日記240601 (EMX-1)

年始に実家に帰って、高校生時にライブで使っていたマイファーストシンセ/マシンのEMX-1を持ち帰ってから、ちょいちょい触っている。

当時のデータが残ってるので覗くとまあ可愛らしいもので、m7 PCM Hitのトランスポーズしか脳がねえな (でもベース動かして逃れようとはしてるな) とか、やたらルーズなドラムのリリースとか、これはユーロマスターズの真似してガバの音価で展開作りたかったのねとか、コンプに全てを過剰につっこんで結果的にサイドチェインダッキングじみた効果を狙ったのねとか、端的に言って下手だ。

当時は気づくよしもなかったが、とにかく直線的なマシンだ。おちついた横ノリはできなくもないが、やっぱオングリッドで積み木的な構造は香るし、なかなか工夫がいる。

曲線的なニュアンスを持ち込む簡単な技としてはグライド、またはmodを潰してampにスローアタックをつけたり、フレーズが確定してるならsmooth seq motionでlevel automationを逐一書くという手もあるが……

マイクロタイミングのないシーケンサーは珍しくもないが、オールインワンマシンとして向き合うと「せめてパート別のスウィング深度くらいは……!」と思わなくもない。

それで困ったのが2step的なものを作っていた時、メインパートのハネを確保すると16分をキープするシェイカーがグルーヴしないという問題だ。サンプラーじゃないのでドラムパートにはスタートアドレスが存在せず、シェイカーサンプルの立ち上がりの遅さはサンプル自体のピッチで間接的に制御するしかない。ここにスウィングが絡むと結構キモい。

解決策として、パートごとのスウィングOn/OffはあるのでありがたくOffにする。イーブンになるがサンプル自体の遅れをピッチでつくり、裏の位置を程よいところに落ち着けて、表の遅れは他のドラムと鳴らすことで有耶無耶にする。アクセントを奇数だけ点けてマシンガン効果を回避する。他のドラムはアクセント適用を切る。これで擬似的に揺れの異なるレイヤリングができる。やれやれ。

こういう小手先の技を使えるような耳と頭はできた。このメーカーで10年も働いとるのや。だがそうしてできるループに"おれ"が入り込んでる気がまじでしない。こんなことして何になる? その点で15年前のおれには敗北している気持ちだ。

おれがおれに求めるレベルは肥大化し、手が届かなくなった。君らの曲が全部すごくてかっこいいせいだぞ。おれはもっとできるはず、だなんて買い被ってはいないけど、粘っても「こんな低レベルなもの、ある必要がないわ」って自分で落胆してしまう。自分を喜ばせられるのが趣味の最低ラインだと思うから、そんななら辞めちまえだし、それでも「自分とは関係のない何か」を手が作っている。

投げ銭いただけたら、執筆頻度が上がるかもしれません