberという)。
ふつうのグランドピアノの鍵盤数が88個。そのだいたい真ん中にあるドの鍵盤のことをmiddle Cという。そして、middle Cのnote numberが60だ。
周波数でいえば、note number 60 ≒ 261.6 Hz だ (440チューニングの平均律のとき。シンセの音色とかだと無視してることもある)。
ここまでは、ほぼ世界共通のルールだ。
さて、DAWやシンセを触っていて「C3」だとか「D#5」だとかの音名表記を見たことはあるだろうか。
0〜127の数字だけだとドレミがぱっとわからないので、ドレミ情報 (A〜G) に数字をくっつけて高さを示す表記だ。
「ドレミファソラシ」が「CDEFGAB」に対応しているのは音楽の授業でやったことあるかな? そして、C2とC3では、C3のほうが1オクターブ高いドということだ。
なので、「C3」と「D#5」の距離は、ド〜レ#の3鍵盤ぶんに加えて2オクターブ離れているということになる。
しかし、じつはこのオクターブの位置表記がやっかいだ。3とか5とか、なにを基準に決めるのだろう?
これがなんと、共通ルールがない。さっき言った middle C……ど真ん中のドを、C4とする流派 と C3とする流派があり、基準がメーカーによって違うのだ。
[note number] と [周波数] の関係は世界共通のルールなんだけど、[note number] と [音名表記] はまちまちにズレている。
「あるドラムサンプラープラグインのウィンドウ内にC3って書いてあったからそのとおりにDAWに打ち込んだら、なぜか鳴らない (1オクターブずれてる)」とかが起きうる。
どのメーカーがどのルールを採用してるのか、ざっくり調べてみた。間違ってたら教えて。
あと幾つかのソフトでは設定変更も可能。初期値っぽいほうを書いた。
middle C = C4
SPN (Scientific Pitch Notation: 科学的ピッチ表記法。国際基準。)
KORG
Roland
CASIO
Kawai
Moog
Image-Line (FL Studio)のピアノロール以外
Spectrasonics
FabFilter (Pro-Q)
MeldaProduction
Celemony (Melodyne)
Antares (Auto-Tune)
kiloHearts
Voxengo
middle C = C3
YAMAHA
Sequential (たぶん)
Arturia (製品によるかも)
Apple (GarageBand, Logic)
Ableton (Live)
Bitwig
PreSonus (Studio One)
Steinberg (Cubase)
Reason
Renoise
Native Instruments
iZotope
Xfer (Cthulhu)
UVI
middle C = C5
Cockos (REAPER)
Image-Line (FL Studio)のピアノロール
Cakewalk (SONAR)
なんとなくの印象を見ていくと、
C4派に属するのは「国際基準に沿っている昔ながらの楽器メーカと、計測系ツールを出してるおカタメの所」で、
C3派は「YAMAHAに続いた者たちと、ドイツ中心のDAW以降の世界観のメーカ」って感じがする。
C5派は尖ってる。
まれにC2派もいるらしい。
他に知ってるのあったら教えて。wavesとかspitfireとかoutputとかXLNとかsoundtoysとかもろもろ。
なんでこんな派閥差が生まれたかというと、たぶんだけど、「ピアノで弾ける一番下のド」をC1とするかC0とするかの主義の違いだと思う。
「1番目なら1からだろう」もわかるし(音楽用語はそういうフシがある。音程の度数表記なんか、0半音離れた=同じ音を完全1度と言うでしょ?)、0をスタート地点にするのも自然だよね。
ピアノが発明されたのは1709年。SPNの前身であるSPが提案されたのは1713年。まあ発明当初のピアノは54〜61鍵盤で、Steinwayが88鍵を作ったのが1890あたり? SPNがISOの承認を得たのが1955とのこと。
以上。出典とか無いんで雑に捉えてください。
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